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Yumeトーク

Oct.15,2021

Yumeトーク第51回
軽薄短小時代に異彩を放つ大型多層基板実装とは…。

SUMMARY

かつてOKIの主力製品であった局用交換機の受注減という危機的状況を救ったEMS(Electronics Manufacturing Services)。現在では、OKIの主力事業として成長し、OKIにおけるイノベーションの成功事例として語り継がれています。今回は、お客様の高度な実装ニーズに対応するOKI独自の大型多層基板実装技術について、EMS生産技術チームの高齋一貴に藤原CINO兼CTOがインタビューします。

高齋(左)、藤原CINO兼CTO(右)の写真
高齋(左)、藤原CINO兼CTO(右)

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工場存続の窮地を救ったEMS事業

藤原EMS事業のサクセスストーリーは、OKIグループ内で語り草となっていますが、まずは、EMS事業の歴史や概要から聞かせてください。

高齋21世紀を迎え、それまで本庄工場の主力製造品目であった大型通信機器の受注激減の打開策として、2002年に当時EMSビジネス本部の本部長だった清水光一郎さんが「これまで培ってきたモノづくりのノウハウと技術、スピリッツをベースに付加価値の高い受託製造サービスを始めよう」とスタートしました。

藤原それは大胆な発想の転換だったと思うのですが、当時の受託製造と言えば、まだ下請けのイメージが強く、スタッフにも抵抗があったと聞いています。実際、どうやって全員を説得したのでしょうか?

高齋実は、私はEMSがスタートした2002年入社組です。そんな私が先輩方の苦労を語るのは僭越ですが…。
とにかく当時の本庄工場は事業継続の瀬戸際という大ピンチだったので、「単なる下請け的な受託製造ではなく、お客様と共創する提案型の事業にチャレンジしよう」と、意思統一を図り、さらに「これからのモノづくりはサービス産業である」という意識改革を進め、現場の生産技術者も作業服からスーツに着替え、新規顧客開拓に奔走し、通信機器製造で培った高品質、信頼性を強くアピールしていました。まさに、現在OKIが推進している「全員参加型イノベーション」の原型のようなものですね。こういった先人たちの努力が実り、毎年右肩上がりで受注額を伸ばし、現在では約700億円を売り上げる事業になっています。私自身も基板実装を手掛ける生産技術者の一人として、微力ながら貢献できていることに誇らしく思っています。

信頼性を担保するきめ細かな実装技術と品質保証体制

藤原そこで、高齋さんが手掛ける基板実装技術は、具体的にどういう技術ですか?

高齋通信機器、半導体検査装置などの産業機器用の大型多層実装基板で、EMS事業全体の売り上げの約35%を占めています。
スマホなどの比較的廉価な小型機器の場合、万一不具合が生じても交換すれば顧客満足度は維持できます。一方で私たちが手掛ける実装基板は、20年以上の安定稼働に対応する極めて高いレベルの品質と信頼性が要求されています。たとえばスマホに搭載されている基板は100mm角程度のサイズに対し、大型多層基板は600mm角を多層化し、実装される部品点数は10,000点余り、部品種も500を超え、難易度が非常に高い実装技術です。

藤原私も実装技術を担務していた者としてお聞きしますが「それは高性能なチップマウンター(※1)があれば、どこでもできるんじゃないの?」という声もあると思います。OKIのEMSは他社とどう差別化していますか?

高齋保有しているチップマウンタ―やはんだ付け装置・検査機などの製造装置の大半はメーカーと共同開発したフルカスタマイズ品です。これまでのOKIの実装技術のノウハウとメーカーの技術が凝縮された唯一無二の装置なので、他社とは十分、差別化が図られていると思います。

藤原ノウハウもあるので、話ができる範囲で構いませんが、どういう点が優れているのでしょう?

