Yumeトーク第54回
DXソリューションで社内と社会の課題を解決する(後編)
SUMMARY
OKIはSociety5.0に向けた成長を支える「DX-Ready」な企業として、2021年7月に経済産業省より「DX認定事業者」の認証を得て、パートナーとともにDXの社会実装とビジネスの拡大を推進しています。今回は、その司令塔となるソリューションシステム事業部・DX事業推進センターのキーパーソン6名に藤原CINO兼CTOが、前編・後編の2回にわたりOKIのDX事業戦略とDXソリューションについてインタビューします。

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ローカル5Gと音響センシングをコアにしたDXソリューション
藤原マーケティングSEチームの取り組みについて、金丸チームマネージャーにお願いします。
金丸マーケティングSEチームは、主に2つのテーマについて活動しています。一つが近年非常に注目されているローカル5Gシステムです。SIerとしての事業化に向け、実証実験などの推進をしています。もう一つは、OKIが長年の実績を持つ海洋音響技術を応用して、民間市場を含めた新領域を創出するための活動です。それぞれ、ネットワークシステム事業部、特機システム事業部と連携しながら進めています。
藤原無線による移動体通信はOKIとしての強みを発揮できる技術ですが、あくまでもコミュニケーションの手段だと思います。そこでローカル5Gが活用できそうな領域はどこだと思いますか?
金丸ターゲットとして考えているのは2つあります。製造業におけるスマート工場化に向けた市場と、建設業における建設機械の遠隔操作などの市場です。
藤原そこの領域で、何故、ローカル5Gが必要なのでしょうか?
金丸これらの市場では、無線システムとしてWi-Fiなどが使われていますが、通信速度や通信距離、通信の安定性などに課題があります。また、キャリア5Gは、高速大容量の通信は可能ですが、端末への動画配信など下り方向の高速化を主体とする規格となっています。一方、工場や建設現場では、高精細カメラの映像データなど端末から上位システムへの上り方向の高速化が求められています。ローカル5Gは自営システムですので、そのようなニーズに応じてカスタマイズして構築できるということが最大の特長だと思っています。

藤原では、製造業、建設業の現場で、現在、一番の困りごとは何ですか?
金丸他の領域と重複する社会課題だとは思いますが、労働力不足と生産性の向上です。それと、特に、建設現場では安全管理/安全性の確保というのも大きな課題です。たとえば、災害時の復旧工事など、立ち入りが危険な建設現場で、建設機械の遠隔操作や自動運転によって安全性を確保するということになります。
藤原私は常々、防災関連システムにおいて実績のあるOKIは、「自然災害」に向けた取り組みをさらに強化し、社会貢献すべきと思っています。DX事業推進センターとして防災についてどう考えているのか聞いてみたいです。
金丸災害を起こさないようにすることと、災害が発生しても被害を最小化することの2つの視点があると思います。後者に関しては、災害を予兆したり、発生した場合に早く知らせることが必要だと思いますが、OKIのセンサー技術や通信技術などが活用できるのではないかと思います。
藤原いち早く住民に知らせる仕組みづくりとしては、AIエッジコンピューターが打って付けでしょう。
浜口水害の予兆・防災という点では、すでにOKIの水位計を河川に設置し、水門の開け閉めの管理などは、もう着手しています。
藤原防災に関しては、先ほども話題に上がったGXとも絡めて、OKIとしてまだまだやれることは多いと思います。
DXソリューションとAIエッジコンピューティングによる高度な遠隔運用
藤原話しが少し逸れてしまいましたが、次に、プロダクトSEチームについて、伊藤チームマネージャーにお願いします。
伊藤プロダクトSEチームは、OKIの注力プロダクトを活用したソリューション提案やPoC(Proof of Concept)の推進を主なミッションとしています。具体的なプロダクトとしては、AIエッジコンピューター(AE2100)を中核とし、フライングビュー、3D LiDARとカメラ連携による現場監視システム、光ファイバーセンサーなどを使って、リアルタイム性、安全性の高い、エッジを強みとした様々なAIエッジソリューションを開発しています。近年、特に労働力不足、ニューノーマルにより顕在化した遠隔運用、自律運用化の要求が高まっており、高度遠隔運用サービスの拡大に向けたDXソリューションを創造しています。

