透明フィルムや蒸着紙、クラフト紙などの多彩な用紙に対応し、最大360g/m²の厚紙にまで印刷できる「MICROLINE VINCI C941dn」。前回のGKグラフィックスに続いて、Vol.2となる今回は、チョコレート菓子や紅茶飲料などのブランド企画から、キャラクターやパッケージのデザイン、セールスプロモーションまでも手掛けるトッテモ・デザイニングにVINCI C941dnの活用効果を語っていただく。同社が抱える課題をVINCI C941dnがいかに解決するのか。その効果を検証した。
思い描くイメージを即座に具現化、新たな発想が生まれる好循環へ パッケージデザインの現場で、デザイナーが気になるのは、制作時のデザインと実際の仕上がりの差。トッテモ・デザイニングでは、制作の初期工程において、まずは普通紙にパッケージを印刷し、完成形をシミュレーションしながらデザインを検討する。 精巧なダミーパッケージを制作するのは、基本的にクライアントへのプレゼン段階。案件によっては、色校正が出るまで仕上がりを確認できないこともあるという。普通紙上で仕上がりを確認する段階では、当然ながら特殊紙の光沢や透明フィルムの透け感などをイメージしづらかった。 こうした課題に対し、VINCI C941dnの効果を実感するのは、同社クリエイテブディレクター/アートディレクターの細島雄一氏。 「普通紙はもちろん、メタリックやパールなどの蒸着紙や透明フィルムに印刷できるので、早期に仕上がりの方向性が見え、課題がわかる。改善を重ねながらデザインをブラッシュアップすることができる」(細島氏) デザインにおいて遊び心を大切に考える同社。制作過程でも自由な発想をもってあらゆる方向性からアプローチする。そんな試行錯誤を重ねるプロセスにおいても、VINCI C941dnの表現力が大きく貢献したという。 「VINCI C941dnであれば、デザイナーが思い描くイメージを、その場で具現化し、我々の好奇心にも応えてくれる。仮説・検証のプロセスを手軽に実践できることで、次の新たな発想を生み出す好循環をつくり、クリエイティブの可能性を広げてくれるだろう」(細島氏)
特殊用紙に対応するVINCI C941dnを活用することで、外注していたダミーパッケージも自社で制作でき、コスト削減につながる。さらに、アイディアをすぐに具現化できることで、精度の高い検証が可能に。デザインプロセスにおけるPDCAを加速し、創造の幅を広げる。
リアルなイメージの共有がクライアントの安心感と信頼へ 同社が提示したデザインは、クライアント企業内の営業や広報部門など複数部署の担当者だけでなく、経営層も確認するという。 「経営陣の多くはデザインの専門家ではないため、デザインを確認し判断する担当者や我々以上に、仕上がりのイメージを持ちにくい。彼らが安心して判断できるよう、実物と近いイメージの再現が重要視されている」と話す細島氏。 しかし、精巧なダミーパッケージを制作するには、平均数万円程度の外注コストがかかる。予算も限られる中、手軽に利用できるものではない。 細島氏は「VINCI C941dnなら紙の素材感も精密に再現するダミーパッケージを制作できるため、外注コストを削減できる。提案するデザインのクオリティが向上し、クライアントとの信頼関係の構築につながる。今後も彼らの期待を上回るデザインを手掛け続ける上で、VINCI C941dnの活用効果は高いと感じる」と評価した。
左:同社が手掛けたマトリョーシカ型の菓子パッケージ(写真中央)と、VINCI C941dnで印刷した出力。製品と比べても細部まで精密に再現されている。蒸着紙やクラフト紙、透明フィルムなどの多彩な用紙に対応。 右:米のパッケージも、VINCI C941dnで透明フィルムへ印刷すれば、透明部分の透け感が一目瞭然だ。
Corporate profile 株式会社トッテモ・デザイニング驚きと発見、好奇心と遊び心を大切に、さまざまな素材や手法を用いながら、常に新たな角度からデザインの可能性を探求し続ける同社。2013年、2015年には日本パッケージデザイン大賞 銀賞を受賞。 http://www.tottemoinc.com/