OKIは1881年に日本で最初の電話機を製造して以来、通信、金融、交通、防災などの分野で社会インフラを支えてきました。これらの安心・安全で便利な社会インフラで培ってきた「つくる力」、「つなぐ力」、「とめない力」を「タフネス」と呼び、OKIのコアコンピタンスとしています。この「タフネス」をベースとした技術コンセプト「エッジプラットフォーム」を昨年度、発表しました。
本号では、「タフネス」と「エッジプラットフォーム」の概要を解説するとともに、それらの具体事例やオープンイノベーションの取組みを取り上げました。
OKIは、「エッジプラットフォーム」をグローバルへの展開を図っていくとともに、今後もイノベーション活動を通じて「社会の大丈夫をつくっていく。」を実現します。
藤原 雄彦
野崎 正典・塚本 明利・伊藤 真弥
本稿では、OKIのコアコンピタンスである「タフネス」について概説し、2024年10月に開催された展示会(OKI WORLD)での出展内容からエッジプラットフォームの具体事例を紹介する。
キーワード:エッジプラットフォーム、タフネス、つくる力/つなぐ力/とめない力、高度遠隔運用
吉原 和英
荷物位置自動測位システムは、OKIのセンシング技術を用いることで屋内外を問わず、また現状の業務を殆ど変更する事なく荷物の位置情報を自動で追跡・記録します。荷物位置の属人的な管理や記録ミスに起因した捜索工数を削減し、倉庫業務の効率化に貢献します。
キーワード:RFタグ、自動測位、QRコード、Beacon、倉庫管理システム
岡野 謙悟・鈴木 貴大・中村 龍馬
OKIは交通プローブデータを活用した交通流の解析を研究している。本稿では複数の予測技術を組み合わせることで複雑なパラメーター設定を必要とせず、解釈性・説明性の高い渋滞予測技術について述べる。
キーワード:渋滞予測、交通プローブデータ
髙橋 美乃里・山本 秀樹・近藤 法夫・岡野 郁徳・岩下 将人
Society 5.0では高品質ネットワークに自律走行ロボットなどが接続された中で様々な映像サービスが提供される。本稿では、Society 5.0の映像サービスに必要な双方向CDNの機能とプロトタイプについて述べる。
キーワード:Society 5.0、Beyond 5G、双方向CDN
木原 将吾
受波した水中音が何の音なのかを分類するディープラーニングモデルを開発している。特にこの分野では小規模な学習データセットしか用意できないため、少量データで高精度なモデルを学習する工夫を取り入れている。
キーワード:水中音、船舶識別、ディープラーニング、少量データ学習
武田 啓之・中津 尚大
広大な海洋に水中ネットワーク網を形成するために音響通信の開発を進めている。水中ネットワーク形成のための基本となる1対1通信の開発(32kbps、2km)と1対N通信の開発についてその概要を紹介する。
キーワード:水中音響通信、水中無人機
島田 貴光・小川 亮一・矢ヶ部 仁之
2050年カーボンニュートラル目標達成に向けて、製造業の生産活動におけるCO2排出量の見える化について、OKIの920MHz無線を活用して実現するソリューションとその事例を紹介する。
キーワード:カーボンニュートラル、カーボンフットプリント、920MHz帯無線、電力見える化
小杉 篤史・川畑 尚也・畠 直輝・小田 高広
OKIはCEATEC 2019にサービスロボット「AIエッジロボット」を発表した後、同ロボットを活用した高度遠隔運用の提案、同運用を実現するエッジプラットフォームREMOWAY/ROMBOXをプレスリリースし、現場改善にチャレンジするお客様と実証実験を繰り返してきた。本稿では、REMOWAY/ROMBOXによる新たなプロセスイノベーション(PI)を提案する。同PIは現場のITとOTをマルチに連携させ、現場システムのモダナイゼーションを加速し、人材不足が深刻化する「止めないプロセス」を運用支援する。
キーワード:ROMBOX、REMOWAY、高度遠隔運用、920MHzマルチホップ無線、マルチベンダー対応
齋藤 友博・橋爪 洋
インフラモニタリングで使用されているひずみゲージ、変位計、塩害センサー等の様々なアナログセンサーを接続可能なアナログIFユニットを開発した。本稿では、アナログIFユニットの特徴と本装置を用いたインフラモニタリングの事例を紹介する。
キーワード:IoT、インフラモニタリング、アナログセンサー、接点、920MHz無線
田中 将規
光ファイバーの温度や歪みを分布的に測定するBOTDR光ファイバーセンサー装置について、市場へのさらなる普及を目指し、装置への振動や温度変化が厳しい環境に適応させた新モデルの開発を紹介する。
キーワード:光ファイバーセンサー、SDH-BOTDR、インフラモニタリング、火災報知
田中 俊哉・藤田 幸愛・中村 信之
厚生労働省のサイバーセキュリティ対策強化のガイドラインを受けて、医療現場でのサイバーセキュリティ対策の必要性が増している。本稿では、エッジ(現場)NWを対象としたトラフィック異常検知システムの概説と、ガイドラインを受けて医療機関で必要とされる機能と我々が開発している機能について説明し、今後の展開について述べる。
