サステナビリティ

環境

生物多様性

基本的な考え方

私たちの社会は、土壌・大気・水などの自然資本や動植物の生態系から多くの恵みを受けており、生物多様性はそれらと深く関わっています。
OKIグループの事業活動も、生物多様性や自然生態系に依存するとともに、自然生態系へ影響を及ぼす可能性があります。近年、深刻化する生物多様性の損失や自然生態系の破壊を背景に、企業にはこれらの保全や持続可能な利用に向けて、積極的な取り組みが求められています。
OKIグループでは、「Taskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD(注1))」のフレームワークを活用し、主要事業活動の観点で自然資本に依存している点や、自然生態系に及ぼす影響について、体系的な評価・整理を進めています。こうした評価結果をもとに、リスクと機会を明確にし、具体的な指標と目標を設定することで、生物多様性の保全と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

  • 注1TNFD:自然資本等に関する企業のリスク管理と開示枠組みを構築するために設立された国際的組織。

ガバナンス

OKIグループは気候関連リスクをはじめとするサステナビリティ関連リスクを管理し、特定したマテリアリティに基づく取り組みを推進するため、2023年度より執行役員の中から環境責任者を任命し、生物多様性を含む環境ガバナンスの強化に努めています。

環境責任者は、環境の領域において、グループ全体方針および中期計画の立案を行い、グループ全体計画の達成に対する責任を負っています。サステナビリティの専任組織であるサステナビリティ推進部門、サステナビリティ推進部門担当役員と各主管部門が連携を取りながらマネジメントを行い、サステナビリティの取り組みを推進する体制を構築しています。

サステナビリティに関する重要事項については、経営会議において決定しています。上述の推進組織は、マテリアリティを具体化した環境・社会・ガバナンスの取り組み状況や課題について、経営会議への報告を行っています。取締役会に対しては、事業に大きな影響を及ぼす事項が報告されます。

戦略

1.自然との接点の発見(Locate)

OKIグループの主要な事業拠点について、以下の外部評価ツールを用いて、生物多様性の重要地域や水リスクに関する優先地域を特定しました。

評価項目 特定方法 評価結果
生物多様性の重要な地域 IBAT 国連環境計画世界自然保全モニタリングセンターなどが開発した、生物多様性リスクを評価するツールです。拠点周辺に生物多様性の重要な地域が存在するか評価するもの。
水リスク Aqueduct 世界資源研究所(WRI)により開発された、水ストレスや枯渇などの水に関するリスクを可視化する評価ツール

分析の結果、国内および海外の主要な事業拠点において、50km圏内に生物多様性の重要な地域が存在していることを特定しました。本分析は拠点周辺50kmを対象範囲としていますが、これは必ずしも事業活動による直接的な影響範囲を示すものではありません。しかしながら、事業活動に伴う汚染等が自然環境や生態系へ影響を及ぼす可能性があるものとして分析しました。
また、水リスク評価では、いずれの事業拠点においても「高リスク地域(評価スコアが “HIGH”以上)」と判定される拠点は特定されませんでした。一方で、日本国内の一部拠点では年間の取水量が10万m3を超えている拠点も存在していることから、水資源の効率的な利用および適切な管理が必要であることを分析しました。

2.依存および影響の評価(Evaluate)

次に、主要な事業活動における自然・生態系への依存および影響を、外部評価ツールの「ENCORE」(注2)を用いて特定し、評価しました。ヒートマップ評価表を表1に示します。

