技術広報誌 OKIテクニカルレビュー

2024年

No.243 エッジプラットフォームで実現するイノベーション

エッジプラットフォームで実現するイノベーション

OKIは1881年に日本で最初の電話機を製造して以来、通信、金融、交通、防災などの分野で社会インフラを支えてきました。これらの安心・安全で便利な社会インフラで培ってきた「つくる力」、「つなぐ力」、「とめない力」を「タフネス」と呼び、OKIのコアコンピタンスとしています。この「タフネス」をベースとした技術コンセプト「エッジプラットフォーム」を昨年度、発表しました。
本号では、「タフネス」と「エッジプラットフォーム」の概要を解説するとともに、それらの具体事例やオープンイノベーションの取組みを取り上げました。
OKIは、「エッジプラットフォーム」をグローバルへの展開を図っていくとともに、今後もイノベーション活動を通じて「社会の大丈夫をつくっていく。」を実現します。

巻頭言

「エッジプラットフォームで実現するイノベーション」特集号に寄せて
Foreword for Special Issue on "Innovations utilizing Edge Platforms"

藤原 雄彦

ページの先頭へ

総合報告

エッジプラットフォームの活用事例
Use Cases of Edge Platforms

野崎 正典・塚本 明利・伊藤 真弥

本稿では、OKIのコアコンピタンスである「タフネス」について概説し、2024年10月に開催された展示会(OKI WORLD)での出展内容からエッジプラットフォームの具体事例を紹介する。

キーワード:エッジプラットフォーム、タフネス、つくる力/つなぐ力/とめない力、高度遠隔運用

新技術および新商品紹介

倉庫におけるモノの所在を簡単に自動追跡するセンシング技術
Sensing Technology for Automatically Tracking Location of Objects in Warehouses

吉原 和英

荷物位置自動測位システムは、OKIのセンシング技術を用いることで屋内外を問わず、また現状の業務を殆ど変更する事なく荷物の位置情報を自動で追跡・記録します。荷物位置の属人的な管理や記録ミスに起因した捜索工数を削減し、倉庫業務の効率化に貢献します。

キーワード:RFタグ、自動測位、QRコード、Beacon、倉庫管理システム

ETC2.0プローブデータを活用した渋滞予測技術
Traffic Prediction using ETC2.0 Probe Data

岡野 謙悟・鈴木 貴大・中村 龍馬

OKIは交通プローブデータを活用した交通流の解析を研究している。本稿では複数の予測技術を組み合わせることで複雑なパラメーター設定を必要とせず、解釈性・説明性の高い渋滞予測技術について述べる。

キーワード:渋滞予測、交通プローブデータ

Beyond 5Gに向けた映像サービスのための双方向CDNの開発
Development of Bi-Directional CDN for Beyond 5G Video Services

髙橋 美乃里・山本 秀樹・近藤 法夫・岡野 郁徳・岩下 将人

Society 5.0では高品質ネットワークに自律走行ロボットなどが接続された中で様々な映像サービスが提供される。本稿では、Society 5.0の映像サービスに必要な双方向CDNの機能とプロトタイプについて述べる。

キーワード:Society 5.0、Beyond 5G、双方向CDN

ディープラーニングを利用した水中音による船舶分類
Ship Classification using Underwater Acoustics with Deep Learning

木原 将吾

受波した水中音が何の音なのかを分類するディープラーニングモデルを開発している。特にこの分野では小規模な学習データセットしか用意できないため、少量データで高精度なモデルを学習する工夫を取り入れている。

キーワード:水中音、船舶識別、ディープラーニング、少量データ学習

水中ネットワーク構築のための水中音響通信技術の開発
Development of Underwater Acoustic Communication for Underwater Networks

武田 啓之・中津 尚大

広大な海洋に水中ネットワーク網を形成するために音響通信の開発を進めている。水中ネットワーク形成のための基本となる1対1通信の開発(32kbps、2km)と1対N通信の開発についてその概要を紹介する。

キーワード:水中音響通信、水中無人機

関連商品/技術サイトページ

カーボンニュートラル社会に貢献する920MHz帯無線ソリューション
920MHz Wireless Solution for Carbon Neutral Society

島田 貴光・小川 亮一・矢ヶ部 仁之

2050年カーボンニュートラル目標達成に向けて、製造業の生産活動におけるCO2排出量の見える化について、OKIの920MHz無線を活用して実現するソリューションとその事例を紹介する。

キーワード:カーボンニュートラル、カーボンフットプリント、920MHz帯無線、電力見える化

関連商品/技術サイトページ

エッジプラットフォームを具現化するREMOWAY/ROMBOXの新たなプロセスイノベーションの提案
Novel Process Innovation with REMOWAY/ROMBOX to Realize Edge Platforms

