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Yume対談

Apr.19,2023

Yume対談
「OKI瀧本上席執行役員とJapan Innovation Network松本常務理事がイノベーション対談(Yume対談)を行いました」

SUMMARY

OKIは古くから官公庁向けの商品、ソリューションを手掛け、現在もOKIの事業を支えている大きな市場です。今回は官公営業の現場を知り尽くしたOKI瀧本上席執行役員 兼 官公営業本部長とJIN・松本常務理事が、官公市場における動向や変化の兆しと、それに対応するOKIのイノベーションやマーケティング戦略について対談しました。

JIN松本常務理事(左)とOKI瀧本上席執行役員 兼 官公営業本部長(右)の写真
JIN松本常務理事(左)とOKI瀧本上席執行役員 兼 官公営業本部長(右)

エリア別から市場別営業体制へ

松本瀧本さん、はじめまして。一般社団法人Japan Innovation Network・常務理事の松本毅と申します。
瀧本さんは、この2023年4月に新設された官公営業本部長に就任したと伺っていますが、営業の新組織では何がどう変わるのか、そして、そこでのご自身の役割や意気込みについてお聞かせください。

瀧本本日は宜しくお願いいたします。私がOKIに入社したのは1986年です。最初に配属されたのは、当時の郵政省貯金局を担当する営業部隊でした。その後、民間金融機関を担当した時期もありましたが、入社以来、ほぼ一貫して官公営業に携わってきました。2017年に、官公市場を手掛ける統合営業本部第一営業本部長に就任し、ご承知の通り、2023年4月に改組された官公営業本部の本部長を拝命しました。
4月からスタートした新組織では、営業部門全体が大きく変わります。
これまでの統合営業本部では、第一営業本部以外に、主に首都圏民需のビッグユーザーを担当する第二営業本部、関東地区、東日本、西日本の3エリア別の営業本部という組織構成でした。4月以降、官公、公共・社会インフラ、金融・流通・運輸、産業・製造、グローバル事業推進といった5つの営業本部と、将来に向けての事業創出を担う新規ビジネス開拓部に再編成しました。これは市場軸の営業組織に組み替えることで、各市場における施策推進責任の所在を明確にすると同時に、対となる事業部との連携強化を図ることが狙いです。また、これまで営業本部と並列で独立した組織であったマーケティング部隊を営業本部内に取り込み、市場単位でマーケティングと営業の活動を一体化することで迅速な顧客対応を実現します。

松本伝説の経営学者ピーター・ドラッカーは「企業がやるべきことはマーケティングとイノベーションの2つである」という名言を遺しています。OKIはISOに則したIMS(イノベーション・マネジメントシステム)に積極的に取り組まれていますが、瀧本さんのようなマーケティングや営業の立場から、OKIのイノベーション活動をどのように評価されていますか?

瀧本営業部門の中にもIMS活動は確実に浸透しつつあると感じています。特に若手や中堅社員のYume Proチャレンジへのエントリーが年々増加傾向にあるのは頼もしいことです。反面、営業が新事業のアイデアを出しても事業部が呼応してくれないと実現できないので、今回の組織変更の狙いである「市場軸での営業-事業の一体運営」がIMS活動にも良い効果をもたらすことを期待しています。

松本発展途上ではあるが、方向性としては間違っていないというご認識ですね。

瀧本はい。その通りです。
私は6年前から新卒採用(営業志望者)の最終面接をやらせてもらっているのですが、OKIを志望する学生達と面談する中で、Yume Proに関する質問やコメントが年々増えていることを実感しています。具体的には、「百数十年の歴史を持つ企業でありながらイノベーションに積極的に取り組む姿勢に共感した」「自分もOKIに入社して社会のイノベーションに貢献したい」という内容が多いです。

松本それは、OKIがイノベーションに取り組む企業という認知度が上がってきた証拠ですね。
私も大阪大学の客員教授を務めているのですが、近年の学生さんたちは就職先にイノベーションに積極的な企業を選ぶ傾向にあることを実感しています。つまり、イノベーションに取り組む姿勢は企業のブランド価値でもあるのです。これは、学生さんに限らずお客様も同じような認識を持ちつつあると思います。

官公庁のお客様にも見られるイノベーションの兆し

松本瀧本さんは官公営業をご担当ということなので、お伺いします。
近年、官公庁や自治体などでは、民間のイノベーション活動に倣おうとする動きがあるように見受けられますが、営業の現場でそれを実感することはありますか?

