ほぼ週刊 CINOのつぶやき(チノつぶ) 第24号
「オープン・イノベーション推進者交流会議」(その2)

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先々週のチノつぶ第22号で、一般社団法人企業研究会のオープン・イノベーション推進者交流会議についてご紹介しました。今週は、続編で、参加企業の皆さんとの質疑について紹介したいと思います。
イノベーション研修で学んだことを継続的に実践していくことは難しいと思います。モチベーションを維持していくために取り組んでいることは何ですか?
今年度、経営層から始めて、部門長、部課長クラス千人を対象に行っているイノベーション研修ですが、研修内容のポイントは2つあります。まず、SDGsに掲げられている社会課題から事業機会(起こすべきシフト)を見い出すこと。(詳細は、チノつぶ第6号をご覧ください。)そして、見い出した事業機会をBMC(ビジネス・モデル・キャンバス)を使ってブラッシュアップし、質を高める方法を学ぶことです。丸一日のワークショップですが、研修を受ければ、すぐに身について現場で実践できるというものではありません。
そこで、いくつかの仕掛けを考えています。その1つが、Yume Proチャレンジです。これは、今年度からスタートした社内表彰ですが、アイデア部門と成果部門に分かれています。いずれも、イノベーション研修で学んだシフトやBMCを使ってアイデアや成果を説明するところがミソで、学んだことを使いこなす機会になります。
Yume Proは、トップダウンで進められていますが、一般社員に取り組んで欲しいことや、部下にしてもらえたら嬉しいこととは何でしょうか?
先日、内閣府でイノベーション担当の石井企画官をお招きして意見交換した際に「トップダウンで、これだけの規模の取り組みを行っている例は珍しいので、来年の日本オープンイノベーション大賞を目指してください。」と激励されました。その際、「トップダウンと併せて、若手のボトムアップがあるとさらに強力ですね」というアドバイスもいただきました。
その時にご紹介したのが、来年度から実施を予定しているYumeハブという取り組みです。これは、イノベーション研修後の懇親会で若手社員から出てきたアイデアです。研修で学んだことを浸透させるため、各部門にエバンジェリストを育てていくという仕組みです。イノベーションを自分事として捉えて、身につけられるよう、エバンジェリストが核になってグループ内で活動を行っていく予定です。
こうした活動を通じてグループ内に裾野が広がり、若手社員から積極的な提案がどんどん上がってくることを期待しています。
社内改革を進め、ベンチャーやこれまでと違う方々とお付き合いがあると、法務や知財など社内部門とのハレーションがあるのではないですか?
イノベーション研修は、すべての部門の社員を対象に実施しているので、法務や知財部門の社員も参加しています。こうしたこともあって、法務・知財部門でも、Yume Proの活動を理解していただき、配慮してもらえる環境となっています。
Yume Proでは、ベンチャー企業との連携を行っていますが、スピードが大切だと考えています。ベンチャーのスピード感についていけないと相手にされません。幸いにも、Yume Proは、社長のコミットメントのお陰で、ベンチャーよりも素早い判断ができているという評価をいただくこともあります。
こうした事情もあって、ベンチャー企業とのお付き合いについては、これまでのところ、あまり苦労したことはありません。
(2019年3月25日、チーフ・イノベーション・オフィサー(CINO)横田 俊之)