小杉 篤史・川畑 尚也・畠 直輝・小田 高広

OKIはCEATEC 2019にサービスロボット「AIエッジロボット」を発表した後、同ロボットを活用した高度遠隔運用の提案、同運用を実現するエッジプラットフォームREMOWAY/ROMBOXをプレスリリースし、現場改善にチャレンジするお客様と実証実験を繰り返してきた。本稿では、REMOWAY/ROMBOXによる新たなプロセスイノベーション(PI)を提案する。同PIは現場のITとOTをマルチに連携させ、現場システムのモダナイゼーションを加速し、人材不足が深刻化する「止めないプロセス」を運用支援する。

キーワード:ROMBOX、REMOWAY、高度遠隔運用、920MHzマルチホップ無線、マルチベンダー対応

ゼロエナジーIoTシリーズ ~アナログセンサーIFユニットの開発~
Zero-Energy IoT Series - Development of Analog Sensor Interface Unit

齋藤 友博・橋爪 洋

インフラモニタリングで使用されているひずみゲージ、変位計、塩害センサー等の様々なアナログセンサーを接続可能なアナログIFユニットを開発した。本稿では、アナログIFユニットの特徴と本装置を用いたインフラモニタリングの事例を紹介する。

キーワード:IoT、インフラモニタリング、アナログセンサー、接点、920MHz無線

BOTDR光ファイバーセンサー新モデルの開発
Development of New BOTDR Optical Fiber Sensor Model

田中 将規

光ファイバーの温度や歪みを分布的に測定するBOTDR光ファイバーセンサー装置について、市場へのさらなる普及を目指し、装置への振動や温度変化が厳しい環境に適応させた新モデルの開発を紹介する。

キーワード:光ファイバーセンサー、SDH-BOTDR、インフラモニタリング、火災報知

関連商品/技術サイトページ

医療機関におけるエッジネットワーク監視システムの実証実験
Proof of Concept for Edge Network Monitoring System in Medical Institutions

田中 俊哉・藤田 幸愛・中村 信之

厚生労働省のサイバーセキュリティ対策強化のガイドラインを受けて、医療現場でのサイバーセキュリティ対策の必要性が増している。本稿では、エッジ(現場)NWを対象としたトラフィック異常検知システムの概説と、ガイドラインを受けて医療機関で必要とされる機能と我々が開発している機能について説明し、今後の展開について述べる。

キーワード:ネットワークセキュリティ、閉域ネットワーク、サイバー攻撃、医療機関

関連商品/技術サイトページ

LEDプリントヘッド技術を応用した産業用カメラレンズ ~コンパクトで画像歪みの無いカメラの実現~
Industrial Camera Lens utilizing LED Print Head Technology - Achieving Compact Camera with No Image Distortions

木田 学武・井坂 友紀

LEDプリントヘッドで培った技術「MLA(マイクロレンズアレイ)」を、産業用カメラレンズに応用する。既存技術では不可能な、画像歪み0%、テレセントリックな画像をコンパクトに撮像できるレンズを実現できた。本稿では、これらの技術の概略を説明し、社会課題である労働力不足の解決に繋がる展望について述べる。

キーワード:外観検査、画像処理、自動化、労働力不足

印刷現場の効率化と組込みモジュール拡張を支えるプリンティング技術
Printing Technology to Improve Efficiency and Support Module Expansion

沢口 謙治・吉田 敏之・黒田 輝昭・浅見 篤・白坂 光剛

様々な印刷現場の省人化、効率化を追及するソリューション事例の紹介と組み込み・モジュール拡張として、ロール紙印刷ユニットにおいて媒体に応じた書き出し位置のAI自動補正機能や印刷機材メーカーと連携した超長尺紙印刷を実現したプリンティング技術を紹介する。

キーワード:プリンター、二次元バーコード、パトランプ、ラベル印刷、ロール紙印刷

高放熱プリント配線板の工法開発
Manufacturing Method of Printed Wiring Board with High Heat Dissipation

山村 明宏

プリント基板に搭載される部品の消費電力が大きくなるに伴い、部品の熱をどう逃がすかが課題となっている。プリント基板に効率よく放熱するための新たな構造を踏まえ、高放熱対応のプリント基板を述べる。

キーワード:プリント配線板、放熱、EMS

ロケット搭載筺体の熱解析 ~真空空間での非定常伝熱シミュレーション~
Thermal Analysis of Rocket-Mounted Enclosures - Simulation of Unsteady Heat Transfer in Vacuum Environment

殿岡 直哉・藤野 啓一

ロケットに搭載される筐体は宇宙空間で使用される為、真空環境での熱対策が必要である。OKIアイディエスの筐体開発では、設計上流工程にて熱解析・分析を行い、設計方針を決定しているが、ロケット用筐体の設計において「真空環境での非定常伝熱シミュレーション」を実施した。その温度上昇解析手法、および、筐体設計の注意点について紹介する。

