技術広報誌 OKIテクニカルレビュー

巻頭言

「エッジプラットフォームで実現するイノベーション」特集号に寄せて

藤原 雄彦さんの写真





執行役員
イノベーション責任者
デジタル責任者
兼イノベーション事業開発センター長
藤原 雄彦

IMSの本格運用

「『昨日よりも今日、今日よりも明日』と常に新しいことにチャレンジしないとOKIの未来はない。」との経営層の逼迫した危機感の下、それまで散発的な活動であったイノベーションをシステマティックに興せる会社を目指して、2017年にイノベーション・マネジメントシステム(IMS)「Yume Pro」の構築を開始しました。2020年にはOKIのイノベーション活動の特徴として「全員参加型イノベーション」を宣言し、全社員がイノベーションに関与する意識を醸成することで、全社にカルチャー改革を拡大してきました。

そして、2023年から全社で「IMS本格運用」を開始、全34部門に「部門イノベーション責任者/推進者」を配置して推進体制を強化、定例の推進者連絡会を通じて活発な意見交換を行い、IMSの本格運用をけん引しています。

全員参加型イノベーション

OKIの「全員参加型イノベーション」は、新規事業創出や既存事業改革だけでなく業務改善もイノベーションと定義しているのが特徴です。その浸透度を図る目安である社内アイデアコンテスト「Yume Proチャレンジ」は、2018年に開始して以降、カルチャー改革推進とともに毎年応募件数が増え、2023年からは応募対象を「業務改善」アイデアへも拡大して、386件の応募がありました。そして、これらのアイデアをビジネスに活かすために、100人以上の「ハイポテンシャル・イノベーション人材」を集めた「加速支援コミュニティ」により、イノベーション活動経験の浅いコンテスト応募者を個々に伴走しながら、応募者のスキルアップとテーマの質向上につなげています。

中核人材ネットワーク

また、イノベーション中核人材ネットワークを構築するための「Yumeハブ」も継続しています。2023年に第5期生が活動を開始し、Yume Proの仕組みを学びながら社内課題解決やイノベーション創出に向けた行動を起こし、のべ180名が社内のイノベーション活動の中核を支えています。これらの活動は「Yume Proフォーラム」で全社発信するとともに、経営層へも報告して支援を受けながら実践に取組んでいます。

共創ワークショップ

さらに、Yume Proの仕組みをお客様と共に実践する「共創ワークショップ」も推進しています。両社から若手や中堅社員数名が集まり、チームを組んでテーマを設定し、デザイン思考や「Yume Pro」のプロセスに沿って、現場課題発見や仮説検証を繰り返します。最後は両社の上司や経営層に報告し、良いものは実現に向けて検討を継続します。2019年以来のべ17社との共創ワークショップを実施し、「1社単独では思いつかないようなアイデアが創出できる」とお客様の経営層からも好評価をいただいています。

グローバル化

国内で培ったカルチャー改革の仕組みを海外拠点であるGlobal Innovation Hub(GIH)にも共有し、「イノベーション教育」だけでなく、「Yume Proチャレンジ」、「加速支援コミュニティ」、「Yumeハブ」、さらにはイノベーション活動の情報共有を推進する「Yume Proフォーラム」、経営層と社員が直接対話する「イノベーション・ダイアログ/未来トーク」などのグローバル化も加速させていきます。

イノベーション戦略2025

これらの活動を通じ、2023年11月には、2031年のOKIのあるべき姿をバックキャストして策定した「イノベーション戦略2025」(参考文献1)を発表しました。

「物流」「ヘルスケア・医療」「高度遠隔運用」「CFB® (注1)(クリスタル・フィルム・ボンディング)」の4領域をイノベーション注力領域とし、初年度からの売上計上と有償で実施するPoC(コンセプト実証)の件数をKPIとして活動してきました。これらは、未成熟ではありますが今後数兆円規模への市場スケールが期待でき、かつOKIの強みである、高品位ネットワーク、リアルタイムインタラクションを有した「エッジプラットフォーム」が活かせる領域として設定したもので、パートナー各社との共創により市場参入を目指します。これにより、各領域間でのデータの横断的な活用を進め、ソリューション提供価値を高めるとともに、社会課題解決のスピードも高めていきます(図1)


図1 イノベーション戦略2025

イノベーション注力領域

「物流」領域では、2023年5月からAIによる配送計画最適化サービス「LocoMoses™ (注2)」の商用サービスを開始、着実にユーザー数を伸ばしています。

「ヘルスケア・医療」領域では、2024年4月に行動変容プラットフォーム「Wellbit™ (注3)」を発表しました。

「高度遠隔運用」領域では、商用化を見据えた有償PoCをスタートしています。Yume Proプロセスに則って現場にしっかりと入り込み、価値仮説の解像度を上げながら、2024年度には価値検証、そして2025年度の商用化に向けて活動しています。試行錯誤を繰り返しながら、着実に前進し、芽が出ています。

「CFB」は、LEDプリンター事業で培った半導体の異種材料接合技術です。この領域では、2006年に世界初となるLEDとICを機能融合した光電融合チップの量産化に成功し、18年間の量産実績を持つ成熟した技術で、パワー半導体・光デバイスなどへの水平展開を行うことで、2026年度からの事業化を目指し、各社と共創活動を推進中です。

これら新たな4領域で、OKIの創業150周年である2031年をターゲットに、500億円以上の事業創出を目指すとともに、グローバル展開も併行で進めることにより、更なる売上拡大を目指していきます。

これからも、イノベーション活動がOKIの将来事業創出のコアとなるよう、経営層を巻き込んだ仕組み改善を継続し、進化していきます。

おわりに

OKIのイノベーション活動は、「イノベーション戦略2025」として結実し、2031年の未来に向けた明確なビジョンを描いています。

今後も、OKIのイノベーション活動を通じて、企業の将来事業創出のコアとして進化を続け、未来を見据えた革新的なソリューションで「社会の大丈夫をつくっていく。」を実現します。

参考文献

(参考文献1)将来事業創出と企業風土改革に向けた「イノベーション戦略2025」を策定






  • (注1)CFBは、沖電気工業株式会社の登録商標です。
  • (注2)LocoMosesは、沖電気工業株式会社の日本における商標です。
  • (注3)Wellbitは、沖電気工業株式会社の商標です。
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