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Yume対談

Aug.16,2021

Yume対談
「藤原CINO兼CTO × 新規事業家 守屋さんがイノベーション対談(Yume対談)を行いました(後編)」

SUMMARY

新規事業のプロである守屋実さんからOKIの全員参加型のイノベーションの進化とさらに加速させていくために重要な観点について、約30年の経験に基づいたお話を藤原CINO兼CTOがお聞きしました。前編に引き続き後編をお届けします。

OKI藤原執行役員(左)と新規事業家 守屋 実 氏(右)の写真
OKI藤原執行役員(左)と新規事業家 守屋 実 氏(右)

Yume Proチャレンジの進化

藤原守屋さんには、2019年からYume Proチャレンジにもメインコメンテーターとしてご参加いただいています。この2年間のYume Proチャレンジでの変化について、気づいた点は何でしょうか?

守屋やっぱり象徴的なのは、どうやって顧客インタビューに行ったらいいかわからないという人が少なくなったということです。これが24ヶ月で起きている。同じ人が何度も顧客インタビューに行くように言われ、やがてできるようになるのは普通ですけが、OKIでは、言われてない人もちゃんとお客さんのところに行き始めている。これは、会社全体に、想定顧客に対する仮説提案行動が浸透していきている証です。多くの企業では、そこまでの全社転換はなく、長続きもしない、というのがパターンです。OKIは良い方向に転がっている珍しいパターンです。

藤原なるほど。改めて言われるとそうですね。実際にお客様の声を聞いているので、数だけでなくてアイデアのレベルも上がってきました。また、2年前に副社長から、年にひとつでもいいから、「おっ!」という新しいビジネスを市場に向けて発信してほしいと言われました。Yume Proチャレンジでは、毎年そういったビジネスが出てきているので、今後も継続して力を入れて続けていきます。

新規事業家 守屋氏の写真
新規事業家 守屋氏

新規事業30年のプロの結論 「3-2-1」とは?

藤原Yume Proの仕組みを使って、新規事業の創出をやってきて、ご支援いただいておりますが、守屋さんの本にある、「新規事業における大企業の陥りやすい注意点」が非常に興味深く、考え方をお聞きしてもよろしいですか?

守屋新規事業に関して、大企業はスタートアップに負ける訳がないのです。理由は、大企業の方が圧倒的にリソースが潤沢だからです。優秀な人がフルタイムでたくさん働いている。資金もあり、会社自体に信用がある。多くのスタートアップは、真逆にあります。組織は小さく、資金も潤沢にはなく、そして会社は無名です。どこを比べても大企業の方が有利です。
また、立ち上げる事業が一発必中で全てが成功するのであればいいのですが、大抵うまくいかない。何度も何度も立上げにトライをしているなかで、ようやく一つがうまく行く、というのが現実です。強靭な本業がもたらす営業キャッシュフローのある大企業は、この生存確率を許容できますが、スタートアップは、それに耐えることができません。ですので、大企業が断然有利なのです。
しかし、現実は、この圧倒的に有利な構造を活かせていない。これは、非常にもったいないと同時に、構造が分かっているということは、あとは手を打てばイイだけでもあるのです。解決は、もはや経営上の意志決定の問題だけであると言ってもイイ状況なわけです。
解決に向けた具体的な処方は、「起業は意志が10割」の中にも書かせていただきましたが、「3つの断捨離」、「2つの機能」、「1人の戦士」、という3-2-1の打ち手になります。そして、その打ち手が必要となる一番の原因は、「本業の汚染」です。先の説明で、本業によって生み出されたキャシュがあるから有利と説明しましたが、その裏返しで、本業を守るために新規事業が駆逐されるということが起きてしまうのです。それが有意識下であっても、無意識下であっても、です。
たとえば、上場している大企業は、単年度会計で回っていて、四半期ごとに開示が求められています。このスピードはスタートアップや新規事業からすると、異常に早過ぎるのです。私が立上げに参画していたラクスルでは、上場するまで8年かかりました。四半期でいったら32四半期です。それほどの間の、会社の毎月の経営会議や四半期報告、そして年次報告などの各種会議体を突破できたのだろうか、ということです。おそらく突破できずに駆逐されてしまったのではないかと思うのです。事業を育てるプロであるベンチャーキャピタルは、戦いの時間軸を10年くらいでで考えたりします。1年とかで考えるなんてことは常識からするとあり得ないのです。それほどまでにスピードを求めているのであれば、スピードが出るようにすればいいのですけど、各種会議体がミルフィーユのように重なっていてペーパーワークが多く、スピードを出せない環境だったりします。大企業は有利ではあるけれど、新規を生み出す環境が悪く、実際に生まれにくくなっていると思いるのです。また、そういった劣悪な環境下でも、仮に、頑張って上手く行った人がいたとしても高いインセンティブがあるかというとそうでもない。起業家の感覚からすると、事業を成功させたら数十億円入ってくるのが当たり前ですけど、企業では、出世して給料が上がるのが関の山です。ましてや、新規事業は多産多死であることからすると、多くの人は成功していない訳で、つまりバツがついてしまう、ということです。これでは、やらない方がよいとなってしまいますね。単年度会計というお金の部分、会議体という意思決定の部分、報酬や人事という評価の部分の3つの断捨離を実施することが必要なのです。

