Yumeトーク第24回
医療機器に特化した保守サービスの現状と未来
SUMMARY
今回は、チーフ・イノベーション・オフィサーの横田が、インタビュアーとなって、OKIクロステックの注力事業のひとつである医療機器メーカー向けの保守点検・修理サービスについて、サポートサービス事業本部の阿部執行役員、第二サービス事業部 デザイン部の鶴田、首都圏サポートサービス第三部の小野寺と語り合います。

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医療向けサーバー保守を足掛かりに医療機器保守分野に参入
横田OKIのイノベーション推進部では、OKIグループのイノベーション・マネジメントシステム「Yume Pro」の一環として、共創パートナーとともに社会課題を解決する新ビジネスの創出を推進しています。OKIクロステックもかねてより、OKIグループとして手掛けていなかった医療ビジネスに参入しているわけですが、現在、展開している医療機器メーカー向け保守点検・修理サービスの概要についてお聞かせください。
阿部ここ数年、IT、IoTなどの進化により、医療機器の多様化・高度化と同時に、大病院に限らず小さな町のクリニックにも高度な医療機器の普及が進んでいます。しかし、多くの医療機器メーカーは、独自のサポート体制を持つものの、拠点数は、全国10カ所程度しかなく、万一、医療機器にトラブルが生じた際、緊急対応に苦慮されているというのが現状です。そこで私たちは、長年培ってきたATMをはじめとする情報システムの保守サービスの経験とノウハウ、さらには全国約200拠点に展開するサービス網と約1,200名のCE(カスタマー・エンジニア)というリソースを活用し、医療機器メーカーに代わって保守点検・修理を行うサービスを展開しています。

執行役員 サポートサービス事業本部
第二サービス事業部長 阿部 省一
横田お客様にはOKIとしての提供価値をどのようにアピールされていますか?
阿部まずは、医療機器メーカー単独では対応困難なスピードですね。私たちは全国約200ヵ所のサービス拠点を持ち、コールから60分での駆け付け、現場での障害対応60分以内を目標にしています。そして、技術的に難しい高度な医療機器の保守の場合でも、本部がハブとなり、メーカーとホットラインを結ぶことにより、適切な対応を行い、それでも解決困難な専門性の高い案件に関してはメーカーに対応してもらうといったオンサイトでのエスカレーション体制を確保している点です。
横田技術的に難しい問題にも対応できる体制で、60分の駆けつけサービスを提供できるのは、医療機器メーカーさんから見ると心強いパートナーですね。同じような体制を組むことで、様々な機器の保守についても、OKIクロステックのネットワークを活用したサービスを提供することができますね。そもそも、このサービスに着手したきっかけは何でしょうか?
阿部以前から、内視鏡システムのパイオニアであり、国内トップシェアを誇る医療機器メーカー・オリンパス様が全国の病院に納入した画像ファイルサーバーの構築を当社が手掛けていた関係で、2006年に、同社よりサーバーのメンテナンスを依頼されたのがきっかけです。当初は、医療機器というより医療ITの保守サービスという位置づけでした。
横田その後、本格的に医療機器を扱うようになったわけですね。人の命に関わる医療機器を扱うためには、許認可が必要だったはずですが、サービス開始までどのような準備をされたのですか?
阿部医療機器修理業責任技術者を置き、都道府県の医療機器修理業の許可が必要でした。そこで、従来ATMなどを担当していたCEに資格取得をサポートする体制を整え、2009年には第一支社(東京)が医療機器修理業の認可を得ました。その後も、技術者の養成と同時に、鶴田のような医療機器や医療現場に精通した人材を積極的にキャリア採用し、現在では全都道府県・約80拠点が医療機器修理業の認可を得て、約250名の責任技術者が活躍しています。
現場CEへのきめ細やかな指導と配慮が肝要
横田鶴田さん、小野寺さんは、サービスの最前線で、それぞれどのような業務に携われているのですか?
鶴田医療機器商社や医療現場の勤務経験を活かし、現場技術者の指導・育成から、お客様である医療機器メーカーやエンドユーザーである医療機関との調整・渉外などを担当しています。

