技術広報誌 OKIテクニカルレビュー

「社会の大丈夫をつくっていく。」OKIのテクノロジー

低消費電力、高速印刷、小型化を実現した、サステナブルなプリンター設計。

OKI コンポーネントプロダクツ事業部 開発本部情報機器機構開発第二部 春山 昌広(1998年入社)

カーボンニュートラル達成に向けて、メーカーには製造工程における環境負荷の低減と同時に、製品のさらなる低消費電力化や省資源化設計が求められています。今回は、プリンターの小型・低消費電力化に挑む機構設計エンジニアを紹介します。

【OKI入社の経緯】
小型機器の機構設計に興味を持ち、地元企業を選択

幼い頃から自動車などメカニクスに興味を持ち続け、大学では機械工学を専攻。この領域の王道は自動車やエンジンなどの構造設計なのですが、私の場合は電子機器など小型機器の構造に興味を抱き、地元企業に設計部門があるOKIデータ(当時)を訪問した際、明るい職場環境が気に入り、入社を希望しました。

【入社後のキャリアと現在の仕事】
入社以来、一貫してLEDプリンターの機構設計を手掛ける

入社後は希望通りプリンターの機構設計部門に配属となり、入社直後はプリンターの設計・評価を手掛け、2年目からは本体設計に携わっていたのですが、次第に定着器の構造設計に関わるようになりました。直近で手掛けたのは新型LEDプリンターの小型化・低消費電力化を実現する定着器の機構設計です。

【技術(製品)の特長、市場での優位性】
高速印刷を実現し、設置場所を選ばないコンパクト設計

私が設計を担当した「B822/B842」は、ウォーミングアップ時間を短縮するとともに、毎分45枚(B842)、37枚(B822)という高速印刷を実現し、特に官公庁・自治体、医療、金融機関など帳票類の大量印刷ニーズに対応します。また、本体サイズをコンパクト化すると同時に、消耗品交換のメンテナンススペース削減とフロントアクセスの実現により、デスクやカウンター下やラック内などにも設置が可能で、操作性・利便性も一層向上しています。

【技術(製品)の用途、解決する社会課題】
省エネ・省資源化を達成し、カーボンニュートラルに貢献

注力したのは環境性能の向上です。本製品は、印刷時のウォームアップ時間の短縮や高速印刷を実現しながらも国際エネルギースタープログラムVer.3.0に準拠した低消費電力を実現しています。さらに、従来機と比較して本体サイズを43%(体積比)削減することで、プラスチック、金属などの材料の省資源化と同時に、物流による環境負荷低減にも貢献します。

【苦労した点、ブレークスルー】
高速化と低消費電力化の両立と、効率的な冷却構造に苦心

定着器は、高温で融解させたトナーを用紙に圧着することで定着させるため、プリンターで最も電力を要し、低消費電力化のポイントとなる部分です。本来、高速化と低消費電力化はトレードオフの関係にあり、低消費電力化にはウォームアップ時間の短縮が必要です。そのため、ヒーターの効率化や熱伝導率を考慮したユニット内の部品素材の見直しなど、さまざまな工夫を行いました。また、本体サイズの小型化により、装置内の空気循環スペースも減少し、冷却効率もダウンしたため、限られたスペースでの効率的な冷却性能を得るための新構造の検討と検証にも苦労しました。

【今後の技術展開、目標、展望】
低消費電力化ためには、構造設計とともに部品素材の見直しも必要

定着器のさらなる低消費電力化を追求したいと思います。そのため、社内の電源装置部門やトナー開発部門、さらにはトナーメーカーなどとも幅広く連携しながら、素材の見直しを含め設計の最適化を図っていくつもりです。また、これまで本体、定着器の設計を担当してきたので、いずれイメージドラムも勉強し、プリンターメカ設計のコンプリートを目指すのが個人的な目標です。

用語解説

国際エネルギースタープログラムVer.3.0
省エネルギー型電気製品のための環境ラベリング制度。
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