Yumeトーク第5回 ETC2.0/プローブ活用から次世代へと導くOKIの道路交通ソリューション
SUMMARY
OKIの「イノベーション推進部」では、さまざまな課題解決に取り組む共創パートナーを募り、ともにイノベーションを実現することで、新たな事業機会の創出を目指しています。最良のイノベーションパートナーとしてOKIは「どんなことができるのか? 何をしてくれるのか?」…。OKIが提供する価値や可能性について、各事業を統括するキーパーソンがご紹介します。
第5回は、IoTソリューションを提供する重点対象の1つである道路交通分野のビジネス展開について、情報通信事業本部 社会インフラソリューション事業部長の加藤 幸男と、同事業部交通ソリューション第一部長の中村 武文が語ります。

社会インフラソリューション事業部
事業部長 加藤 幸男
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“官”のお客様と培った高度な技術・ノウハウを“民”のお客様にも提供。自動運転時代を見据えた「インフラ協調ITSサービス」が次の目標
社会インフラソリューション事業部が担当するビジネス領域は?
加藤OKIが手がける社会インフラ向けビジネスの中で、主に公共インフラ分野を担当しています。具体的には、道路交通、航空管制、消防、防災の各分野に向けたシステムや省庁業務ソリューションなどの提供を行っています。これらはそれぞれ立ち上げの時期は違いますが、いずれも納入実績とともに豊富な経験・ノウハウを蓄えてきました。
道路交通分野では具体的にどのような実績をあげてきましたか?

社会インフラソリューション事業部
交通ソリューション第一部
部長 中村 武文
中村1990年代半ばから国家事業として推進されているITS(高度道路交通システム)の領域において、主にETC(電子料金収受システム)とVICS(道路交通情報通信システム)の開発・提供に携わってきました。
OKIの強み、お客様への提供価値は?
加藤まず、IoTビジネスのキーテクノロジーに掲げているデバイス・センシング、ネットワーク、データ処理・運用の3つを有していること。そのうえで、トップクラスの納入実績を誇るVICS関連システムなどで培った道路交通情報の収集・分析・配信技術にも優位性があります。
中村やはりITS事業のスタート当初から、関わってきた経験とノウハウがOKIのアドバンテージであり、評価されるポイントだと思います。業界の専門的な知識、お客様ごとのシステム運用の特性などをきちんと理解しているからこそ、ご要望にしっかりと応える高品質・高信頼でコスト競争力もあるシステムを提供し続けることができ、その実績・経験をもとに「こういうシステムを導入されてはいかがですか」というご提案をし、お客様に耳を傾けていただくこともできています。
今後の市場展望と事業戦略を聞かせてください。
加藤いま、自動車業界ではコネクテッドカーや自動運転といった新たな仕組みが注目されています。道路インフラ側においても道路利用者向けのプローブデータ(経路情報)を活用した情報提供や新サービスの提供に目が向けられています。また、これらの実現に用いられる通信やAI、クラウドサービスなどの技術も進化を遂げています。道路交通分野はまさに大きな変化・進化の局面を迎えているわけで、OKIもこの流れを捉えて、新たな提案、新たな市場開拓に積極的に取り組んでいます。
具体的には、(1)従来からの官公庁や公益法人・特殊法人のお客様に対する既存システムの進化・発展の支援(2)民間企業のお客様に対する自社サービスを核にした需要発掘、の2本の軸で展開を図ります。
中村今後のビジネスの重要な要素の1つになるのが、民間活用に向けた社会実験が行われている「ETC2.0」での車両プローブデータの活用です。
従来からのお客様には以前から、道路の混雑状況把握や渋滞緩和、事故防止・安全運転支援、交通管制などのためのプローブ情報活用システムを開発・納入し、種々の実証実験も含めて実績を重ねてきました。これをベースとして、ETC2.0のプローブ情報に対応したシステム拡張のご要望にも応えていきます。
一方、民間企業のお客様には、2017年11月に提供開始したSaaS型のITSサービス「LocoMobi2.0」を核に、多様な業種別アプリケーションを揃えていきます。このサービスでは、プローブや道路交通などの情報を収集・解析・処理するシステム基盤をクラウド上に構築し、道路交通管理システムで培った技術を活かした各種機能を提供します。また、デバイスやネットワークもプラットフォームとしてトータルに提供することで、容易かつ柔軟なアプリケーション開発を可能にしています。

「LocoMobi2.0」のアプリケーションはどのように拡充していくのですか?
中村お客様やパートナー様との共創によって品揃え強化を進めていきます。すでに建設業および物流業のお客様にご協力いただき、それぞれの業種に向けたアプリケーションをリリースしています。OKIには、長年にわたりよいお付き合いをさせていただいているお客様がたくさんいらっしゃいます。そのお客様が日頃の業務で感じているモビリティに関連する課題をお聞きし、「LocoMobi2.0」で解決策を導き出し、そこから横展開できるアプリケーションサービスを組み上げていければと考えています。
将来の“自動運転時代”に向けたビジネス構想は?
加藤自動運転は、自動車側の仕組みだけで実現するものではなく、路側インフラとの協調・連携によって安心・安全の確保や利便性向上を図ることができると考えています。そこでOKIとしては、自動運転時代にあるべきインフラの姿を検証し、ゆくゆくは「インフラ協調ITSサービス」――路側設備と自動車や歩行者などが通信によって情報交換し運用されるサービスの事業化を目指します。
その前段階として、固定網とモバイル網を融合したV2X(Vehicle to X)(※)ネットワークの実現にも取り組んでいます。OKIはV2X技術の推進団体である5GAA(5G Automotive Association)に参加して標準化活動にも尽力しています。また、2017年11月には、埼玉県本庄市にある本庄工場の敷地内に直線路と周回路を備えた全長約300mの「ITSテストコース」を開設し、インフラ協調ITSサービス関連機器の開発評価を行うことのできる環境も整えました。
自動運転時代は決して遠い未来のことではありませんから、OKIがどう貢献できるかを早期に形にして提供することが、次の大きなテーマだと考えています。
※V2X:V2V(Vehicle to Vehicle、車車間)、V2I(Vehicle to Infrastructure、路車間)通信技術の総称