技術広報誌 OKIテクニカルレビュー

巻頭言

「社会の大丈夫をつくっていく。」OKIのDX新戦略特集号に寄せて







専務執行役員
デジタル責任者
坪井 正志

OKIは、「組織の変革」「業務プロセスの変革」「新ソリューション創出」「既存ソリューションの強化」の4象限でお客様のDXに貢献するDX新戦略を策定しました(参考文献1)

この戦略のポイントは、図1に示すように「DX4象限」を設定した点です。横軸に生産性強化と競争力強化、縦軸にビジネスプロセス変革とビジネスモデル変革を置いています。これにより左象限は自社に向けた強化、右象限は対外的な強化を表すことができます。

また上象限は創造性重視、下象限は効率性重視となります。各象限にOKIの特長ある活動を配置しています。「DX4象限」の考え方は、IT企業だけでなく、業種に問わず適用できると考えています。


図1 DX4象限

対外的なDXの取組み

「DX4象限」の右象限は対外的なDXの強化になります。第1象限「新ソリューション創出」では、OKIが注力するエッジサイドの取組みである「AIエッジ戦略」により、社会課題の解決に貢献していきます。2019年にエッジコンピューティングに特化したAIエッジコンピューター「AE2100」を発売し、エッジ領域でAIを動作させる環境を提供しました。併せて、共創パートナー、AIエッジパートナーとエコシステムを構築し、社会インフラの高度化を実現していきます。OKIは、「交通」「防災」「建設/インフラ」「金融、流通」「製造」「海洋」を注力分野としています。

第4象限「既存ソリューション強化」では、「フロントシフト」と「ビジネスプロセスサービス」を掲げています。対面の顧客接点をもつ金融、小売業では労働力不足、働き方改革、業務効率化などの課題もあり、以前よりセルフ化、セミセルフ化が行われてきました。これが新型コロナの影響もあり、非対面、非接触が一気に進んでいます。サービス提供サイドで行っていた処理がお客様サイドに移るということで、これをフロントシフトと定義します。OKIは、ATMで実績のある自動化技術、現金処理技術をもち、これを活用し、店舗のセルフ化/セミセルフ化を進めます。完成システムだけでなく、モジュール提供としてもフロントシフトに貢献します。

企業が短期間でDXを実現するためには、自社のコアプロセスにリソースを集中し、それ以外はアウトソースをする傾向が強まります。OKIはこれに対応するため、お客様のDXを支援するための「ビジネスプロセスサービス」を提供します。

ビジネスプロセスの中でも、OKIは長年の生産経験から、モノづくりのプロセスに強みをもちます。これを外部化し、EMS(生産サービス)事業を継続してきました。システム事業(情報通信、メカトロ、プリンター)で培われた高品質・高信頼性のモノづくりサービスが特長です。品質・納期・コストはもちろん、多品種少量生産にもフレキシブルに対応し、「お客様のバーチャルファクトリー実現」を支援します。医療機器、通信機器、計測機器、航空宇宙、電装、FA、産業各分野のお客様から高い評価を得ています。国内生産を基本にメイドインジャパンの特長(安心安全・長期安定供給)を活かした使い勝手のよい高品質な「モノづくり総合サービス(設計からキーコンポーネント、製造、評価、物流、保守)」をワンストップで提供します。

自社内に向けたDXの取組み

第2象限では、「組織の変革」として「全員参加型のイノベーション」活動を実践しています。DXを全社で推進するためには、組織全体がイノベーティブになる必要があります。OKIでは2018年から「Yume Pro」と呼ぶイノベーション推進活動を本格的に行っています。イノベーティブな仕事の仕方を会社としての標準プロセスにするためイノベーション・マネジメントプロセス(IMS)の国際標準であるISO56002を先行的に導入しています。

第3象限「業務プロセスの変革」では、製造業としてのモノづくり基盤を強化しています。国内外の生産拠点で「ポータビリティー(生産移行性)」「スマート工場」「システム統合」を推進しています。2022年7月に、DX新戦略のフラグシップファクトリーとして埼玉県にあるOKI本庄地区(埼玉県本庄市)の新工場「本庄工場H1棟」を稼働させました。脱炭素社会の実現に向けて、大型生産施設として日本初となる「ZEB」(Net Zero Energy Building)認定を取得しました。また、免震構造と木製直交集成板(CLT)を採用した地震に強いビルとして、国土交通省の令和2年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)に採択されています。内部は、AIとIoTを駆使したスマート工場になっています。

外部化(エクスターナライゼーション)モデル

DX新戦略では、外部化(エクスターナライゼーション)モデルを提唱しています(図2)。これは、自社の技術・プロセスを強化して、ソリューション、プロダクト、サービスとしてお客様に提供することです。OKIの持つ技術やプロセスをコアに、顧客ニーズの深掘りとパートナーとのアライアンスを進め商品化に繋げます。


図2 外部化モデル

このようにOKIは、DX新戦略を通して社会課題の解決に貢献し、「社会の大丈夫をつくっていく。」を実践していきます。本特集号では、OKI DX新戦略とその具体的な取組みを紹介します。

参考文献

(参考文献1)OKIプレスリリース、4象限で「社会の大丈夫をつくっていく。」DX新戦略を策定、2022年6月21日
https://www.oki.com/jp/press/2022/06/z22017.html

用語解説

社会の大丈夫をつくっていく。
OKIが中期経営計画2022で掲げたキーメッセージ。「『モノづくり、コトづくり』を通して、より安全で便利な社会のインフラを支える企業グループ」としての姿勢を端的に示す。
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