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Yume対談

Mar.10,2023

Yume対談
「OKI寺本常務とJapan Innovation Network松本常務理事がイノベーション対談(Yume対談)を行いました」

SUMMARY

OKIの統合営業本部は一貫したマーケティング戦略のもとでの全社の横結合を推進し、その上で商品やソリューションの市場アクセス力の強化を図り、オールOKIとしてのビジネスの司令塔を担うべく努めています。今回は、JIN・松本常務理事と寺本常務執行役員(兼統合営業本部長)が、OKIのイノベーションと今後のマーケティング戦略について対談しました。

OKI 寺本常務 兼 統合営業本部長(左)、JIN 松本常務理事(右)の写真
OKI 寺本常務 兼 統合営業本部長(左)、JIN 松本常務理事(右)

客観的視点からOKIの長所、短所を鋭く指摘

松本初めてお会いします。一般社団法人Japan Innovation Network・常務理事の松本毅と申します。
寺本さんは、2021年にOKIに来られて、2022年4月に統合営業本部長に就任されたと伺っています。

寺本そうですね。2021年7月に入社し、翌年4月には入社9か月の新入社員ながら、統合営業本部長とC&P事本・ビジネスコラボレーション推進本部長、つまりOKIの営業責任者に就任しました(笑)。
とは言っても、私とOKIの縁は浅くありません。1985年に富士銀行へ入行した当初の配属先は新橋支店で、近隣の虎ノ門支店による職域営業の応援で同じビルに入居するOKI本社をたびたび訪れました。また、2003年から2007年までは、みずほコーポレート銀行の営業部でOKIを担当させていただきました。昔から社員のみなさんが明るく、高い技術力を持つ、とてもいい会社だというイメージを持っていました。

松本現在、OKIは全員参加型イノベーションを推進されているわけですが、実際、その輪の中に入ってみて、その現状をどのように評価されていますか?

寺本OKIがイノベーション活動に積極的に取り組んでいることは、以前から認識していました。実際、中に入ってみると、IMSというイノベーションを生み出すシステマティックな仕組みが構築されていることに、正直、驚きました。また、イノベーション研修受講者の推移や、Yume Proチャレンジのエントリーの推移などのデータを見ていると着実に右肩上がりで伸びていることも素晴らしいことです。しかし、その成果を問われると、まだまだこれから改善していけると思っています。つまり、彫った仏に、どうやって魂を入れていくかが今後の課題じゃないでしょうか。

松本イノベーションの進捗を示すKPIは上がっているけど、これからは質が問われるということですね。
そこで、統合営業本部長として、営業のイノベーションをどのようにお考えでしょうか?

寺本営業としてのイノベーションを問われると、正直なかなか簡単じゃないと思います。単なる売り方のイノベーションと言うと、オンラインセールスやインサイドセールスなどをイメージしがちですが、私としては営業としてのマインドセットが重要だと思います。私のような外から来た立場で言わせていただくと、当社は技術力があり受託開発型のビジネスには強いものの、提案型営業への転換がまだまだ進んでいない。これは当社の経営陣、特に鎌上会長、森社長も常に言われていることです。せっかく多くのお客様と良好な関係を築いているのに、お客様のリアルな課題や要望を忠実に解決しているだけではもったいない。お客様の潜在的なニーズを引き出す、さらにはお客様がまだ気づいていなニーズを察知し、喚起するような営業、マーケティング活動を目指しています。その意味ではOKIには、伸び代が山ほどあると思います。
そういったことも、営業会議などで発言し続けています。でも、それは決して批判などではなく、当社を如何にして底上げしていくかの思いを持っての発言です。忌憚なく意見することが私の役割であると自覚しています。

縦割りを排し、円滑な社内連携でマーケティング力を磨く

松本OKIの経営陣も、それを寺本さんに期待しているのだと思います。
提案型ということでは、現在、イノベーション推進センター(IPC)が中心となって、共創パートナーとコミュニケーションを取り、新たなソリューションなどを模索しています。そういった動きに対して、営業部門としてはどのようにコミットされているのですか?

寺本当社にはYume Pro(IMS)というフレームワークがあるので、それに沿って機会を見出し、それを全社で共有すべきだと思っています。さらに、それを深掘りできるような体制や組織づくりを進め、市場別のマーケティング機能を強化した司令塔的な役割を担いたいと思っています。

松本OKIのような高い技術力を持つ企業は、どうしてもシーズ志向のプロダクト・アウトになりがちですから、マーケットドリブン的なアプローチが必要だということですね。かのピーター・ドラッカー(※1)も「企業はマーケティングとイノベーションの両方に取り組むことが大切である」と述べています。

寺本まったく、おっしゃる通りです。現在、統合営業本部にはマーケティング本部という部署があります。ここでは既存のお客様に対する新しい商品やサービス、あるいは既存の商品やサービスで新規のお客様を開拓するのと同時に、新規のお客様に新しい商品やサービスを届ける戦略などを練っています。中でも、後者に関しては、IPCや事業部の開発部門と連携を図っていく方法を議論しています。
OKIは歴史が古く、築き上げてきた独自の文化があるのは本当に素晴らしいことだと思います。その一方で、その中のネガティブな部分、つまり縦割り組織の文化を打ち破れば、大きく変われるはずです。

松本組織連携についてお伺いします。寺本さんはC&P事業本部のビジネスコラボレーション推進本部長も兼務されていますね。ここではパートナーなどの外部との連携と、社内の部署を超えた内部の連携の双方がポイントだと思います。統合営業本部長として、またビジネスコラボレーション推進本部長として、具体的にどのような連携を模索されているのでしょうか?