  • 注2生物多様性や自然資本に対するビジネス活動の依存関係および影響の概要を可視化するツール

表1.OKIグループの主要事業における依存と影響のヒートマップ評価表

表1.OKIグループの主要事業における依存と影響のヒートマップ評価表

表1の依存および影響に関するヒートマップ評価結果から、事業活動において自然資本や生態系への優先度が高い項目を特定し、それぞれの評価結果に関して検証を行いました。

依存/影響 優先度の高い項目 事業活動における生物多様性リスクの検証結果
依存 水資源の供給や浄化、水流の調整 水資源への依存や影響の度合いは全体として大きくはありませんが、広範囲の事業活動が関わっています。特に、LEDデバイス、プリント基板、金属加工、ケーブル製造などの事業では、他の事業と比較して取水量が多く、水資源への依存度が高い傾向があります。
これらの事業が所在する地域における水リスク(水ストレスや水資源の枯渇)は現状では低いとされており、現時点でのリスクは限定的であると考えています。
しかし、事業活動全体として水資源への影響や依存があることから、OKIグループ全体で水資源管理に取り組む必要があると評価しました。
洪水や暴風の緩和 気候変動の進行により、温暖化が加速し、洪水や暴風雨などの自然災害の頻度が増加するリスクがあります。OKIグループでは、TCFDに基づき、これらのリスク評価および対応策を実施・開示しています。(TCFDにて開示済)
影響 非GHG排出量 計測・制御機器製造事業では、影響を及ぼすリスクが高いと評価されました。しかし、評価の結果、事業規模としては影響が限定的であり、対象となる拠点数も限られています。また、当該拠点からの排出量も多くないことから、現時点での影響度は小さく、限定的であると判断しました。
水や土壌への汚染
(有害物質の流出)
OKIグループの全事業活動において、自然資本に対する汚染リスクが高いと評価されました。当社の事業活動には有害汚染物質を使用する工程が含まれているため、水や土壌への汚染が発生した場合、自然資本や生態系へ影響を及ぼす可能性があることを分析しています。
この評価を踏まえ、事業活動に伴い排出される有害化学物質が生物多様性の損失につながらないよう、管理対象物質の使用量や排出量を継続的にモニタリングし、適切な管理と排出抑制を実施する必要があると考えています。また、廃棄物中に含まれる有害化学物質の回収など、再資源化を積極的に推進し、資源循環の促進と有害化学物質の排出低減に取り組むことが重要であると評価しました。

3.リスクと機会の評価(Assess)

ENCORE分析によって把握されたOKIグループの事業活動の自然資本や生態系への依存および影響評価の検証結果に基づいて、移行リスクと物理リスクの観点から分類し、それぞれの区分ごとに主なリスクと機会を特定しました。

カテゴリー 想定する事象 リスク/機会 影響と戦略
移行リスク 規制強化への対応 リスク 水使用量や温室効果ガス排出量、有害物質の排出に関連する規則が厳格化することで、運営コストや製品開発への対応が必要となるリスクがあります。
  • 製造工程の効率化(水リサイクル)
  • 再生可能エネルギーの導入
  • 有害化学物質の低減、代替化
サプライチェーンへの影響 リスク 取引先や市場からの環境配慮要求が高まる中、要件に対応できない場合には信頼関係や競争優位性に差が生じるリスクがあります。
  • 環境貢献商品の拡大と創出
  • サプライヤー環境取り組み調査の実施
持続可能な事業運営の確立 機会 水使用量の削減による水資源の確保や、有害物質排出量の低減による気候調節といった生態系サービスを守る取り組みにより、安定した製造拠点の運営を可能にします。
環境配慮型製品の市場拡大 機会 環境性能を考慮した製品設計や省資源プロセスの推進により、環境配慮型市場への参入を加速します。
ステークホルダーとの信頼構築 機会 森林保全活動を推進し、地域社会や従業員、投資家からの評価を高めます。
物理リスク 水供給リスク リスク 事業活動が必要とする淡水資源の供給が、気候変動や生態系の変化により制約を受けるリスクがあります。
  • 水使用量の削減
異常気象や
自然災害の頻発
リスク 洪水緩和や気候調節の生態系サービスが低下することで、異常気象や自然災害に対する施設や製造活動への影響が懸念されます。
  • 気候変動BCP/BCMの強化

リスク管理

  • 年に1回以上、気候変動に関連する最近の事象を抽出し、これらがもたらすリスクや機会の影響度/頻度/発生時期などを評価し、重要度を特定しています。
  • 上記のリスクと機会に対する対応策を検討し、環境経営のグループ全体の計画を策定し、各組織や各拠点の環境実行計画に落とし込んでおります。これらの計画の実行状況は内部監査などによりチェックされ、必要に応じて是正されます。このプロセスはOKIグループ全体の環境マネジメントシステムにおいて統合的に管理されています。

指標と目標

指標 要因もしくは生態系サービス 基準年度 2025年目標
水使用量の削減 水資源 前年 0.2%以上削減
管理化学物質の抑制 水質汚染
土壌汚染
2015年 管理化学物質排出量
74,400kg/年 以下
廃棄物の再資源化 土壌汚染 - 再資源化率
84%以上

参考情報:生物多様性保全の一環として、森林ボランティア(植林活動)にも取り組んでいます。




公的研究費の不正使用および研究活動における不正行為等に係る通報も上記で受け付けます。

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