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Yumeトーク

Aug.21,2020

Yumeトーク第38回
量子コンピューターでお客様のお困りごとを解決

SUMMARY

今回は量子コンピューターでお客様のお困りごとを解決したイノベーション推進センターAI技術研究開発部の玉井秀明と髙橋克之に、横田チーフ・イノベーション・オフィサーがインタビューしました。

玉井秀明(左)横田CINO(右上)高橋克之(右下)

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量子コンピューターの取り組み

横田量子コンピューターに関して、OKIは2019年9月にプレスリリースしました。日経新聞などの記事やwebメディアなどに取り上げられ、量子コンピューターを活用した具体的な課題解決事例ということで注目されています。玉井さん、高橋さんは、このプロジェクトの中心メンバーですが、この取り組みについて聞かせてください。

玉井我々のミッションは、将来技術の調査活動でした。将来技術の一つとして量子コンピューターについても調べていました。

高橋私も玉井さんと同じ部署に配属され、先端技術調査を担当していました。

横田量子コンピューターの調査活動から始めて、その応用技術開発がメインになったということですか?

玉井技術調査の段階で量子コンピューターが世に出てくるのは近いということで、実際に技術開発に取り組むべきとの結論に至りました。

横田次にOKIデータのLED統括工場のレイアウト最適化問題を取り組んだ経緯をお聞かせください。

玉井2018年の年末頃、社内で一緒に連携してくれるところを募集しました。当時、AIの技術研修も担当しており、研修で知り合ったLED統括工場が興味を示して一緒にやりましょうというのがスタートです。

量子コンピューターで課題解決

横田LED統括工場は、プリンターのLEDヘッドを製造している半導体工場ですが、担当者から課題について相談があったということですか?

玉井LED統括工場の中では、製造装置がたくさん並んでいて、工程ごとに作業員が行ったり来たりしています。そこで装置配列を入れ替え、移動距離を短くして作業効率を上げたいという課題をいただきました。

横田その課題を量子コンピューターで解いてみようということになったわけですね?

玉井はい。装置の配置や選択のパターンは、10の100乗を超えるほどあるので、普通のコンピューターでの計算は困難な規模になります。

横田どのようにこの課題に取り組んだのでしょうか?

玉井はじめはLED統括工場の担当者と机上検討しました。よく問題を見ていたら、俗にいう巡回セールスマン問題(※1)という量子コンピューターでは有名な問題が応用できることに気が付きました。それから試行錯誤を経て、量子コンピューターで計算してみて、最適に近い回答を得ることができました。

※1 巡回セールスマン問題:1人のセールスマンが複数の都市を回るときの最短距離を求める問題が元の意味。
組合せ最適化としては代表的な問題。

高橋量子コンピューターとは、何でも計算できる汎用的なコンピューターではなく、巡回セールスマン問題のような組み合わせ最適化問題を解くのが得意です。量子力学の重ね合わせの原理を使い、無数にある答えの候補を同時に網羅的に探索し、一瞬で最適な答えを出します。量子コンピューターに適した数理モデルで解きたい問題を表現するノウハウが必要不可欠です。

玉井今回でしたら工場のレイアウト最適化問題を数式に落とし込むのが一番肝心です。

今後の課題

横田量子コンピューターで解いたレイアウトを実施した結果、平均で工場内の作業者の移動距離が28%減少したそうですね。今後の課題について教えてください。

玉井はい。レイアウト最適化問題の解決により、成果を出せました。 次の課題としては、製造スケジュールの最適化問題に取り組んでいます。最終的に製造時間をどれだけ短縮できるかが重要だと考えています。

横田すでに成果は出ているのですか?

玉井去年度から検討をしています。LED統括工場での模擬的な作業工程を量子コンピューターで解いて、一定の成果は出せました。

横田どのように進めているのでしょうか?

玉井まずは文献調査から始めて、多くの文献を参考にしています。

横田苦労されている点や工夫している点はありますか?

玉井問題の規模がとても大きいため、レイアウト問題よりもより難題です。この課題についても、成果を出せるように着実に進めたいと思います。

横田それは楽しみですね。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

社外パートナーとの連携

横田量子コンピューターという新しい技術で課題解決を検討していく中で、社内のお困りごとの解決から始めていますが、社外パートナーとの連携は考えていますか?

玉井視野には入れています。たとえば、物流業者さん向けに、物流の現場における荷物の積み込みを最適化する問題に取り組もうとしています。

横田物流業者さんが抱えているお困りごとは、どんなとことろですか?

玉井簡単に言うと、荷台への荷物の詰め込み方の最適化による効率化の検討です。詰め込む荷物の数もそうですが、形や重さなども違うので難しい問題です。

横田具体的な目標値とかはありますか?

玉井まずは量子コンピューターで計算できるかの検討をするため文献の調査からスタートしたところです。

社外パートナーの課題解決のために

横田お客様のお困りごとなどを、探っている段階ですかね。

玉井はい。定量化に関しては、社内以上に難しいという感触を持っています。

高橋注意するべきことは、問題全体を量子コンピューターで解くことが必ずしも最良ではないことです。お客様に最良の方法を提供することが大切と考えていますが、この見極めも難しいことだと感じています。

横田実際には、どこを量子コンピューターに任せるかが、大事なノウハウになってくるということですね。

玉井その通りです。量子コンピューターの得意な点を見極めることが重要になってきます。

高橋たとえば、一口に巡回セールスマン問題といっても、経路の複雑さ、このルートは使えない、などの細かい現場の要素を加味すると急に難しさが変わってきます。このような場合に、量子コンピューターでどこまで計算できるのかの見極めも重要になってきます。

お客様のお困りごと解決に向けたチャレンジ

横田今後、最適化問題で、社内外含めてお客様のお困りごとを解決していくために取り組んでいると思います。これからチャレンジをしていく上での乗り越えなくてはいけない課題についてお聞かせください。

玉井お客様のお困りごとを解決する最適化ソリューションを提供するビジネスに対して、あらゆる最適化問題を迅速に解くため、技術力を高めていくということです。また、量子コンピューターを使ってソリューションを提供できる人材を育成することが重要になってくると思っています。

高橋第一に、お客様のお困りごとの本質がどこにあるかを見抜くことと、それを最適化問題で解決できるかを見極めることが重要です。この際、お客様の課題を数式で表現できるほどの解像度で理解しなければなりません。お客様のお困りごとを起点に課題の本質に迫り、問題を解決して顧客価値を実現する点は、Yume Pro活動にも通じるところがあります。

横田新しい技術の調査から始めて、短期間で技術を習得しながらチャレンジングな取り組みをしていますが、お二人のやりがいは何ですか?

玉井量子コンピューターを立ち上げたときから、社内ではありますが、実際の現場の課題を解くことができて、成果も出せて、役立たせることができたことにやりがいを感じました。

高橋それに加えて、身の回りの様々な問題が全て理論物理の世界で生まれた同一の数式で表現でき、数理的に等価であることに科学の美しさを実感します。このような新鮮な発見があることも、やりがいです。

横田今後の活躍にも期待しています。頑張ってください。

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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