MICROLINE VINCI 評価レポート ~クリエイティブの現場から

株式会社ノンブル プロダクトデザイナー 植木明日子 氏


プロダクトデザイナー植木明日子が語る。特色ホワイトが使えることで発想が逆転。MICROLINE VINCI C941dn

※この原稿は日経デザイン2016年11月号タイアップ掲載記事を使用しています。

精緻な再現性と多様な媒体対応力を誇り、プロのデザイン現場で付加価値を生み出している「MICROLINE VINCI C941dn」。今回、MICROLINE VINCI C941dnを試用いただくのは、文房具メーカー「ノンブル」のプロダクトデザイナー植木明日子氏。MICROLINE VINCI C941dnの特色ホワイトに新たなデザインの可能性を感じた植木氏は早速、新製品の試作に取り掛かった。新たな道具を迎えたアトリエで、どのようなクリエイティブが生まれるのだろうか。

「白が使える」と見えてくる、新たなデザインの方向性

東京・東中野の一画にアトリエを持つノンブル。同社は文房具ブランドとして「水縞」を展開し、レターセットやポストカード、ペーパーバッグやマスキングテープなど、デスク周りを彩る幅広い製品を手掛けている。
水縞の名前の由来は、「水玉」と「縞々」からとったもの。普遍的でありながら、わずかな変化をつけるだけで幾通りもの表情を見せるこれらの模様をベースに、新しい切り口の表現を追求し「ありそうでなかった」文房具を発信している。和を感じさせる落ち着いた風合いや色調はモダンな中にどこか懐かしさがあり、若い女性を中心に高い支持を受けているブランドだ。
今回MICROLINE VINCI C941dnで試作したのは、そんな水縞の人気製品であるポチ袋。ちょっとしたお礼や会費などを渡す際に小銭や紙幣を入れるミニサイズの封筒だ。通年販売されている定番製品で、紙の素材感を活かした豊富な種類のデザインが支持されている。
「ポチ袋は常に柄のバリエーションを増やしながら、新鮮さを打ち出している製品。これまでになかったデザインを生み出し続けることは、自分自身の創作活動への挑戦でもある」。そう語るのは同ブランドを手掛けるプロダクトデザイナーの植木明日子氏。新デザイン開拓のため、このアトリエで日々、あらゆる方向からデザインの可能性を模索しているという。
今回、特色ホワイトを強みとするMICROLINE VINCI C941dnが道具として加わったことで、創作活動に大きな変化があったと話す。
「柄にかすれ感を施すなど、繊細な表現が多い水縞では、色の濃い紙に印刷すると、柄が下地の色に負けてしまい、思い描くイメージを表現できなかった。そのためおのずと選ぶ紙も白地のものが中心に。しかし、今回は特色ホワイトが使えることで発想が逆転。白は色紙の上でこそ鮮やかに映えるため、濃い色の紙も選択肢として加わり、表現の幅が格段に広がった」(植木氏)
さらに今回の試作で、今後の製品展開のヒントとなる気づきも得られたという。「MICROLINE VINCI C941dnが対応する透明フィルムでポチ袋を試作してみたところ、本来の用途以外に、ギフトカードや図書カードなどのラッピング用途としても活用できることを発見。透明素材なので、中身と合わせたデザインを施すことができる点も魅力。ポチ袋の新たな方向性として検討したい」(植木氏)。
今回試作したポチ袋の新デザインの数々。特色ホワイトが使えるからこそ映える色紙へのデザインは、今回植木氏が新たに挑戦した領域。

創作活動の中に自然と溶け込む、手の延長として気持ちの入る道具

水縞が大切にしているのは紙が持つ素材の風合いや、施す模様のかすれや混ざり感といった繊細な質感。それらが絶妙に調和することで、水縞の独特な世界観が完成する。しかしこうした表現は、PCの画面上で確認できるものではない。
「水縞のデザインは、紙の素材感が加わってはじめて作品として体温を持つ。試作段階で実際の紙素材へ印刷できると、デザインも素材に合わせて調整でき、より高い完成度を目指せる。またデザインを専用のソフトのみで行っていると、そのソフトができることの範囲内で表現が縛られてしまいがち。その場で印刷することで、PC側では実現できないことも素材の組み合わせなどを工夫して解決するといった他の手段も検討でき、デザイナーの視野を広げてくれる」(植木氏)
さらに、創作活動の中で新しい紙素材を次々と試し、新たな表現へ積極的に挑み続ける植木氏は、MICROLINE VINCI C941dnによって、製品の試作をアトリエ内で完結できるメリットとして次のように語った。「はじめて使う素材に印刷するときや、新しいタッチのデザインを試したいときには、外部へ見本制作を委ねるのではなく、可能な限り手元で具現化したい。そんな想いに応えてくれるMICROLINE VINCI C941dnは、デザイナーにとって、自身の手の延長として気持ちを入れられる創作活動の道具といえる」(植木氏)。
左:MICROLINE VINCI C941dnによる試作品(左2枚)と、既存製品(右端)。特色ホワイトと透明フィルムの活用により、これまでにない新鮮な表情が生まれた。 右:水縞のポチ袋はギフトカードなどの包装にも最適。透明フィルムなら、中身のカードと合わせた柄を施すことも可能だ。

profile

プロダクトデザイナー植木 明日子氏
株式会社ノンブルのプロダクトデザイナー。同社では水縞のほか、シュールな力士のキャラクターが人気の雑貨ブランド「西東(さいとう)」や結婚式の招待状などを制作する「PAPER WORKS」を展開。

http://nombre.jp/ External link

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