寺本私は“三つの連携”が重要だと伝えています。
一つ目は、極めて基本的、かつ最も重要なことですが、営業部門と事業部門の連携。両者に意見や考え方の違いがあっても、社内での議論を尽くし、お客様に対しては一枚岩で接することが肝要です。
二つ目は、統合営業本部内、あるいはビジネスコラボレーション推進本部内の連携。一例として、統合営業本部にはマーケティング本部があるのですが、現場の営業が、この部門をもっと活用できる体制を築くことです。現在、首都圏、東日本、西日本と地域別の営業本部を置いています。そこで、たとえば、東日本のある地方銀行の対応案件があれば、それは他の地域の地方銀行も同じ課題を抱えているはずです。そういう情報をマーケティング本部が軸となって密に共有できる体制強化が必要です。

松本今、地方銀行の例を挙げられましたが、現在、地域の企業や団体を巻き込み、地方銀行をオープンイノベーションのハブとして機能させようという動きが活発化しています。そういう所と連携されても面白いと思います。

寺本貴重な情報ありがとうございます。
そして、三つ目に必要な連携が、統合営業本部とビジネスコラボレーション推進本部、つまり直販、間販の密接な連携です。たとえば、ビジネスコラボレーション推進本部は、OKIという名前を出さずに、超一流ブランドのIT企業の製品・サービスの中にOKIの技術を使っていただくことに注力しています。これを私たちは「黒子営業戦略」とも称しているのですが、そこで得た外部パートナーの知見や知恵を活用させていただきながら当社独自の直販ルートの開拓も模索していくといったことです。もちろん、そのためにはイノベーションを推進するIPCとの連携も重要になってきます。
Yume Proなどのイノベーション活動により、近年、社員の意識改革は着実に進んでいます。一方で、一部にはチャレンジに尻込みする風土は残っています。だからこそ、この三つの連携により、情報を共有し、視野を広げ、可能性を追求しつつマーケティング力を強化すると同時に、社員一人ひとりの行動変容を促していきたいと思います。

OKI 寺本常務 兼 統合営業本部長の写真
OKI 寺本常務 兼 統合営業本部長

リスクを取ってでも海外事業をリスタートさせたい

松本新しいことにチャレンジするためには、機会とリスクのバランスを保つこと、つまり経営陣がどこまで失敗を許容するかポイントですね。私も前職で、大きなプロジェクトで失敗したのですが、諦めない試行錯誤で再チャレンジし、成功したことは何度も経験しました。このような事例は、世界中、山ほどあります。むしろ、最初から成功する例は稀です。イノベーションを達成させるためには、失敗を咎めるのではなく、チャレンジしたことを称える風土や経営陣の度量の広さが求められています。
お話しいただける範囲で構いませんが、統合営業本部として新たな戦略や、ビジョンがあれば教えてください。

寺本大きな方向性と展開のステップについて、詰めの議論をしているのが海外事業です。現在、C&P事本ではプリンター、ATMで海外展開していますが、両商材とも将来の市場成長を期待するのは難しい状況です。しかし、海外には多くの販売パートナーや事業所を抱えています。現在は特定の事業に紐付けされている海外拠点をオールOKIの拠点に衣替えし、さらにはマーケティング機能、アンテナ機能を持たせることで、C&P事本だけでなくSS事本を含めた新たな商材、ソリューションの拠点となるような組織や機能の再編を図るつもりです。当社では過去に何度か海外事業で失敗した経験があるので、社内の一部には慎重論もあります。しかし、当社にはユニークな技術が沢山あり、私としては長期的な視点で海外事業のリスタートを成し遂げたいと思っています。

松本海外事業に関しては、森社長も積極的でしたね。
このYume対談の席で、いつも強調していることですが、IMSは日本よりも海外、特に中国、欧州、米国の企業で浸透しています。IMSに積極的に取り組むOKIというのはブランドになるので、そこを海外のパートナーやお客様にアピールすれば、海外事業展開の後押しとなると思います。

寺本私は営業という立場で同業他社の方々と懇談する機会が多いのですが、度々「OKIさんは優れた技術を多く持っているのに、何かもっといいビジネスできるんじゃない?」と、言っていただいています。優れた技術を持っていると、どうしても自力、単独で売る方針を立てがちになろうかと思いますが、これからのビジネスは国内外を問わずパートナーとの共創が必須です。実際、プリンターや自動機に関しては、米国のパートナーと組んでOKIブランドではなく、OEMやモジュールとしての提供の拡大に努めています。

