OKIは、2023年11月のOKI IR DAY(イノベーションおよび技術戦略説明会)で、「中期経営計画2025」で提唱する「エッジプラットフォーム」の実現に向けた、2031年までの技術戦略を発表しました。「エッジプラットフォーム」は、社会インフラを支えてきたOKIのコアコンピタンスであるタフネスをベースに、エッジを高度化し、データを繋ぎ結びつけることで、提供価値を拡大していく技術コンセプトです。
本号では、技術戦略のうち「エッジプラットフォームを強化する施策」、「五つの注力技術領域」の概要を解説するとともに、「エッジプラットフォーム」を高度化していく技術や研究の例を取り上げました。
OKIは、キーメッセージの「社会の大丈夫をつくっていく。」を実現するために、こうした技術の進化と融合を進め、未来に向けた技術革新を加速させ続けます。
前野 蔵人
佐藤 義則・増田 誠・浜口 雅春・須崎 昌彦
OKIは2023年5月、「中期経営計画2025」の中で、技術コンセプト「エッジプラットフォーム」を、さらに11月にその技術戦略を発表した。本稿では、技術戦略のうち「エッジプラットフォームを強化する施策」、「五つの注力技術領域」、および「注力技術の具体例」について説明する。
キーワード:技術戦略、エッジプラットフォーム、AI、データーマネージメント、エッジデバイス
谷川 兼一・鈴木 貴人・古田 裕典・石川 琢磨・塙 遼平
次世代パワー半導体として注目されるGaN(窒化ガリウム)の社会実装に向けた新たな技術を開発した。本稿では次世代パワーデバイスの動向から、GaNデバイスの課題を明確にした後、信越化学工業株式会社殿のQST基板とOKI独自の異種材料接合技術であるCFB技術との共創による縦型GaNデバイス実現に向けた新技術を紹介する。
キーワード:異種材料接合、次世代パワー半導体、次世代パワーデバイス、GaN、CFB
志村 大輔・太縄 陽介・岡山 秀彰・小野 英輝・伊藤 正紀
シリコンフォトニクスは、今後は機能素子や異種材料接合による新たな機能素子を用いた光集積回路のベースプラットフォームとして、開発が進んでいくことが期待されている。本稿ではシリコンフォトニクス技術の基本を簡単に紹介したのち、光集積回路プラットフォーム上に実現した、通信・センシング分野でのさまざまな機能をもつ光集積回路の概要を報告する。
キーワード:シリコンフォトニクス、光センシング、光通信
矢野 貴大・阿部 智・奥山 和典・浅野 欽也
レベル4以上の自動運転の実現にはV2X通信によって他車両や路側機などと情報交換する「協調型」の仕組みが求められる。OKIはこれまでV2X通信技術の開発を推進してきた。本稿では2022年度に取り組んだ内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)事業での成果を紹介する。
キーワード:自動運転、V2X通信、通信プロトコル、メッセージセット
橋爪 洋
自然災害の激甚化、インフラの老朽化が進む中、OKIは橋りょうや斜面、鉄塔などのインフラの健全度を遠隔から監視するモニタリングシステム「ゼロエナジーIoTシリーズ」を開発し、防災DXの実現に取り組んでいる。本稿では、「ゼロエナジーIoTシリーズ」の特長、および活用事例を紹介する。
キーワード:IoT、インフラモニタリング、センサーネットワーク、省電力、高感度カメラ
畠 直輝・川畑 尚也・小田 高広
OKIは業務に特化したエッジデバイスをマルチに連携したREMOWAYによる遠隔運用を短期間で効率よく実現するためのROMBOX®プラットフォームを新たに開発した。本稿ではROMBOXが解決する現場課題、ROMOBOXの特長、およびROMBOXを用いたソリューション導入で期待される効果を紹介する。
キーワード:ROMBOX、REMOWAY、高度遠隔運用、920MHzマルチホップ無線、マルチベンダー対応
鈴木 貴大
OKIは交通分野の社会課題を解決するため、さまざまな交通施策の仮想検証を可能にする交通のデジタルツイン構築技術を研究開発している。本稿では技術の要となる交通流シミュレーションと、その再現性を向上させるデータ同化技術を紹介する。
キーワード:交通流シミュレーション、データ同化、交通プローブデータ
木村 淳哉・徳満 昌之
個人の状況に合わせて適したメッセージをスマートフォンに送り、健康行動を習慣化させる行動変容技術について紹介する。また2022年度OKI社内で実施した実験結果を踏まえ、OKI行動変容方式の有効性を示す。
キーワード:行動変容、健康、生産性、プレゼンティーズム、階段利用促進
廣田 昌明・梶塚 秀治
OKI電線では、電線や光ファイバーの特徴を活かしたセンサー開発に取り組んでいる。セキュリティをはじめ、振動検知による設備保全など、センサー用途の広がりを踏まえ、技術の概要と特徴、想定用途や課題、将来展望などについて述べる。
キーワード:センサー、油検知、振動検知、ピエゾ、光ファイバー
齋木 祥廣・渡辺 啓介・若林 円
OKIの紙幣入出金機などのエンタープライズソリューション事業製品開発では、環境貢献やタイムリーな市場展開が必要である。本稿では、これらに応える次世代プラットフォーム技術を紹介する。
キーワード:紙幣入出金機、プラットフォーム
大久保 仁智・齋藤 賢一・北井 敦・沖野 正裕・齋藤 久志
電磁界解析ツールを活用し、開発初期の基板設計段階で実施可能な、放熱板を取り付けた基板の電磁界解析手法を確立し、EMI(電磁障害)フロントローディング設計の最適化を紹介する。
キーワード:基板、放熱板、電磁界解析、EMI
田中 公幸・大谷 慎一
OKIでは設計段階から受託するDMS活動に取り組んでいる。本稿では、お客様のコア技術とOKIグループで保有・蓄積する技術(モーター・通信制御など)を組み合せて、お客様の要望に応えるDMS活動内容を紹介する。
キーワード:DMS、EMS
OKI イノベーション事業開発センター CFB開発部 デバイス応用チーム
LEDプリンターで実績を誇るOKIは、2008年にLEDとドライバーの一体化を実現。それを可能にしたのがOKI独自のCFB(Crystal Film Bonding)というボンディング技術です。今回は、この画期的な技術をさまざまな分野に適用し、次世代半導体デバイスの新たな付加価値の創出に挑むチームマネージャーの谷川兼一にインタビューします。