瀧本従来の官公庁向けの仕事は、公示された調達仕様書に対して一問一答で作成した提案書の評価と、入札金額との兼ね合いで落札者が決定するというのがお決まりでした。現在も入札のプロセスは変わらないのですが、昨今はお客様が調達仕様を作成する際、システム担当部署だけではなくDX推進やイノベーション担当の部署と連携して、最新技術の実装による性能向上や拡張性をより重視するケースが増えています。特別に〈イノベーション〉というワードは出てこなくても「変えて行こう、変わって行こう」というお客様の意志を強く感じるようになりました。

松本私は立場上、企業のさまざまな部署の方々とディスカッションすることが多いのですが、部署によっては、自分たちはイノベーションには関係がないと明言されることもあります。しかし、これは大きな誤解です。イノベーション理論の生みの親である経済学者のヨーゼフ・シュンペーターは、イノベーションの領域として、新規事業創造、既存事業の変革、生産革新、調達改革、新しい組織創りの5つを定義しています。瀧本さんがご指摘された調達に関して、シュンペーターは、新しい調達先の開拓と、そのマネジメントの重要性を訴えています。米国の電気自動車メーカーのテスラが近年の半導体不足の影響を受けずに生産拡大できたのは、調達イノベーションの成果だと言われています。
このように、イノベーションは組織や部署といった枠を超えて取り組むべき課題なのです。そこで、今後、官公営業本部としてイノベーションにどのように取り組んでいくのか、他の部門との連携を含めて、瀧本さんのお考えを聞かせてください。

瀧本たとえば、私が担当する大切なお客様に郵政グループがあります。全国の全ての郵便局でOKI製端末が稼働しており、40年以上にわたりOKIのベース事業となっています。長年郵便局の運用を支え続けてきたOKIの知見やノウハウを使って郵便物流改革や郵政施設DX、働き方改革等のテーマについてお客様を交えて議論し、次世代郵便局の検討を始めています。このように、官公市場におけるベース事業を守りつつ新しい観点で見直しをかけて再注力することが官公営業本部の重要なミッションの一つです。そのために営業担当メンバーには常日頃、「お客様を訪問した際には、製品やソリューションの説明をするだけではなく、イノベーション活動をはじめとするOKIの様々な取り組みについて会話して欲しい。」と言い伝えています。お客様とのコミュニケーションで得たOKIに対するご意見や期待を社内でしっかりとシェアして、OKIの使命をどのように果たしていくのかを議論し、心を一つにお客様に対応して行ける組織体制を目指して行きたいと思っています。

松本組織のコミュニケーション改革を推進するということですね。一方、お客様の組織的な変化などはありますか?

瀧本大きくあります。数年前までの官公市場のお客様の組織はOKIから見て案件毎に縦割りで動いていて、他部署との横連携はあまり見られませんでした。しかし近年は、横串でDX推進を担当する部署が新設され、調達仕様の検討や審査に噛み込んでくるケースが増えています。そういった新しい部署にも事業部と連携し、OKIの技術や実績、現在の取り組みなどを積極的にアピールしているところです。
また、中央官庁市場における大きな変化としては、一昨年デジタル庁が創設されたことがあります。今後はデジタル庁主体で国のシステムが管理され、各省庁のシステムの共通化が推進されます。官公営業本部には、このデジタル庁の計画を分析して戦略を立て、攻めの営業を実践する営業チームを新設します。先ほど述べたベース事業領域での「守り」とデジタル庁等への「攻め」をバランスよく実行し、OKIの将来に向けた営業のプロ集団に変わって行くことが官公営業本部のチャレンジでありイノベーションだと考えています。

松本私は以前在籍していた会社でオープン・イノベーションの推進を担当していた頃、霞が関の中央官庁の役人や政治家などから依頼されて、イノベーションに関するレクチャーを行っていました。今から10年以上前のことですが、その頃から省庁の一部ではイノベーションの気運が生まれていたのだと思います。

瀧本その頃は、気運は生まれていても現場まで落とせていなかったのだと思います。私たちとしても未熟で、案件を獲得して業績を伸ばすことだけに終始していた時期だと思います。今年に入っての出来事ですが、あるお客様でCTIシステムのリプレース調達がありました。仕様書上はオンプレミスもクラウドも選択できたので、OKIは既存システム資産も使えて安心安全に移行できるオンプレミス構成で提案書を提出してプレゼンしたところ、お客様から、「OKIの提案は全くイノベーティブじゃない。ISOに則したIMS を積極的に取り組まれているので斬新な提案を期待していた」と言われてしまいました。このお客様はOKIのホームページを熟読されていて、OKIのIMSやYume Proについて良くご存じでした。
最終的にこの調達はOKIが価格で逆転して受注できて私も御礼に伺ったのですが、お客様の希望の構成で提供できないことに対して大変複雑な気持ちになりました。

松本裏を返せば、そのお客様からの苦言はOKIに対する期待の表れではないでしょうか?

