ほぼ週刊 CINOのつぶやき(チノつぶ) 第6号 何故SDGsに掲げられている課題解決を目指すのか?(その2)

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イノベーションの方向性が不明確
チノつぶ第5号では、「顧客への提案能力が低い」という課題にフォーカスしましたが、「方向性が不明確」という問題点も浮き彫りになりました。OKIは、「"モノづくり・コトづくり"を通して、より安全で便利な社会のインフラを支える企業グループ」を目指す姿として掲げています。こうしたビジョンはあるものの、新規事業に取り組んでいく際、具体的に何を目指すべきかという話になると、方向性がハッキリしないという課題です。SDGsに着目することは、実は、こうした課題への対応にもなるのです。
現状とあるべき姿のギャップを埋めるのがイノベーションだ
現在、OKI社内で行っているイノベーション研修。第3号で「千人研修」として紹介しました。この研修のポイントが、「現状」(A)と「あるべき姿」(B)へのシフトです。たとえば、ウォークマンは、「音楽を聴くのはオーディオ機器のある場所に縛られる」という状態から、「音楽を携帯する」という状態にシフトさせました。もともと、SONYの創業者 井深 大さんが、人に迷惑をかけずに、ステレオを一人で聞きたいが、何とかならないかと考えたことがキッカケでした。

「AからBへのシフトを探せ」
おなじくSONYの創業者の一人である盛田 昭夫さんは、若い人は音楽なしでは片時も過ごせないから、携帯可能なカセットタイプのステレオが必要なはずだと確信します。20世紀を代表するイノベーションは、こうして誕生したという訳です。問題は、ウォークマンという商品が無かった時に、「音楽を携帯する」というニーズがあることに、なかなか気づかないということなのです。千人研修では、常に意識して「AからBへのシフト」を探すことを課題にしています。一度、Bの状態を知ると、二度とAには戻れなくなるようなシフトが、イノベーションの種となります。
SDGsは「B」の宝庫だ
常に意識していても、筋のいい「AからBへのシフト」というアイデアは生まれません。そうした中で、17分野169のターゲットから構成されるSDGsは、2030年までに達成すべき「あるべき姿」のリストは、アイデア創出の源となります。たとえば、Yume Proヘルスケア・チームは、「2030年までに、非感染症疾患(NCD)による早期死亡を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健および福祉を促進する。」 (3.4)という課題解決に取り組んでいます。SDGs起点で考えることによって、興すべき「AからBへのシフト」の明確化を行い、イノベーションを創出することに取り組んでいます。
(2018年11月5日、OKIチーフ・イノベーション・オフィサー(CINO) 横田 俊之)