松本そういうパートナーシップを広げていけば、技術や商品を開発した側が想定していなかったような用途を見出せたりして、ビジネスも広がります。

寺本そうですね。先日、航空機用計器事業の案件で、取引先であるフランスの航空宇宙企業の方が来訪されました。目的は、民間航空機に搭載予定のディスプレイに関する打ち合わせだったのですが、特機システム事業部がOKIショールームをご案内したら、プリンターを見て「このサイズのプリンターだったらコックピットでも使えそう」だとか、展示された基板を見て「こんなに精巧な基板だったらウチでも使えそう」、さらには空港の管制指令卓の展示を見て「OKIって、こんなこともやっているの?」と、ディスプレイ以外の商材にも大変興味を持っていただいたとのことです。これはうれしいことですが、裏を返せば、これまでのOKIとしてのアピール不足を如実に表わしていますよね。直近では、海外への発信力を高めるため、急ぎ、英文パンプレットの作成を指示したところです。

国内外への情報発信力を高め、新事業創出を加速

松本航空機事業が軌道に乗った際は、宇宙事業も視野に入れられているのでしょうか。

寺本実は、OKIの子会社である基板メーカーのOKIサーキットテクノロジーはJAXAの認定企業で、すでにOKIの基板は宇宙を飛んでいます。近い将来にはオールOKIの取り組みとして、こういった基板技術を宇宙産業の本場・米国でも展開する可能性にチャレンジしたいと思っています。

松本JAXAもNASAもイノベーションに熱心で、外部連携部門も持っています。そこでは技術の公募などが行われているのですが、日本ではあまり知られていないようです。こういう情報にアクセスするためにも、海外のイノベーション拠点、マーケティング拠点やパートナーは必要ですね。

寺本そうです。だからこそ、先に述べたように、OKIの海外法人、パートナーを含めた事業拠点にマーケティング機能、アンテナ機能、情報発信機能を持たせ、グローバルなオールOKIのビジネス拠点に再編する作業を進めているところです。
先日、現地でのATMを主力事業にしているOIPL(インド法人)の社長が訪れました。とても聡明でやり手な経営者なのですが、彼女はOKIのATM以外の技術をよく知らないようだったので、蕨のショールームを案内しました。すると、「OKIはこんなに技術持っているんだ。いくつかは直ぐにでもインドで使えそう」と驚きながらも目を輝かせていました。
おそらく、海外法人に限らず、国内の社員も自社の技術について知らないことは多いと思います。目の前のお客様の課題解決の手段が手元にあるのに気付かずビジネスチャンスを逃すなんてもったいないことです。そのため、社内の連携とマーケティング力の強化、外部に対する発信力の強化を訴え続けています。

松本確かに、海外に一事業部ではなくオールOKIとしてのイノベーション拠点があれば、自ずとお客様やマーケットの情報が集まってきますよね。そこで、技術とIMSのOKIというブランドをアピールできれば、新しいことが生まれる気がします。
さて、このYume対談では最後に、今後の夢や事業ビジョンなどをお聞きしているのですが、今日は十分語っていただいたような気がします。対談の締めに強調したいことや、意気込みなどがあればお聞かせください。

寺本繰り返しになるのですが、チャレンジする風土を作っていくことですね。失敗の許容度を広げ、尖った社員が活躍できるような環境と同時に、これまでの自前主義や閉鎖的になりがちな古くからの慣習を排し、外部とも積極的に共創できるようなオープンな風土や組織を築いていけるよう努力したいと思います。そのためには、多少耳障りなことも愛情を込めて言い続けていくつもりです。

松本今後も寺本さんの組織改革と、海外事業を含めたOKIの新しいチャレンジに注目していきたいと思います。今日はありがとうございました。

※1 ピーター・ドラッカー:独・英・米で活躍した著名な経営学者(1909年11月19日ー2005年11月11日)

一般社団法人Japan Innovation Network 松本常務理事の写真

<インタビュアープロフィール>

松本 毅
一般社団法人Japan Innovation Network 常務理事
IMSエバンジェリスト
(兼)大阪大学大学院工学研究科 ビジネスエンジニアリング専攻 客員教授

1981年に大阪ガス株式会社入社後、さまざまな新規事業創出を手掛け成功に導き、同社の技術戦略部 オープン・イノベーション担当部長、オープン・イノベーション室長などを歴任。
2016年4月から2019年2月まで、株式会社ナインシグマ・ジャパン ヴァイスプレジデント。2019年3月から2020年10月までナインシグマ・アジアパシフィック顧問。
2020年11月から兼務にてリンカーズ(株)顧問 Open Innovation Evangelist
2013年Japan Innovation Network設立メンバー(理事)、2019年3月から常務理事(現職)

(2023年3月10日 イノベーション推進センター)

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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