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Yume対談

Jan.29,2020

Yume対談
「新しいヘルスケアサービスの創出について、医師の上田悠理さんと対談しました」

SUMMARY

OKIが推進するヘルスケアビジネスのメディカルアドバイザーであり、現役の臨床医として、ヘルスケアにITを活用する「ヘルステック」の普及のために多彩な活動をされている医師の上田悠理様(以下、上田さん)と、OKIの経営基盤本部イノベーション推進部でヘルスケアを担当する武市梓佐が、ヘルステックの現状と未来像について熱く語り合います。

メディカルアドバイザーの上田悠理様(右)とOKIの武市梓佐(左)
メディカルアドバイザーの上田悠理様(右)とOKIの武市梓佐(左)

ヘルステックイベントが上田さんとOKIの馴れ初め

武市本日は、お忙しいところご足労いただきありがとうございます。

上田こちらこそ、新春第一弾のYume Pro対談企画にお招きいただき光栄です。

武市上田さんと私たちOKIとのお付き合いは、早いものでもう1年になりますね。

上田私がプロデュースしたヘルステックイベントHealth 2.0 Asia – Japan 2018(2018年12月4-5日開催)のスポンサーになっていただいたのが、OKIさんとの馴れ初めですね(笑)。

武市おかげさまで、私たちは、Health 2.0を契機に多くのドクターをはじめとする医療関係者やヘルスケア関連企業の方々とコネクションを持つことができ、すでに複数の共同プロジェクトが進行中です。また、上田さんには、OKIが手掛けるヘルスケアビジネスのメディカルアドバイザーをお願いすることになったわけですよね。

ヘルスケアと親和性の高いOKIの技術

上田以前からOKIという社名は知っていたのですが、プリンターのイメージが強すぎて、失礼ながら具体的な事業に関しては存じ上げていませんでした。でも、武市さんをはじめOKIの方々とお話しをさせていただく中で、情報通信分野における交通、建設、防災、金融・流通、製造、海洋など、社会インフラの構築に貢献されている企業であることを知ることができました。

武市先日はOKIの展示会にお越しいただきましたが、ご感想は…?

上田特にセンサーやIoTに関する技術に興味を持ちました。OKIさんは「医療のど真ん中には参画しない」と宣言されていますが、ヘルステックにとって、これらはキーテクノロジーでもあるので、もっと積極的にヘルスケア領域にコミットしていただければ、面白いことができると確信しています。

武市上田さんのお墨付きをいただき大変光栄です。ご覧いただいたシステムで、上田さんの琴線に触れたものはありましたか?

上田製造ラインで作業手順を光でガイダンスするシステム(※1)がありますよね。本来は生産性の向上を目的に設計されたシステムなのでしょうが、このガイダンスに対して、作業者の反応速度を継続的に収集し、その行動変容を分析すれば、個人のストレスチェックなどといったヘルスケアに活用できると思いました。

メディカルアドバイザーの上田先生
メディカルアドバイザーの上田先生

睡眠に特化した行動変容プロンプトの開発に着手

武市行動変容は、今後のヘルスケア市場でOKIが着目しているテーマなんです。現在、睡眠に特化した行動変容のプロンプト(※2)システム(睡眠プロンプトシステム)の開発を進めています。プロジェクトでは、大学などの研究機関や専門医などの協力を得て、3年後のサービスの普及を目標に、これまでにないスピード感で開発を進めているところです。また、前掲のイベントで知り合った製薬会社のMSD株式会社さんが推進している「BizSleep PROJECT(※3)」に参画し、睡眠に関する医学的見地からの情報交換をしたりしています。

上田それは素晴らしい着目点ですね。
一般的にヘルスケアデータというと、血圧、心拍数、血中酸素濃度などバイタルデータを中心にイメージしがちですが、予防医学の視点では睡眠、運動、食事など日常生活の行動データを収集・蓄積し、その変容を解析することは重要です。何らかの身体的・精神的な異常との因果関係を探ると同時に、その予防や治療に役立つからです。
また、ヘルスケア市場においても行動変容ソリューションは、世界的なトレンドです。実際、直近のヘルスケア領域での投資動向調査を見ても、行動変容ソリューションはフェムテック(女性向けヘルスケア技術)と並んで、急激に投資額を伸ばしています。
ところで、OKIさんが行動変容、日常生活データの中で、睡眠をテーマに選んだ理由は何ですか?

