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CINO ism

Nov. 29, 2022

『CINO ism Vol.36』
Yume Proの浸透~実践モードに向けて
―コンポーネント&プラットフォーム事業本部 開発本部の事例―

藤原執行役員 CINO兼CTO(左)、C&P事業本部 開発本部 佐藤義則本部長(右)の写真
藤原執行役員 CINO兼CTO(左)、C&P事業本部 開発本部 佐藤義則本部長(右)

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今年度の「CINO ism」では、OKIのイノベーション・マネジメントシステム(IMS)「Yume Pro」の浸透~実践モードに向けてをテーマに、各部門への展開を担う部長/部門長と藤原の対談を続けています。IMSの実践を通じて見えてきた成果や課題について、現場目線のリアルな声を紹介していきます。
今回は、コンポーネント&プラットフォーム事業本部(C&P事本)開発本部の佐藤義則本部長との対談です。開発本部は2020年4月、C&P事本が手がけるメカトロシステム、プリンター、EMSの3事業の“設計・開発リソース”を集約する形で新設されました。C&P事本の開発本部が取り組むYume Proの実践や、目指すビジョンについて語り合いました。

新しいことに取り組む時間枠を設定し、毎週700名全員で試行

藤原開発本部は、C&P事本の既存事業から新規領域までの設計・開発業務を一手に担っています。そうした役割もあって、イノベーション活動にもいち早く着手してきました。これまでの具体的な取り組みについて聞かせてもらえますか。

佐藤まず2021年度に、新しいことに取り組む場を提供する狙いで、SDM(システムデザイン・マネジメント)という手法をベースにした新規技術発掘プロジェクト(PJ)を立ち上げました。開発本部内の希望者だけでなく、事業部門や営業部門など、社内横断的に参加者を集めて、週に1回、半日を使って活動をしています。これは元々、当時のOKIデータが実施していた活動でそれを踏襲しました。

藤原SDMは、C&P事本内で活用している仕組みですが、中身はISO 56002で規定されるIMS “Yume Pro“に沿ったプロセスであり、そういった新しいやり方に対する現場の反応はどうですか。

佐藤参加メンバーは自ら希望した人たちなので、それぞれが積極的に取り組んでいます。
むしろ、私がこの活動で課題に感じたのは、部門内で手を挙げない人のほうが多かったことです。その最たる理由は「通常業務に影響が出るのでは」という懸念だと思います。ただ一方で、部門内を見渡すと「新しいことに取り組みたいと思っている人は多い」という実感も、私は掴んでいました。
そこで、今年6月から、新規技術開発PJも包含した取り組みとして、開発本部の約700名全員が毎週木曜日の午前中、通常業務をやめてイノベーションや自分のスキル磨きなどの活動に充てるという試行を、「I+(アイプラス)」という名称でスタートしました。その中では、さまざまなワーキンググループ(WG)も生まれています。

藤原素晴らしい取り組みですね。実は「イノベーション・ダイアログ」で参加者が挙げる共通的な3つの課題のうちの1つが、「現業が忙しく、新しいことに取り組む時間がない」というものです。この悩みに対して、限られた業務時間の中で枠を設けて「新しいことを考えること」を習慣化したわけですね。これはまさに「考え方のイノベーション」です。ぜひ長く続けてほしいですし、他部門も参考にしてほしいです。

佐藤実は、最初に「I+(アイプラス)をやろう」と宣言した時、部員から「これは長い期間、継続するのか?」との質問がありました。私は「継続するかどうかはあなた方に決めてほしい」と答えました。重要なのは「決められた時間枠をメンバーが有意義に使ってくれるかどうか」です。もしも皆の役に立たないのであれば続ける意味がないとも思っていますが、みなさんが楽しそう(?)に活動しているように見えます。

イノベーションの実践はルーティンワーク化しなければ定着しない

藤原今年度からイノベーション推進のキーワードとして「実践モード」を掲げました。強い意志を持って行動するイノベーター、その活動を支える加速支援者の両方を育成・拡充して、新規の事業化をスピードアップしようという狙いです。
佐藤さんは、「イノベーションの実践」ということをどのように捉えていますか。

佐藤私は、イノベーションの実践を浸透・定着させるには「考えることのルーティンワーク化」が必須だと考えています。実際、「I+(アイプラス)」にも、部門全員でのルーティンワーク化を実現したいという思惑があります。
ただ、OKIには“指示待ち体質”があって、現場がすぐには能動的に動けないことが課題です。

藤原指示待ちは、長年の受注開発型ビジネスで根付いた社内文化ですね。そういう中で「自由な発想で新しいことをやりなさい」と言っても、現場はやり方が分からす混乱するだけです。これに関しては、ミドルマネジメントがもっと「こうしたほうがいい」と指示・アドバイスをしていく必要があると思っています

佐藤現場へのアドバイスということでは、加速支援者あるいは伴走者の存在が非常に重要だと感じています。現場のやる気、熱意をしっかり受け止めて、正しい方向へ導いていく人材は、絶対に必要だと思います。

