Yumeトーク第10回 国内シェアNo.1のコンタクトセンターシステムを糧に次なる市場を目指す
SUMMARY
OKIの「イノベーション推進部」では共創パートナーを募り、ともにイノベーションを実現することで、新たな事業機会の創出を目指しています。最良のイノベーションパートナーとしてOKIは「どんなことができるのか? 何をしてくれるのか?」……。OKIが提供する価値や可能性について、各事業を統括するキーパーソンがご紹介します。
第10回は、コンタクトセンターシステムとして国内市場でトップシェアを保持している「CTstage®」をコアとした事業展開について、情報通信事業本部 IoTプラットフォーム事業部 コンタクトセンターシステム部 部長の中山 泰輔と同部門担当部長の大島 浩が、現在の状況と今後の展望を語ります。

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20年超にわたり磨き上げてきたCTI機能と
共創パートナーのソリューション連携により電話業務効率化提案に注力
まずはコンタクトセンター向けビジネスの概要、現在の状況を教えてください。

IoTプラットフォーム事業部
コンタクトセンターシステム部 部長 中山 泰輔
「CTstage」は競合製品に比べてどのような優位性があるのですか?
大島他ベンダーの製品には、交換機(PBX)をベースとしてコンタクトセンター機能を付加したものもありますが、「CTstage」は当初からWindowsサーバーをベースに開発し、SDK(※3)の提供やAPI(※4)の公開も行っています。このようなオープンアーキテクチャーによってカスタマイズや外部システムとの連携を容易に実現できる点が、大きな差別化ポイントの1つになっています。