キーワード:ネットワークセキュリティ、閉域ネットワーク、サイバー攻撃、医療機関
木田 学武・井坂 友紀
LEDプリントヘッドで培った技術「MLA(マイクロレンズアレイ)」を、産業用カメラレンズに応用する。既存技術では不可能な、画像歪み0%、テレセントリックな画像をコンパクトに撮像できるレンズを実現できた。本稿では、これらの技術の概略を説明し、社会課題である労働力不足の解決に繋がる展望について述べる。
キーワード:外観検査、画像処理、自動化、労働力不足
沢口 謙治・吉田 敏之・黒田 輝昭・浅見 篤・白坂 光剛
様々な印刷現場の省人化、効率化を追及するソリューション事例の紹介と組み込み・モジュール拡張として、ロール紙印刷ユニットにおいて媒体に応じた書き出し位置のAI自動補正機能や印刷機材メーカーと連携した超長尺紙印刷を実現したプリンティング技術を紹介する。
キーワード:プリンター、二次元バーコード、パトランプ、ラベル印刷、ロール紙印刷
山村 明宏
プリント基板に搭載される部品の消費電力が大きくなるに伴い、部品の熱をどう逃がすかが課題となっている。プリント基板に効率よく放熱するための新たな構造を踏まえ、高放熱対応のプリント基板を述べる。
キーワード:プリント配線板、放熱、EMS
殿岡 直哉・藤野 啓一
ロケットに搭載される筐体は宇宙空間で使用される為、真空環境での熱対策が必要である。OKIアイディエスの筐体開発では、設計上流工程にて熱解析・分析を行い、設計方針を決定しているが、ロケット用筐体の設計において「真空環境での非定常伝熱シミュレーション」を実施した。その温度上昇解析手法、および、筐体設計の注意点について紹介する。
キーワード:熱解析、宇宙、筺体
原田 崇
米Plug and Play社とパートナーシップ契約を締結し、シリコンバレーを拠点としたグローバルなオープンイノベーション活動を開始している。最先端スタートアップから技術探索を行い、技術評価やPoCから事業への展開をサポートする、OKIのオープンイノベーションへの取組について説明する。
キーワード:オープンイノベーション、シリコンバレー、スタートアップ、Plug and Play、グローバル
石川 琢磨・谷川 兼一・古田 裕典・桑原 秀治・桑原 恒平
センサーなどエッジデバイスからの微弱信号の増幅を担うアナログ半導体は、近年、AIや自動運転の技術進歩により高度化ニーズが増加している。しかし、アナログ半導体は、微細化で特性低下するため、高度化に限界があった。本稿では、チップレットによりアナログ半導体を高度化する新たなCFB技術を紹介する。
キーワード:半導体、Beyond Moore、チップレット、ヘテロジニアスインテグレーション
広戸 陸・小泉 健吾・神田 祥宏・太縄 陽介・志村 大輔
量産可能な光センサーのエッジ領域への普及を目指し、OKIの光集積回路用プラットフォームを活用した光ファイバーセンサーの研究開発に取り組んでいる。本稿では、光集積化に適した光ファイバーセンサー方式について考察するとともに、その検証結果および、外乱抑圧の新技術を紹介する。
キーワード:光ファイバーセンサー、シリコンフォトニクス、光周波数領域リフレクトメトリ
宮村 紀秀
数多くのAIソリューション製品の主流は、エッジ(現場)からクラウドサーバーにデータを転送し、クラウドサーバー側で学習・推論を行うクラウドAIである。クラウドAIでは、クラウドサーバーとエッジ間の通信が必要であるため、リアルタイム性の欠如」という課題がある。低電力・小型なASICを活用してエッジ側で様々なAIソリューションを実行するAIシステムを提供することで、従来適用できない分野にAI技術を展開し、社会課題を解決する。本稿では、この技術の概略と今後の展開について述べる。
キーワード:AI、ASIC、エッジ環境、省電力、小型化
村田 稔樹・前橋 祐斗・山崎 貴宏
規則やアイデアなどの複雑な情報をグラフ文書で構造化することで、大規模言語モデルを効果的に活用する技術について述べる。お問い合わせ業務やイノベーション加速などの知的作業の支援に活用した事例についても述べる。
キーワード:生成AI、大規模言語モデル、グラフ文書技術、イノベーション加速支援
古川 雄一・須崎 昌彦
OKIでは、生産性の向上を目指して生成AI技術の業務活用を推進している。そのための業務データとの組み合わせや現場への浸透活動について紹介する。また、近年の国際的な潮流としてAI利用におけるリスクへの対応が課題となっている。OKIが構築してきたAIガバナンスと生成AIへの対応について述べる。
キーワード:生成AI
OKI イノベーション事業開発センター ソリューション開発部 小杉 篤史
現在、深刻化する労働力不足解消のためサービスロボットの導入が進められていますが、現状では現場で働く人との連携など、運用面での課題が指摘されています。今回は、現場で円滑に稼働するロボットの社会実装を進めるイノベーターを紹介します。