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シリーズ・特集

Yume対談

Sep.3,2021

Yume対談
「中央大学×OKI AI・データサイエンス社会実装ラボの成果と課題」(前編)

SUMMARY

OKIは中央大学と連携し、AIの社会実装およびAI人財育成を狙った「AI・データサイエンス社会実装ラボ」を、中央大学の後楽園キャンパス(東京都文京区)に開設しました。
コロナ禍が続く中で、同ラボはどのような成果を上げたのか。また、今後はどういう展開をしていくのか――。この1年間と先々の展望について、ラボの責任者を務めていただいている中央大学 理工学部教授・理工学研究所長の鎌倉稔成(かまくら・としなり)先生と、藤原雄彦CINO兼CTOが対談しました。その前編をお届けします。

中央大学 鎌倉教授(左)とOKI 藤原執行役員CINO兼CTO(右)の写真
中央大学 鎌倉教授(左)とOKI 藤原執行役員CINO兼CTO(右)※緊急事態宣言前に対談を行い、コロナ対策を実施しております。

データ分析に関する共同研究で付き合いは10年以上

藤原「AI・データサイエンス社会実装ラボ」の開設から約1年が経ちました。この間の種々の活動に多大なご支援・ご協力をいただき本当にありがとうございます。また、その成果や今後の展望について直接お話しできる機会をいただけたことに感謝いたします。
鎌倉先生とOKIのお付き合いは、実はこの1年ではなく、もう10年以上にもなりますね。

鎌倉OKIさんと私が指導教授務める中央大学統計データ解析研究室が、データ分析に関する研究での連携をスタートさせたのは2008年まで遡ります。当初はセンシング系AIの研究が中心でした。装着型加速度センサーによる行動認識、アクティブタグを用いた位置推定、ドップラーセンサーを用いた高感度な人感センサーや生体センシング、さらに、LiDARや電波センサーを用いた歩行センシングといった技術研究に取り組みました。
この5年ほどはアナリティクス系AIが主軸でした。OKIさんの機器製造現場に向けた消耗部材需要予測技術の開発では、既存の予測システムよりもかなり精度の高い結果を得ることができ、ずいぶん喜んでもらえたことが記憶に残っています。この研究については、当時は集められなかったデータを加え、OR(Operations research:オペレーションズリサーチ)系を専門とする先生にもプロジェクトに参加してもらい、在庫管理まで含めたより高度な予測技術を開発すべく、再始動させる予定です。

藤原部材需要予測技術は実際に導入し、現場の課題解決に大きく役立っています。センシング系AI技術を活用した高齢者見守りシステムなど具体的な製品やソリューションもOKIブランドでリリースさせていただいています。また、睡眠や歩行などの生態センシングデータは昨今、年代を問わず健康維持のための指標として重要視されるようになりましたから、先見性のある技術を一緒に開発できたことが、いまのOKIにとっての貴重な財産にもなっています。

中央大学 鎌倉先生の写真
中央大学 鎌倉先生

両者の関係は同じ方向を目指す「エコシステム」

藤原長年の共同研究で築いた信頼関係が礎となって、AI・データサイエンスの共同研究で包括連携する協定を結び、「AI・データサイエンス社会実装ラボ」が設立されました。OKIはイノベーション活動の一環として、社会課題解決のキーテクノロジーとして「AIエッジ」現場の課題解決に寄与するリアルタイムインテリジェンスに注力し、同時に社内のAI人財の育成にも取り組んできました。2019年5月に全社横断的なAI環境整備プロジェクトを立ち上げ、同年9月にはAIに関するすべての企業活動の指針をまとめた「OKIグループAI原則」も制定しています。こうした一連の施策の中で、中央大学との連携もさらに強化すべく、イノベーション推進センター(IPC)が主導してアクションを起こしました。

鎌倉OKIさんから声かけがあって検討を始めたのは2019年の秋でした。中央大学ではその頃、産学連携を通じた実課題解決や人財育成の推進を目的とする大学付置の組織「AI・データサイエンスセンター」(所長:樋口知之 理工学部教授)を設立するための準備を急いでいました。まさに、双方がタイミングよく同じ方向へと動いていたわけですね。同センターは2020年4月に新設され、その中に設置されたラボの第1号が「AI・データサイエンス社会実装ラボ」です。

藤原OKIとしては、われわれが有する現場の実課題やデータに関する知識・経験と、中央大学が有する最先端の学術的知見・リソースの融合によって、AIの社会実装と実践力のあるAI人財育成を加速させることが大きな狙いです。鎌倉先生は、この連携の形を「エコシステム」だと言ってくださいました。

藤原CINO兼CTOの写真
藤原CINO兼CTO

鎌倉産学連携の事業では、企業が委託側でコストを捻出し、大学は受け手として納期や成果報告などの要求に応えるというケースが少なくありません。しかしOKIさんとの連携は、どちらが上かあるいはどちらが教えるかといったことではなく、対等の立場で互いの強みを持ち寄り、「一緒に問題を解決するんだ」というパートナー関係での取り組みだと捉えています。
また、私は10年以上前に、研究者育成のための社会人へのリカレント教育支援および社会連携を通じた学生教育の目指すべき姿を「社会連携の期待」という図で提示し、「課題解決に必要なことはコンサルテーションではなく、共創であり、互いに知恵を出し合うこと」を強調しました。このときに描いた図が、OKIさんとの連携でようやく実現できたと思っています。