武市最初は、認知症や生活習慣病予防に向け、行動データのひとつである歩行に注目しましたが、健康な人とそうでない人の差が出ませんでした。そんなとき、日本人の5人に1人が睡眠の悩みを抱えているという事実を知り、私自身も時差ボケから不眠症になった経験があったので、行動データ中でも身近な睡眠にアプローチしてみようと思ったことです。
ただ、ヘルスケアはOKIにとって未開の領域なので、実証実験においても試行錯誤を重ねているところで、悩みも多いです。

ヘルスケアはお節介なくらいが丁度いい

上田ヘルステックを活用した行動変容ソリューションは国内外問わず、多くの企業が取り組んでいますが、どの企業も同じ悩みを抱えていると思います。
差し出がましいアドバイスですが、OKIさんのようなモノづくり系の企業の従来型のビジネスはB to Bモデルだからなのか、ユーザー視点を意識しにくい傾向にあるような気がします。ヘルスケアサービスは究極の受益者は「患者」に帰着するので、エンドユーザーに寄り添うようなシステムにして欲しいと思います。

武市その通りです。私たちとしても、社会実装する際にはヘルスケアに関するパーソナライズされたアドバイスを提供するなど、お節介なサービスを考えています。

上田お節介っていいですね(笑)。医者としても本来あるべき姿だと思います。私自身も訪問医療という、ある意味お節介な医療を実践しています。
行動変容ソリューションには、アクショナブルインフォメーション、つまり「行動データを可視化する」、「結果を明確化し、目標を設定する」、「行動に対して適切な情報を提供する」の3つの要素が必要です。こういうお節介が継続して利用していただける秘訣だと思います。IT系ではないのですが、ある種の成功事例を挙げるなら「結果にコミットする」サービスモデルですね。

武市なるほど。そうなるとOKIにとってデータの可視化と情報提供は得意分野と言えますが、個々のユーザーに対する目標設定が課題ですね。

上田健康上の問題解決のために行動変容を促すには、個々人に適した具体的な目標設定が必要です。睡眠の問題を抱えている方に「睡眠の質を改善する」という目標を示しても解決策にはなりません。そこで、睡眠の質の改善の先にある個別化された目標、たとえば「来月のプレゼンを完璧にこなす」などといったことを目標として、そのプロセスのひとつとして睡眠の質の改善を示せば、ユーザーのモチベーションも高まり効果が期待できるはず。つまり、行動療法的なアプローチが重要なんですね。

異業種との共創がサービス価値を高める

武市現在、私たちが計画している睡眠プロンプトの実証実験では、研究機関や専門医の方々から監修していただいているのですが、今後、社会実装に向けては、ますます幅広い企業や研究機関との共創が必須となるわけですね。

上田ヘルスケアとは、人間がより良く生きるために全方向でサポートすることなので、衣食住に関するすべての企業との共創が可能です。睡眠がテーマでしたら、寝具メーカーや照明・インテリアメーカー、食品・外食産業などとの共創が考えられます。
実際に異業種の参入も多く、世界的には交通や不動産、ITなど様々な企業が積極的に取り組んでいます。それだけ、魅力ある市場だということです。

武市上田さんのお話しをお聞きして、明るい展望が開けてきました。

OKIのポテンシャルに期待

OKIイノベーション推進部の武市
OKIイノベーション推進部の武市

武市最後に、私たちOKIに対する期待やご要望があればお聞かせください。

上田OKIさんにはITを中心にさまざまなテクノロジーやノウハウの蓄積があるわけですから、それはもう期待しかありませんよ!
たとえば、主力製品のひとつにATMがありますよね。高齢者のATM利用という行動データから認知機能の推移を可視化することが可能という研究があります。もちろん、社会実装する際には、個人のプライバシー保護を担保する仕組みが前提となりますが、既存のリソースを活用した行動変容プロンプトの実現は、いくらでも可能だと思います。
OKIさんはヘルスケア領域のポテンシャルを秘めた企業だと考えています。

武市ますます自信と力が湧いてきました。これからもOKIは、行動変容プロンプトを含め、ヘルステック領域で積極的なチャレンジを続けていくつもりですので、ご協力、アドバイスをよろしくお願いします。
今日はどうもありがとうございました。

上田もちろん、そのつもりです。本年もよろしくお願いします。

上田悠理氏のプロフィール
早稲田大学法学部を卒業後、岡山大学医学部に編入し医師免許を取得。形成外科・訪問診療医として、高齢者の褥瘡(床ずれ)管理に携わる傍ら、経済産業省が主導するヘルスケア産業の相談窓口「Healthcare Innovation Hub(通称:イノハブ)」のアドバイザーや、ヘルステック領域のグローバルカンファレンスを統括するなど、医療現場とITをはじめとする産業界の共創支援活動を展開。元アイドル、バックパッカー、唎酒師など異色の経歴や肩書を持ち、「ビジネスと医療の翻訳家」として活動する。

          
本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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