瀧本その通りだと思います。私も今回のことで、お客様が各ベンダーのイノベーションを取り込み、自らも変化しようと考える時代になったのだと改めて気づきました。一方でそういったお客様からの期待に向き合う意識がまだまだ追いついていないのがOKIの実態です。社内の意識を変え、チームビルドして行くのも私の重要な使命であると考えています。

OKI瀧本上席執行役員 兼 官公営業本部長の写真
OKI瀧本上席執行役員 兼 官公営業本部長

公共サービスのイノベーションに期待

松本組織改革を進めるためには、外部の環境変化に敏感でなければなりません。一般的に経営層と若手はそういうトレンドに対応できているケースが多いですが、問題なのは、既存事業で成功体験を持つミドル層です。

瀧本その傾向はOKIにも当てはまると思います。私が日常的に接しているミドル層の社員に対しては、IMSへの取り組みやOKIのホームページで外部発信している記事やニュースリリースについて必ず目を通し、お客様と会話するように指導しているところです。今は期末処理や来年度からの中期計画策定で多忙を極めていますが、引き続きミドル層の社員に対して、ノベーションや意識改革の必要性についての啓発を進めて行きます。

松本官公営業として、今後、お客様にプロジェクトを提案する際、パートナーとの共創のお考えはあるのでしょうか?

瀧本官公市場においてOKIの事業領域を増やして行くためには、パートナー共創が必須です。先に述べた通り、中央官庁のシステムは、デジタル庁主導で共通化されクラウド化される流れです。その中で商機をつかみ、お客様の期待に応えるために必要な技術、スキル持つパートナー会社の探査を営業・事業部が一体となって進めて行きます。直近では、強いERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)パッケージを持つベンダーから「OKIさんは官公市場に知見があり、顧客も豊富なので連携できないか」との依頼を受け、協議を始めているところです。

官公庁の動向を見定め、タイムリーなソリューションを提案

松本現在、中央官庁ではカーボンニュートラルとDX化の推進に注力していますが、そのような動向に対して、今後、OKIの官公営業として、どのように対応されるのでしょうか?

瀧本OKIには国の政策動向をウオッチして社内各所と連携する政策調査部が営業部門とは別に設置されています。この政策調査部と4月に官公営業本部内に新設する官公営業統括室を連携させて中央官庁に対するプロモーション等、新たな仕掛けを考えていくつもりです。

松本最後に、IMSの国際標準規格であるISO 56001についてお伺いします。現在、OKIではIMSの社内普及とともに、認証取得に向けた活動を続けていますが、それについて営業としてのご意見や期待などがあればお聞かせください。

瀧本認証取得はOKIのイノベーション推進のエンジンになるとともに、今後の官公市場に向けた営業活動におけるOKIのステイタスを構成する重要な要素になると考えます。ここ数年、官公庁のお客様は、グリーン調達に代表されるSDGsへの対応や、国際標準規格等を調達に取り込む流れに非常に敏感であるため、ISO 56001の認証取得はOKIにとって大変有利に働くと思い、期待しています。

松本官公営業というミッションは、規制や前例主義などといった多くの障壁や難問を抱えているかと思いますが、今後もOKIの新しい組織での営業のイノベーションを期待しています。
今日はどうもありがとうございました。

一般社団法人Japan Innovation Network 松本常務理事の写真

<インタビュアープロフィール>

松本 毅
一般社団法人Japan Innovation Network 常務理事
IMSエバンジェリスト
(兼)大阪大学大学院工学研究科 ビジネスエンジニアリング専攻 客員教授

1981年に大阪ガス株式会社入社後、さまざまな新規事業創出を手掛け成功に導き、同社の技術戦略部 オープン・イノベーション担当部長、オープン・イノベーション室長などを歴任。
2016年4月から2019年2月まで、株式会社ナインシグマ・ジャパン ヴァイスプレジデント。2019年3月から2020年10月までナインシグマ・アジアパシフィック顧問。
2020年11月から兼務にてリンカーズ株式会社顧問 Open Innovation Evangelist
2013年Japan Innovation Network設立メンバー(理事)、2019年3月から常務理事(現職)

(2023年4月19日 イノベーション事業開発センター)

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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