高齋一例を挙げるとすれば、はんだ付けのノウハウです。私たちが製造する大型多層基板は、大きな基板上にマウントされた大きさや物性の異なる多品種の電子部品をリフロー炉という加熱炉ではんだ付けをします。この際、部品ごとの大きさの違いなどで生じる温度を均一に制御することで高品質なはんだ付けを実現し、さらには製品の歩留まりの向上にも貢献します。私たちは、この技術を熟練したピザ職人の技に喩えています。焼きが難しい厚手LLサイズの生地に各種のチーズや加工肉や魚介、野菜などをトッピングし、窯の中の微妙な火加減や焼き位置を調整し、焼きムラなく、こんがりと均一に焼き上げる匠の技に似ているからです。

藤原それはわかりやすく面白い喩えですね。

高齋それと、ノウハウとは違うのですが、私たちはX線による全数全品検査を実施していることをアピールポイントとしています。

藤原全数全品に対するX線検査にこだわる理由は何ですか?

高齋先にも述べた通り、私たちが手掛ける基板は長期間の稼働に耐える信頼性と耐久性が求められています。はんだ付けが完了し、電気的なチェックをパスしても、万一、はんだの中に小さな気泡などがあった場合、経年とともにそこから破断が起き、装置故障の原因となります。そういうリスクを回避するため、X線検査装置を使って、実装された全部品のはんだの断面までもチェックし、製品としての信頼性を確保しています。

藤原なるほど、はんだ付け技術とX線による全数全品検査が差別化ポイントなんですね。
それでは、高齋さんが手掛ける大型多層基板、もしくはOKIのEMS事業は、OKIが掲げている社会課題の解決のどの分野に貢献できそうでしょうか?

高齋基板の大半は通信機器、半導体検査装置向けです。まず、通信技術の発展ということではネットワーク化によるインフラの予防保全、災害監視システムなどの防災分野、そして、半導体はこれから普及か期待されている再エネ発電や電気自動車のキーデバイスとなるので、脱炭素社会にも間接的に貢献できるはずです。また、お客様にとってEMS事業は、製造というプロセスとアウトソーシング化することで、人的リソースを他の業務に集中できるため、労働生産性の向上にも貢献できていると思います。さらにつけ加えるとすれば、高品質な実装技術により製品の歩留まりを高めることで、破棄基板が減り、省資源化にも貢献しています。

コンカレントエンジニアリングを推進し、EMSからDMS※2

藤原現在、OKIのEMS事業としては、製造だけではなく設計までサービスの幅を広げようとしていますよね?

高齋今後、多品種少量生産やコスト削減などのニーズに対応し、製品企画から量産化までのスピードアップ化を図るためには、設計や製造など複数の部門が連携し、同時並行で業務を進めるコンカレントエンジニアリングがますます求められます。だから、EMSからDMSへというトレンドは必然だと思います。当然、私たちは、これまで培ってきた製品設計の技術を保有し、製造現場のノウハウを設計にフィードバックする体制も確保できているので、いつでも対応可能です。

藤原コンカレントエンジニアリングに着目されている点は、非常に素晴らしいと思います。
さて、最後に、今後のEMS事業としての目標と高齋さんの個人的な夢を聞かせてください。

高齋事業部の直近の目標としては、売り上げ1,000億円を掲げています。でも、私個人としては、これでは物足りない思いがします。いずれは目標の1.5倍、2倍を目指し、日本一のEMS事業者にしたい。そんな思いを抱いています。

藤原非常に頼もしい夢ですね。それを実現させるために、製造品目の分野を拡大することも考えているのですか?

高齋当然、そうですね。そうなるとひとつの工場だけでは対応できないので、OKIグーループ内のEMS工場をオンライン化し、私たちの技術やノウハウを全工場で共有できるような仕組みづくりにも着手したいと思います。

藤原今日は夢のある話が聞けて楽しかったです。どうもありがとうございました。

※1 チップマウンター(表面実装機):半導体などの電子部品を基板に実装する装置。

※2 DMS:Development&Design Manufacturing Service

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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