藤原IPCでは今年度、イノベーションの加速支援ができる人材を集めた全社的な「加速支援コミュニティ」を作り、各部門でのIMS試行も一部サポートしています。開発本部からもコミュニティに参画してくれている方がいますが、このような仕組みもぜひうまく活用してほしいです。

「モノありき」の考え方をやめて「お客様に足繁く通う」社内文化を

藤原OKIの社内文化で課題だと思うことがもう1つあります。「OKIの社員はお客様を訪問する回数が少ない」ということです。
Yume Proプロセスでは、前段の「コンセプト構築プロセス」で仮説を検証し磨き上げるために何度もお客様と話をする必要があると定義しています。IPCでは「研究者もお客様を訪問するように」と推奨しているのですが、私からするとまだまだ足りていません。社内で考えている時間が長く、お客様に仮説を繰り返し持っていく頻度が少ないと感じています。事業部門の方々と話をしても、やはりお客様訪問はまだまだ十分ではない印象を受けます。

佐藤私も「少ない」と思っています。
多くの社員は「モノがないと話に行けない」と思い込んでいるのではないでしょうか。我々の新規技術発掘PJでも、ステップを進めようとしたとき、すぐに「モノを作らないとだめだ」という発想になってしまいます。きちんとモノを作っていたら半年や1年はかかりますから、「とりあえず、いま手元にある似たようなモノや参考になりそうなモノを持って、お客様に話を聞いてくればいいのでは」といった助言もしているのですが…。

藤原お客様側も今は「中長期な視点で一緒に物事を考えたい」というスタンスで、モノがなくても仮説や提案に耳を傾けてくれる方がたくさんいらっしゃいますよね。「モノありき」で考えずに、仮説段階でお客様先に何度も通う軽い動きを習慣化していく。そういう社内文化に変わっていきたいですね。

「熱意を持った人材のアグレッシブな活動」もイノベーションの1つの成果

藤原開発本部内での仕組みの活用・実践状況については、どういった感触を持たれていますか。

佐藤私なりの定義で「700名のうち7、8割がイノベーション活動に携わっている実感を持っていること」を、部門に浸透した状態とすると、そのレベルにはまだまだ到達していません。「I+(アイプラス)」のPJやWGでは確かに活用できていますが、通常実務ではほぼ使われていません。たとえば商品企画は、事業部、工場と一緒に進めていく業務で、新しいやり方に他部門を巻き込めていないことが1つの障壁になっています。この点については、私が他部門の部門長にもっと説明し、理解を得て、C&P事本の中に広げていかなければいけないと思っています。

藤原とはいえ、開発本部を起点に他部門と連携して新規事業化に取り組んでいる事例もいくつか生まれています。今年10月の「OKI Innovation World 2022」でも展示発表した「CFB(クリスタル・フィルム・ボンディング)ソリューション」は、新規領域開拓を大いに期待できるプロダクトとして私も注目しています。

佐藤CFBは、技術としての手応えは十分に感じていますし、OIWでの発表後に大手企業とのコンタクトも進んで、確かに期待も膨らんでいます。しかし、事業化はそう簡単ではなく、まだまだ時間がかかると思っています。

藤原CFBは、技術開発と並行して、「どういう利用シーンがあるか、どういう市場に広がっていくか」といったビジネス目線でプロジェクトを進めていくことが大事ですね。

佐藤実は、CFBのプロジェクトは別の観点で、「熱意を持ったメンバーの行動」が1つの成果でもあると捉えています。彼らは通常業務をこなしながらCFBの開発にも取り組んでいるのですが、不平不満を口にすることもなく、止めなければいつまでもやっているくらいの情熱で行動しています(笑)。彼らには「自分たちで事業をやっていく」という強い意志を感じています。

藤原素晴らしいことですね。新規事業創出は「自分たちで動こう」という強い意志がなければできません。そういう人材は今のOKIには少ないですが、OKIは「全員参加型イノベーション」を目指しているので、そういった人材をさらに増やしていく必要があります。

新規技術開発の専任部門を設置し、新たな領域へのアプローチを加速

藤原最後に、今後どのような展開、取り組みを考えているかを教えてください。

佐藤今年度初めの組織改正で「新規技術開発部」を新設しました。これは、昨年度までの活動で「事業部に紐づいた開発業務の中で、新しい技術開発にも取り組むのは難しい」と判断したためです。この部門の人員を順次増やして、SDMやYume Proプロセスを活用しながら新規領域の技術や製品の開発を一層強化していきます。

藤原OKIは来年度から新たな中期経営計画がスタートしますが、中長期の市場を見据えた成長戦略としては、これまでと同様にエッジ領域への注力――「リアルタイム」を強みとする高信頼なネットワークと高品質なエッジデバイスが重要な鍵を握っています。
開発本部は、OKIの強みであるモノづくりのコア部分を牽引する重要な役目を担っています。イノベーション責任者としては、OKIの成長を実現するための新規事業創出、新規領域開拓を強く後押ししてくれることを期待しています。

(2022年11月29日、OKI執行役員 CINO兼CTO 藤原 雄彦)

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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