藤原この中でもAIエッジコンピューターは、OKIの注力プロダクトですが、この技術的な価値をお客様にどのようにアピールされていますか?私としては、断然、リアルタイム性を強調して欲しいと思っているのですが…。
伊藤リアルタイム性に加えて、確実につなげることがポイントですね。多数のモビリティや端末などにおいて、AI分析を含めてエッジで処理することでリアルタイム性を高めることができ、かつ、様々な無線ネットワークに応じて途切れないサービスを安全に実現するソリューションをお客様と実証実験を重ねながら進めています。また、OKIが進めている高度遠隔運用は、お客様が1対nでも最適な運用ができる環境を目指しており、今後急速に進展すると想定される遠隔運用サービスにおいて様々なメリットが生じると思います。
藤原想定の範囲で、どのようなメリットが生じるのですか?
伊藤たとえば、各種の構内自動運転バスや自動搬送トレーラーなどが実現に向けて加速しています。通常時は車両自体で安全性を分析、判断することで自律走行していますが、センサーの誤検知など、何らかの異常があった場合停止してしまい、どうしても遠隔オペレーターが介在して判断、対処することになります。その際、オペレーター1人が複数台の車両周囲の安全性を映像で確認し、遠隔操作で対処できれば、人員の削減や作業負荷が軽減されるという大きなメリットが期待できます。また、各種AIの活用によりオペレーターの人的ミスをカバーする仕組みも段階的に提案、実現していきます。現在、パートナー様が進めている車両、建機、船舶、ロボットの自律運転・遠隔操縦における高度遠隔運用のDXに貢献したいと思います。
藤原そういう具体的な活用シーンを想定し、OKIの技術や製品の特長を活用したソリューションを考えて欲しいと思います。
駒井OKIは航空管制、交通の指令卓、ATMの集中監視など豊富な実績があるので、今後は、そういう分野にAIエッジコンピューティングによる高度な遠隔運用を提案してみる価値はあると思います。
DXの取り組みで社内も社会も変革する
藤原最後になりましたが、これは非常に大事なタスクです。プロモーションチームの浅沼チームマネージャー、最後を締めてください。
浅沼世間的に見て、OKIの知名度は決して高いとは言えません。昔から知っている人でも、せいぜいプリンターやATMの会社という程度の認識だったかと思います。その理由は明解で、長い間OKIには安定したお客様がいらっしゃったため、他の分野では情報発信に積極的でなかった側面があるからです。そこで我々は、これまでOKIのことをあまり知らなかったお客様に対してもOKIのDX領域やイノベーションなどの取り組みについて攻めの姿勢でアピールしています。様々な形で対外的な情報発信を積極的に行うことで、より多くの方々にOKIの高いポテンシャルを知ってもらいたいと思っています。

藤原実際、どのような情報発信をしているのですか?
浅沼これまでは、完成した商品・サービスについて発表するというスタイルが主でしたが、実証用の商品・技術が出来た、お客様との共創案件が立ち上がった、実証試験が始まったなど、プロジェクトの節目節目でプレスリリースやイベント出展などを通じて情報発信しています。先ほども話題となったフライングビューは、数年前から何度も情報発信を繰り返し、そのたびに新たな共創パートナーを獲得、最終的には28社の共創パートナーを得て商品化されたという理想的なイノベーションの成功事例です。このように、OKIが今やろうとしていること、考えていることなどをOKIの強い技術や商品に絡めて発信しています。
以上が対外的なプロモーション活動です。これに加えて社内的なプロモーションも重要です。つまり社内での共創を促すための活動です。OKIは伝統的に部署単位での独立性が高い事業領域もあり、他の部署が何をやっていて、どんな技術を持っているかなどの情報を共有できていないことが多いので、イントラ活用や社内交流を通じた技術の棚卸し活動も行い、本部横断テーマの推進を支援しています。
藤原Web対策などは、どうなっていますか?
浅沼これまではSEO対策などOKIのWebサイトの再構築に注力してきましたが、OKIを知らなかった方を如何に引き込むかにも目を向け、YouTubeやSNSなどの普及とともにこれに対応した施策も実行中です。つまり、「ググる」から「タグる」への対応ですね。
藤原世の中の価値観などがどんどん多様化している中で、それらのニーズに対応するためには、一企業での活動では限界があります。だからこそ、他社との共創が必要で、未知のパートナーを発掘するためにも、とにかくOKIをアピールすることが大事だと強調しておきます。
そして、私たちが目指すのは、DXの取り組みで社内も社会も変革する「DXイノベーション」だ!ということを今日の結論としたいと思います。皆さん、今日はありがとうございました。