藤原なるほど、一般的な大企業はそうですね。既存事業が上手く行く仕組みになっていて、新規事業創出を考えた仕組みになっていないことが多いです。

守屋そうですね。3が長くなってしましたが、2は、大企業の事業開発室は、お客様のことだけを見ておけばいいかというとそんなことはなく、むしろ社内の調整や説明の方が大変という、本末転倒な状況が、ほぼデフォルトです。なので、事業責任者が事業に集中できるように、事業をつくる機能と社内を調整する機能の2つの機能が必要ということです。最後の1は、事業は必ず「何が何でもやりきる」といった自分ごと化した一人の熱い熱量をもった戦士から始まるということです。

藤原大変貴重なお話をありがとうございます。今、OKIは「全員参加型のイノベーション」ということで、新規事業の創出と既存事業の変革をIMS “Yume Pro”の仕組みを活用して取り組んでいます。この「全員参加型のイノベーション」に関してはどうお考えですか?

守屋イノベーションが一番上手くいかない原因は、「新しいことをやらない癖がついている」ということだと思います。組織だったり、仕組みだったり、スローガンだったり、いろいろな手を打ってイノベーションを目指しますが、そんなことより根っこの部分の方がよっぽど影響力が大きい。「新しいことを嫌がる」というマインドや姿勢は、すべてのイノベーションの芽を摘むほどのインパクトがあるのです。本人も未来永劫変わらず新しいことに取り組まなくてもいい、とまでは思っていないのですが、新しいことを手掛けるリスクを恐れチャレンジしない。長いスパンで見たらチャレンジしないことの方がよっぽどリスクであると思うのですが、単年度会計、単年度評価をもとにした仕組みで会社が運営されているから、どうしても近視眼的になってしまうのです。そういった中でOKIは、「全員参加型で新しいことを興そうと全社を挙げて推進している。この意志の差が大きな差分なのだと思います。

藤原ありがとうございます。守屋さんに、そう言っていただけると、素直にうれしいです。イノベーションを興すときトップがその気にならないと変わって行かないという観点もありますが、どうお考えですか?

守屋やはりトップの影響は大きいと思います。ただ、トップが声掛けしても上手く行かないことは結構多くて、じつは、肝はミドルだったりもします。若手は放っておいても新しいことをやりたいと思っているので、トリガーはミドルで、そのミドルが本当に実行すると会社が動く瞬間があったりします。OKIは、ミドル層も動いているので、全体的にも上手く動いているのだと思います。

藤原CINO兼CTOの写真
藤原CINO兼CTO

イノベーションの加速には、広報活動が重要

藤原ありがとうございます。守屋さんから見てOKIがさらにイノベーションを加速していこうとするときに、必要なことは何だと思いますか?

守屋うまく行っている実績を世の中にもっともっと広く、伝えるべきだと思っています。

藤原Yume Pro 発足当初から情報発信には力を入れておりますが、まだ足りないと思っております。

守屋意味合いとしては2つあって、一つはOKIのため、もう一つは、日本のためだと思っています。イノベーションに関して上手くいっていない企業が世の中にごまんとある訳で、そういったところに、こう活動すればうまく進むということをきちんと広報すべきだと思います。世の中にOKIができているということを広報することで、OKIがやっているのだから我が社もできると思っていただき、その連鎖がやがて、「失われた30年」との決別に繋がっていけばいいなぁ、と。

藤原その通りですね。最近、社外の方とお話していても、「OKIさんはイノベーション活動が活発ですよね。」と言われることが多いです。他の役員からも外部から同じようなことを言われる機会が増えたとのことです。徐々に広まっていく手ごたえを感じていますが、広報活動は、減速せずに加速させて進めて行きたいと思います。
本日は、貴重なお話をたくさんお聞きすることができて、とても有意義でした。ありがとうございました。

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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