ラボ運営でOKIの柔軟さ迅速さに好感

藤原ラボの具体的な活動では、OKIから実課題と実データを持ち込んで、中央大学との混成チームで課題解決に取り組み、社会実装を目指します。チームは、OKI社員がプロジェクトリーダーとなり、ラボに常駐されている先生方に伴走者としてサポートを受けながら、OKIからIPCの研究員や事業部門のSE、OKIソフトウェアの開発者など、中央大学から教員や学生の方々がメンバーとして参加します。課題によってさまざまな分野の知識が求められるので、鎌倉先生の人脈を活用させていただき、必要に応じて各専門分野の先生方にもアドバイザとして加わっていただきます。
現在の進捗状況としては、6つのプロジェクトを実施中で、AI技術者17名・AI案件プロジェクトマネージャー4名を育成中です。当初に掲げた目標が、3年間で15程度のプロジェクト実施、AI人財40~50名の育成ですから、順調に進んでいるといえます。
ただ、新型コロナウィルス感染症の影響は少なからずあったかと思います。ラボの開設時期も当初の計画より少し後ろ倒しになりましたし、ミーティングや施設・設備の活用なども思うようにはできなかったのではないでしょうか。

鎌倉そうですね。コロナ禍の中の船出でしたから、ある程度の覚悟を持って感染予防のための工夫をしながら運営してきましたが、さまざまな活動の中でもどかしさを感じた場面も多々あったのは確かです。
それでも私は、OKIの方から要望が高かったAIのメソッドに関する解説をリモートで行ったとき、「こういうやり方も悪くないな」と思いました。数理的な事柄は、皆で集まってホワイトボードに書いたり消したりしながら議論することも面白味があって大事ですが、データの共有や記録保存などの簡単さを考えればオンラインを利用する価値も十分あることが、実際にやってみて分かりました。

藤原いまはリアルとバーチャルのハイブリッドでいろいろと物事を進めていかなければなりませんが、そうした状況下でも手応えを感じていただけることがあるのはうれしい限りです。
リアルな活動ということでは、ラボ開設から間もない頃、先生方にOKIの高崎事業所や本庄工場へ足を運んでいただき、製造ラインやATM、プリンターの実機を見ながら、それぞれが抱える課題について理解を深めていただきました。

鎌倉実際の製造現場に入ってみて「すごいことをしているんだな」とつくづく感心しました。たとえば、はんだ付けの工程を見学しながら、その良否判定などに関する説明を受けたのですが、クラシックな工法に最新のテクノロジーを用いて精度向上を図っていることや、はんだ付けした部品が極めて高品質を求められる分野でも利用されていることなどを知って、正直驚きました。そして、精度をさらに向上させるために「あの技術やこの技術も使えるのではないか」と、研究者としての興味も掻き立てられました。ラボの活動において大学側の果たすべき役割の1つは、あらゆる理論、あらゆる分野の力を使って物事の真理を探求していくことです。そういう点で、「OKIさんは非常に面白い課題を提供してくれるな」と、現場を見て強く思いました。

対談の様子の写真
対談の様子

藤原ラボの運営面に関して、この1年のOKIとのやり取りの中で何か感じられたこと、印象に残っていることはありますか?

鎌倉まず、OKIさん側の窓口的な役目を担っている須崎さん(※1)、竹内さん(※2)が、コミュニケーションを密に取っていろいろと動いてくれていることに、とても感謝しています。お二人からのメールが届かない日はないというくらい、「お忙しいだろうに、よくこんなに時間を取れるな」と思うくらいに(笑)、こまめに連絡をいただいています。
それから、大学(学術研究)というのはそもそも「機序」を大事にするので、課題解決のメカニズムをきちんと理論的に構築できるところまで突き詰めたいがために多少時間がかかります。OKIさんではプロジェクトの活動を基本的に3~6カ月とされていますが、その期間では収まらないことがあります。そうしたとき「少し延長してほしい」とOKIさんにお願いしたところ、快く承諾してくれました。また、あるプロジェクトの立ち上げ前に、用意していたデータが課題解決には使えないことが2、3回のミーティングで分かったとき、OKIさんは驚くくらい迅速に「別の種類のデータにしましょう」と方向転換してくれました。このような、パートナーと物事を進める際の柔軟さや決断の速さにも、好感を覚えました。

※1 須崎昌彦 イノベーション推進センター AI技術研究開発部長

※2 竹内晃一 イノベーション推進センター 企画室 戦略推進チームマネージャー

藤原ありがとうございます。こんなに高評価をいただけるとモチベーションもますます上がります。
ビジネスの観点で柔軟性やスピード感は非常に重要ですが、キーリソースを作っていくときなどは、ある程度時間をかけてしっかりとしたものを確立する必要があります。キーリソースが弱いと、その価値を提供しようとしても、お客様から「OKIじゃなくてもいいのでは」と言われかねません。このラボでは、先生がおっしゃるように時間をかけて研究開発に取り組むべきテーマが含まれていることを、OKIもきちんと認識する必要がありますね。

後編では、「AI・データサイエンス社会実装ラボ」での具体的なプロジェクト活動として3つの事例をご紹介させていただき、さらにラボの課題や今後の展開についての対談をご紹介します。

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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