IoTプラットフォーム事業部
コンタクトセンターシステム部 担当部長 大島 浩
また、お客さまからは運用管理ツールの扱いやすさ、分かりやすさにも高い評価をいただいています。日々の運用で何か設定を変えたいと思ったとき、ベンダー側に依頼することなく、お客さま自身が簡単なGUI画面で変更できることが非常に受けています。
中山「CTstage」のこれまでの納入実績では、すべて当社のSEがシステム構築に携わり、保守も当社が請け負っています。つまりOKIは、コンタクトセンターの構築・運用保守に関する知見・ノウハウを業界で一番蓄積しているといえます。それを強みとして、お客さまのさまざまなご要望に応えてきましたし、製品のバージョンアップや各バージョンでの「サービスパック(SP)」更新における性能・機能強化に活かしてきました。
たとえば2018年10月にリリースした最新モデルの「CTstage 6Mi® SP3」では、昨今のコンタクトセンターでチャットなどを含むマルチチャネル化のニーズが非常に高まっていることから、電話とチャットを統合して適切なオペレーターに自動分配する「マルチチャネルACD(※5)機能」を搭載するとともに、多様なチャットシステムとの容易な連携を可能にする同機能のAPIも公開しています。
お客さまやビジネスパートナーとの“共創”への取り組みは?
大島コンタクトセンターに関わるCRM(※6)やWFM(※7)、チャットなど他社システムとの連携については、「CTstage」のオープンアーキテクチャーによって多くの実績、多様なケースが生まれています。今後も、お客さまの要望に応える自社製品の機能強化とともに、他ベンダーと連携したソリューションの拡大も進めていきます。その際には、共創により近いアライアンスという形でのソリューション開発にも取り組んでいこうと考えています。
中山お客さまとの共創という観点では、コンタクトセンターを運営されるお客さま同士の交流を図るための「CTstageユーザー会」を2015年12月に設立しました。同会を通じて、システムの活用や運用に関するノウハウ、コンタクトセンター運営上の課題などの意見交換・情報共有が行われています。お客さまのご協力によるセンター見学会も何度か開催され、いずれも非常に好評でした。
今後のビジネス展開ではどのようなことがポイントになりますか。
大島コンタクトセンター業界における今一番の課題は人材不足――顔の見えない相手からの苦情を直接受ける厳しい仕事のためにどうしても敬遠されがちで、他の業種よりも採用難、離職率が高いという悩みを抱えています。しかも、昨今のカスタマーは「いきなり電話はしない」「Webなどで調べて分からなければ電話問い合わせをする」といった傾向が強まっているためにレベルの高い質問も多く、応対する側にも相応のスキルが必要になっています。
そのため、コンタクトセンターシステムには業務の省力化・効率化を高める仕組みとともに、たとえば待ち時間を極力抑える、質問に応じた適切なオペレーターにつなぐといったルーティング機能の高度化が求められています。さらに、音声をデジタルデータ化することによる電話応対履歴の自動入力や集計・分析の効率化、AIを活用したチャット対応の自動化など、いうならば“カスタマーセンターのデジタルトランスフォーメーション(DX)”を実現したいという要望も高まっています。
中山「CTstage」を技術面から見ると、「マルチチャネルACD」に代表されるルーティング技術、応対履歴をはじめとした情報の集約・蓄積技術の2つが強みで、これによってコンタクトセンターのDXにおいてもさまざまな付加価値を提供できると考えています。たとえば、声のトーンやスマホを持つ手からの生体情報をもとにカスタマーの感情を分析してオペレーター業務をアシストするような仕掛けも、将来的には実現できると思います。
さらに、実は“コンタクトセンター”ではないお客さまにも、「CTstage」の機能を活用していただけるチャンスが膨らみつつあります。
新たなニーズも見えてきたということですね。
中山はい。一般のオフィスでも、電話を用いる業務の課題解決のために「CTstage」を導入する例が出てきています。たとえば、不動産業で営業担当者が電話セールスをする際、「セールスの電話は不要」と断られたカスタマーへの再コールをシステムで自動制御する仕組みや、チェーン展開する小売業において店舗にかかってくる電話の一次応対を本部で一元的に行うことで、クレームなどの情報を共有して店舗業務の改善につなげるといった導入ケースがあります。
大島そうしたお客さまは“コンタクトセンター”を構築するという意識はないので、私どもがこれまで行ってきた製品アピールではなかなか振り向いてくれません。そこで、今後どのようにメッセージを届けていくかが1つのポイントです。コンタクトセンター市場でブランドが確立された「CTstage」という名称ではなく、PBXやビジネスホンの“CTIオプション”として訴求したほうがよいのではないかとも思っています。そして、お客さまへのアプローチについては、各地域でPBX・ビジネスホンの販売・運用保守を長年手がけている通信系の販売パートナー会社様にも、新たな付加価値商材として提案していただきたいと考えています。
マーケット拡大を視野に入れて製品をどう進化させていくかも教えてください。
中山「CTstage」の現行バージョンがリリースから4年経過しているので、次のメジャーバージョンアップも検討を始めています。これまで培ってきたルーティング技術と情報集約・蓄積技術をコアに、さらに5年10年の先を見据えてアーキテクチャやインターフェースを決めていきます。その際には、コンタクトセンター向けという枠を外して機能・性能、規模の柔軟性なども考える必要がありますし、クラウドやIoTの仕組みもしっかりと取り込めるような形でシステムを発展させたいと考えています。
※1:CTI(Computer Telephony Integration)
電話やe-mail、FAXなどをコンピュータと統合する技術の総称
※2:国内コールセンター市場シェアトップ
IDC Japanの調査結果より。最新のデータは出典:IDC Japan(2018年8月)国内ユニファイドコミュニケーション/コラボレーション市場シェア、2017年:鮮明になるクラウドシフト(JPJ42926418)(2017年ベンダー出荷額実績に基づく市場シェア)
※3:SDK(Software Development Kit)
ソフトウェア開発ツールのセット
※4:API(Application Programming Interface)
アプリケーションを開発する際に、共通的に利用できる機能を呼び出すことが可能な仕組み。これを利用することで開発者が短期間でアプリケーションを構築できる
※5:ACD(Automatic Call Distributor)
着信呼をオペレーターに自動的に振り分ける機能
※6:CRM(Customer Relationship Management)
顧客の情報や対応履歴を管理し、きめ細かい対応を行うことで顧客満足度を向上させる手法
※7:WFM(Workforce Management)
コンタクトセンターシステムにおいて、呼量予測とシフト作成を適正に行うことによってサービスの質と人件費抑制の両立を図る手法
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※CTstage、CTstage 6Miは、沖電気工業株式会社の登録商標です。