Yumeトーク第29回
社会課題や顧客起点でビジネス創出を目指す(後編)
SUMMARY
今回は、チーフ・イノベーション・オフィサーの横田とソリューションシステム事業本部金融・法人ソリューション事業部イノベーション推進部の岩木 亨部長、顔 正修、加部 隆久が、運輸流通系のお客様向けのソリューションについて語り合います。(後編)

左上から時計回り横田CINO、岩木部長、顔、加部
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運輸系のお客様の困りごとを解決する
横田顔さんは、運輸系のお客様向けのソリューションを担当されていますが、どのようなプロジェクトに取り組んでいるのでしょうか。

OKI執行役員 チーフ・イノベーション・オフイサー
横田 俊之
顔先ほどお話ししたとおり、お客様の困りごとは人手不足です。訪日外国人も増えている中で、多言語での様々な案内をCounterSmart(※1)のKIOSK端末を用いて実証実験を行いました。ユーザーエクスペリエンス評価や課題抽出を目的に2018年12月から2019年11月にかけて都内で2回実施しました。
※1 CounterSmart:OKIが得意とする金融機関向け窓口端末や旅客交通向け券売機、コンタクトセンター向け遠隔支援のノウハウを活かして開発したミドルウェア

ソリューションシステム事業本部金融・法人ソリューション事業部イノベーション推進部 スペシャリスト
横田お客様からの評判はどうですか?
顔ATMのユニバーサルデザインなどの端末で培ったノウハウがあるため、健常者でない方に対しても優しい操作性があることなど、高い評価をいただいています。
横田エンドユーザーの評価もフォローされているのでしょうか。
顔大切なポイントです。ログ解析などによるデータに基づいたユーザーエクスペリエンスの改善を都度行っています。アバターの「コトネちゃん」も、初代はまじめキャラでしたが、幅広いお客様から支持していただけるようなキャラクターにしています。今は、様々な公共交通機関の施設や流通小売などからも引き合いがあり、活用の場をBU(ビジネスユニット)の方で検討を行っています。
2階と1階の円滑な連携のポイント
横田イノベーションのコンセプト創造・検証を行うイノベーション推進部(2階(※2))と、ソリューションの開発・導入を担当するBU(1階(※2))との間で、うまく連携できているのですね。
岩木お客様の困りごとから我々の技術を活用したソリューションを考え、お客様と相談しながら検討を進めていきます。是非そのソリューションを使いたいということになると、そこに開発部隊が必要になります。そうした連携を上手にやっていくことが重要だと思います。
横田BUに円滑にバトンタッチするために、心掛けていることは何でしょうか。
顔BUと一緒に動くところがポイントです。お客様の課題を共有することが、ものすごく大切です。
加部それから、しっかりとステップを踏みながら進めていくことです。プロセスを明確にして、しっかりと段取りを進めていくことがスムーズなバトンタッチの秘訣です。
横田昨年7月にISO 56002が発行されましたが、OKIでは、8ステップのYume Proプロセスで新規事業を進めています。
加部最終的にお客様にソリューションが導入されて、はじめて価値が実現します。プロセスに沿って進めていく方が、お客様の理解が早いです。また、OKIのSEの対応もスムーズに進みます。
今後のチャレンジについて
横田これから、どのような分野にチャレンジしようとしているのでしょうか。
加部工場の中では、人手に頼るところが沢山残っています。
横田今、注目しているのは、どんな工程ですか?
加部検査工程です。これは、どの工場も人手に頼っていますが、熟練工の技術継承や人材不足という社会課題をかかえております。OKIは自社のAIエッジコンピューターを活用し、人の目の代わりに、映像をマシンラーニングさせて省力化する取り組みを進めています。

ソリューションシステム事業本部金融・法人ソリューション事業部イノベーション推進部 スペシャリスト
横田現在、OKIの工場で実証しているプロジェクトですね。お客様を工場にご案内する機会も多いのでしょうか。
加部営業部門から月に3~4回はご案内していると聞いております。ペーパーでの説明もしますが、現場を見ていただくと一目瞭然です。工場がショールームになっているという感覚です。
顔空港や駅では様々なニーズがあります。音響センサーを活用して、施設内のエスカレータやエンジンなどの異音を検知することで、故障を早期発見できないか検討を進めています。音響センサーは、非接触で、いろいろな方向からの情報を取得できるため、様々な場面での活用が考えられます。
横田音響や振動など様々なセンシング技術を持っているところがOKIの強みですよね。
顔映像を使ったものもあります。たとえば、ベルトコンベアの流れを阻害する規格外荷物をディープラーニングを用いてAIで識別し、検知するソリューションも実証中です。
横田ソリューションシステム事業本部では、パートナーとの連携も積極的に行っていますね。
顔スタートアップ企業、大企業など様々な企業と連携しています。画像認識などは、撮影技術に長けた企業と一緒に仕事をしています。
横田パートナー選定のポイントは何ですか?
顔OKIにない強みと真摯な対応力を持っていることが鍵ですね。現在、連携しているパートナーとは、円滑に仕事ができています。
横田最後に、今後の抱負をお聞かせください。

ソリューションシステム事業本部金融・法人ソリューション事業部イノベーション推進部 部長
岩木今日は、製造、運輸・流通といった分野での取り組みについて、お話ししました。こうした分野に共通して活用できるソリューションもあると考えています。また、上長からは、PoCだけではダメだといつも言われています。社会実装することで、OKIが社会に価値を提供できるように取り組んでいきたいと思います。
顔私も、事業につながるものを進めていきたいと思います。特に、昨年、発表したAIエッジコンピューター「AE2100」を活用したソリューションを提供し、OKIのプレゼンスを高めていきたいと思います。
加部工場現場では、まだまだ沢山の課題が山積しております。こうした課題解決型のソリューションは、他の分野の課題解決にもつながるものがあると考えています。今後も積極的に市場の幅を広げて展開していきたいと考えています。
横田まず、具体的なお客様の困りごとを絞り込んでソリューションの開発を行い、そのソリューションの適用分野を広げていくことは、一般的なイノベーション・プロセスでもありますね。まさに、OKIグループで進めているYume Proプロセスだと思います。ぜひ、グループ全体に実装できるよう、一緒に広めていただければと思います。