第一支社 首都圏サポートサービス第三部
支援課医療係 主任 小野寺 司 ※医療機器の専任CE
小野寺私は、医療機器専任のCEとして、現場に赴き、定期点検や障害対応などを行うと同時に、若手CEのOJTの指導も担当しています。所属する第一支社では、東京23区・約300の病院・医療機関を7~8名で担当し、24時間・365日体制で対応しています。
横田実際、どの程度の頻度で現場に駆け付けているのですか?
小野寺やはりサーバーのトラブルが一番多く、1日に数件あります。もちろん、これらの機器は運用の安全性を担保するため、冗長化されているとは言っても、スピードにはこだわっています。現在、首都圏のお客様の場合、コールを受けて、駆け付け60分以内という目標は達成しています。
横田現場では、ご苦労も多いと思いますが?
鶴田サービス立ち上げ当初のメンバーは、医療という新しい市場への参入なので非常に苦労したと聞いています。私の場合はサービスが定着した後に入社した、いわゆる「第二世代」なので、先輩方のご苦労にはおよびませんが、医療現場とIT業界の文化の違いに戸惑う現場のCEへのフォローや指導に苦慮することがありますね。
横田具体的にはどういうことでしょうか?
鶴田医療というのは「人が人を診る」という超アナログな世界で、たとえば機器の不調を伝える時も「何となく~~な気がする」など、あいまいな表現が多くなる傾向にあります。また、疾病名や検査名など専門用語が多用され、しかも病院によってローカル用語があったりするので、経験の浅いCEは混乱してしまいます。そのため、日頃からCEには、不明な点は必ずメモを取り、必ず上へ報告・相談するように指導し、対応策を提示することでサービス品質の向上に努めています。
小野寺現場には、ATMなどの金融機器と医療機器を兼務しているCEもいます。彼らは、オールラウンドな対応力やスキルが求められストレスを抱えがちなので、技術的な指導だけではなく、メンタル面でのフォローも欠かせません。若いスタッフ達の仕事に対するモチベーションを維持・向上させることを常々考えています。
女性と若手の活躍に期待
横田お二人の話を総合すると、やはり人材育成が悩みであり、課題でもあるわけですね?
阿部特に、私たちは現場で人と対面する仕事がメインであり、CE個々のスキルがサービス品質に直結するのでなおさらです。
人材に関しては、こんなエピソードがあります。私たちは、超音波診断器や保育器など産婦人科向けの機器も手掛けているのですが、最近、お客様から「話がしやすい女性に担当して欲しい」というご要望が増えてきています。

サポートサービス事業本部 第二サービス事業部 デザイン部 システム技術課
臨床工学技士 鶴田 裕子 ※メーカーとの折衝、現場CEの指導を担当
横田女性活躍の場を広げ、就労定着率を上げていくために、取り組まれていることはありますか。
阿部施設面も含めて、女性が働きやすい職場環境・制度の整備にも注力していきたいと思っています。
鶴田それは女性としても嬉しいことですね。
さきほどは、スタッフへの教育や指導で苦労していると発言しましたが、最近は男女を問わず、医療分野を志望して訓練に来る若手が増えているので、とても頼もしく思っています。彼らの成長にも期待したいですね。
オンサイト保守に限らず新たなビジネスモデルを模索

OKI執行役員
チーフ・イノベーション・オフィサー経営基盤本部長
政策調査部長(兼務) 横田 俊之
横田今後のビジョンや抱負について聞かせてください。
阿部オンサイト保守も重要ですが、お客様にはプラスアルファの価値も提供したいと思います。具体的にはOKIが得意とするIoTを活用したリモート監視による予防保全サービスなどがあります。また、最近は介護機器の保守のオファーが増えているので、対象機器の幅を拡大していくつもりです。そのためには、全国の拠点に医療専任チームを置きたいと思っています。
横田医療分野でOKIブランドのプレゼンスを高めていくためには、さらなるイノベーションに挑戦する姿勢が必要だと思いますが、新しいビジネスの構想はありますか?
阿部医療分野で培ってきた経験やノウハウ、お客様からの信頼をベースに、医療機器の洗浄・消毒から、搬送・保管などといった一括して請け負うアウトソーシングサービスも視野に入れています。また、ATMで培った故障する前にメンテナンスを行うノウハウを活用したビジネスも検討していきたいと思います。
横田それは是非、実現させてください。
OKIのイノベーションを推進する立場としては、現状の社会課題の掘り起こしに力点を置いています。OKIグループのコールセンターを運営するOKIクロステックは、日頃からお客様が抱える問題点など生の声が寄せられる、まさに「宝の山」であり、イノベーション活動の本丸だと確信しています。今後も、そういった宝を数多く発掘して、グループにフィードバックしてください。そして、イノベーションを加速させて、互いにOKIのブランド価値を高めていきましょう。本日は、ありがとうございました。
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