ほぼ週刊 CINOのつぶやき(チノつぶ)第55号
「OKIのイノベーション・パートナー(その5)」

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新規事業のプロ守屋実さん
OKIは、2019年8月から、Yume対談(※)に登場いただいた守屋実さんをYume Proチームにお迎えして、新規事業の加速支援をいただいています。守屋さんは、19歳で初めて起業して以来、ミスミ在職中および独立後今日に至るまで、一貫して新規事業に携わってこられました。2018年にブティックスとラクスルというベンチャー企業を2ヶ月連続で株式公開させて話題となりました。
※ 守屋さんの対談記事
Yume対談 「『新規事業創出のプロ』守屋実さんと対談しました(前編)」
Yume対談でも紹介しましたが、守屋さんが新規事業一筋に30年間の経験でつかんだ新規事業創出プロセスとYume Proプロセスは、驚くほど一致しています。また、対談の中で、「新規事業の成功確率を上げるためには、やったことのある人をメンバーに入れた方が、確実に確率が上がる」という指摘をいただいていましたが、守屋さんにメンバーとして加わっていただくことで、Yume Proを加速させたいと考えています。
守屋さんには、週一回のペースで、さまざまなプロジェクトについてアドバイスをいただいていますが、実体験に基づく的を射たコメントは貴重です。ビジネスモデルキャンバスで言えば、顧客セグメントや提供価値のための活動に関する指摘も多いですが、経験と実績に裏打ちされているので、説得力があります。
経営と現場で共通認識を作る
守屋さんがミスミで新規事業に携わった際には、カタログ通販というミスミの強みを活かし、本業の生産材以外の分野で、国内で新規事業を作るという方針が経営から現場まで共有されていました。どこを攻めるのかが共有されていないと、現場が取り組んでいることに対して、経営側から「そんなことをやって欲しいと思っているのではない」と言われ、いざこざが生じるパターンが、あちらこちらで起こっているとの由。
イノベーション・マネジメントシステムの国際規格ISO 56002においても、イノベーション・プロセスに入る前に、「機会に関する意図」を持つことが必要と指摘されています。この意図が共有されていないと、プロジェクトを円滑に進め、いい案件を事業部に橋渡ししていくことはできません。もともとISO 56002は、世界中の新規事業のプロが集まって、ノウハウを集大成させたものなので、守屋さんのアドバイスと通じているのも自然なことなのかもしれません。
魔物を見極める
また、守屋さんからよくご指摘いただくのは、「だいたいどんなアイデアも、同じことを考えた人は10人、100人といるはず。自分たちは、11番目、101番目で挑戦することになりますが、これがビジネスになっていないというのは、どこかに魔物がいる。どこに、どんな魔物が潜んでいるかを見極めて対策を立てないと絶対にうまくいかない。」ということです。魔物は、規制だったり、職場の文化だったりと一様ではないため、理屈で考えるのでは無く、現場を知ることが大切になります。
ネットワークを広げる
30年間、新規事業一筋で築かれたネットワークも魅力です。今後、Yume Proプロセスで新規事業を興していく際に、守屋さんを起点として、様々な分野の専門家と共創活動を行っていけることを期待しています。
(2019年12月2日、チーフ・イノベーション・オフィサー(CINO)横田 俊之)