キーワード:熱解析、宇宙、筺体

関連商品/技術サイトページ

OKIの取り組むグローバルオープンイノベーション
OKI's Approach to Global Open Innovation

原田 崇

米Plug and Play社とパートナーシップ契約を締結し、シリコンバレーを拠点としたグローバルなオープンイノベーション活動を開始している。最先端スタートアップから技術探索を行い、技術評価やPoCから事業への展開をサポートする、OKIのオープンイノベーションへの取組について説明する。

キーワード:オープンイノベーション、シリコンバレー、スタートアップ、Plug and Play、グローバル

CFBを用いた「薄膜チップレット」によるアナログICの積層集積
Stacked Integration of Analog ICs using "Thin Film Chiplets" by CFB

石川 琢磨・谷川 兼一・古田 裕典・桑原 秀治・桑原 恒平

センサーなどエッジデバイスからの微弱信号の増幅を担うアナログ半導体は、近年、AIや自動運転の技術進歩により高度化ニーズが増加している。しかし、アナログ半導体は、微細化で特性低下するため、高度化に限界があった。本稿では、チップレットによりアナログ半導体を高度化する新たなCFB技術を紹介する。

キーワード:半導体、Beyond Moore、チップレット、ヘテロジニアスインテグレーション

分布型光ファイバーセンサーの超小型化に向けた取組み
Miniaturization of Distributed Optical Fiber Sensor

広戸 陸・小泉 健吾・神田 祥宏・太縄 陽介・志村 大輔

量産可能な光センサーのエッジ領域への普及を目指し、OKIの光集積回路用プラットフォームを活用した光ファイバーセンサーの研究開発に取り組んでいる。本稿では、光集積化に適した光ファイバーセンサー方式について考察するとともに、その検証結果および、外乱抑圧の新技術を紹介する。

キーワード:光ファイバーセンサー、シリコンフォトニクス、光周波数領域リフレクトメトリ

低消費電力・小型化を特長とするOKI ASICを活用したAIシステム
AI System using Low Power and Compact OKI ASIC

宮村 紀秀

数多くのAIソリューション製品の主流は、エッジ(現場)からクラウドサーバーにデータを転送し、クラウドサーバー側で学習・推論を行うクラウドAIである。クラウドAIでは、クラウドサーバーとエッジ間の通信が必要であるため、リアルタイム性の欠如」という課題がある。低電力・小型なASICを活用してエッジ側で様々なAIソリューションを実行するAIシステムを提供することで、従来適用できない分野にAI技術を展開し、社会課題を解決する。本稿では、この技術の概略と今後の展開について述べる。

キーワード:AI、ASIC、エッジ環境、省電力、小型化

人とAIを共に進化させ、イノベーションを加速するグラフ文書技術
Graph Document Technology for Human-AI Coevolution to Enable Acceleration of Innovation

村田 稔樹・前橋 祐斗・山崎 貴宏

規則やアイデアなどの複雑な情報をグラフ文書で構造化することで、大規模言語モデルを効果的に活用する技術について述べる。お問い合わせ業務やイノベーション加速などの知的作業の支援に活用した事例についても述べる。

キーワード:生成AI、大規模言語モデル、グラフ文書技術、イノベーション加速支援

関連商品/技術サイトページ

OKIグループにおける生成AI基盤と活用推進
Establishing and Promoting Utilization of Generative AI Platform within OKI Group

古川 雄一・須崎 昌彦

OKIでは、生産性の向上を目指して生成AI技術の業務活用を推進している。そのための業務データとの組み合わせや現場への浸透活動について紹介する。また、近年の国際的な潮流としてAI利用におけるリスクへの対応が課題となっている。OKIが構築してきたAIガバナンスと生成AIへの対応について述べる。

キーワード:生成AI

関連商品/技術サイトページ

新商品概要/トピックス

新商品概要/トピックス

「社会の大丈夫をつくっていく。」OKIのテクノロジー

OKI イノベーション事業開発センター ソリューション開発部 ソリューション開発チーム

自律ロボット、エッジデバイスの高度な遠隔運用を実現し、警備、工事、製造分野の人手不足解消に貢献。[2分4秒]



自律ロボット、エッジデバイスの高度な遠隔運用を実現し、警備、工事、製造分野の人手不足解消に貢献。

OKI イノベーション事業開発センター ソリューション開発部 小杉 篤史

現在、深刻化する労働力不足解消のためサービスロボットの導入が進められていますが、現状では現場で働く人との連携など、運用面での課題が指摘されています。今回は、現場で円滑に稼働するロボットの社会実装を進めるイノベーターを紹介します。

ページの先頭へ


  • 送付申し込み/送付解除
  • 発送先・発送部数変更
  • お問い合わせ


公的研究費の不正使用および研究活動における不正行為等に係る通報も上記で受け付けます。

Special Contents

      • YouTube

      お問い合わせ

      お問い合わせ