環境
OKIグループでは、有害な化学物質の排出量削減を進めています。ここでは、製造方式の見直しによる化学物質の削減や工程で使われる化学物質の代替などを進めた事例をご紹介します。
めっき工程では、部品をハンガーにつるしたり、かごに入れ、めっき液に浸します。これを繰り返すうち、部品以外のハンガーやかごなどの器具に意図しないめっきが付いてしまい作業への影響が出るため、定期的に器具に付着しためっきを硝酸で除去する作業が必要になります。
硝酸は「毒物および劇物取締法」で劇物に指定されており、メカトロシステム工場での使用量は年間8,000ℓにおよぶことから、課題となっていました。
「それならめっき液が付着しなければよい」―メカトロシステム工場はめっきかごのテフロン加工を実用化しようとしています。かごに付着しないようめっき液をはじければ、かごがめっきされることがなく、有害な硝酸も不要になります。テフロン加工の技術進化を背景に、メカトロシステム工場では複数の方法を試し、費用対効果を検証しながらトライアルを進めています。汚染の発生源を断つ効果的な方法として、ほかの製造現場への展開も期待されています。
OKIネクステックでは、基板に電子部品をはんだ付けする工程の一部において、従来の基板をはんだ槽に浸す方式を縮小し、ピンポイントではんだ付けを行うポイント・ディップ(DIP)装置を2015年に導入。2017年には台数を増やし、稼働率も57%から70%に上げました。
はんだ付けを行う部分には、事前洗浄や酸化防止のためにフラックスが噴霧されます。フラックスには主成分としてイソプロピルアルコール(IPA)が含まれています。IPAは比較的安価で高い洗浄力などを持つ一方、毒性が高く法令で取り扱いの規制を受けるため、その削減が課題となっていました。
ポイントDIP装置は、はんだ付けをピンポイントで行うため、フラックスに含まれるIPAなど化学物質の使用量を7割削減し、大きな効果をもたらしています。
OKIネクステックはポイントDIP装置の稼働率向上のために、基板を装置に脱着している間も他の基板へのはんだ付け作業が並行してできるよう、独自の制御ソフトを装置メーカーと共同開発しました。稼働率が向上したことに加え、装置の台数も増やし、コスト削減と環境負荷の低減を積極的に推進しました。
情報通信沼津工場では、水中で使用する製品の製造工程において、部品を接着剤で固定する作業があります。接着剤は従来、環境負荷が高く毒性も強いジクロロメタンを含有していたため、作業者が蒸気を吸入しないよう局所排気装置を用いるなどの対策をとっていました。
同工場では、既に年間200kgを越えていた使用量が、今後生産量の増加に伴い大幅に増加する見込みとなったことから、ジクロロメタンを使わない接着剤への代替に踏み切りました。
接着剤の代替にあたっては、水中使用に要求される強度や耐用年数の長さから、信頼性試験が長期化することが予想されましたが、設計/製造/品質の各部門が緊密に連携して試験の項目や対象などを見直すことで、評価完了と製品への適用を大幅に早めることができました。同工場ではジクロロメタンは全廃され、他製品についても有害化学物質の削減を進めています。