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Yume対談

Feb.22,2023

Yume対談
「OKI冨澤上席執行役員とJapan Innovation Network松本常務理事がイノベーション対談(Yume対談)を行いました」

SUMMARY

コンポーネント&プラットフォーム事業本部(C&P事本)は、モノづくりの分野で長年培ってきた技術・経験・ノウハウをベースに、お客様とともに新事業の創出に取り組んでいます。今回は、JIN・松本常務理事と冨澤上席執行役員(C&P事本副本部長 兼 自動機器事業部長)が、全員参加型イノベーションの現状と今後の事業戦略について語り合います。

JIN松本常務理事(左)とOKI冨澤上席執行役員(右)の写真
JIN松本常務理事(左)とOKI冨澤上席執行役員(右)

工務店型ビジネスからの脱却を目指す

松本一般社団法人Japan Innovation Network・常務理事の松本毅と申します。
冨澤さんとお会いするのは初めてですが、非常に多彩なキャリアをお持ちの方だと伺っています。まずは冨澤さんの経歴からお聞かせください。

冨澤1985年に入社し、情報通信機器のハードウェア技術者としてキャリアをスタートしました。2年間の米国留学でソフトウェア開発を行った後、1990年代半ば頃に「CTstage」プロジェクトを担当しました。その後、コーポレート経営企画を担当した後、メカトロ事業に携わりブラジルのATM事業など海外事業にも関与し、2020年からはコーポレート本部で知財や品質管理なども担当しました。そして、2022年から現職です。

松本ハードからソフト、国内から海外事業、そしてコーポレート部門など、OKIの多くの領域を経験された冨澤さんのような方が執行役員となられて、現在の立場からC&P事本や自動機器事業部の全員参加型イノベーションの現状をどのように見ておられますか?

冨澤もともとC&P事本、特に自動機部門のビジネスは、特定のお客様と一緒に仕様を決めて、それを確実に組み上げる、いわゆる「工務店型」の技術力を強みとしていました。しかし、私が長く関わってきたATMにしても、近年のキャッシュレス化の進展により、完全に消滅することは無いでしょうが、確実に市場は縮小しています。でも、私たちにはATMで培ってきた搬送系など自動機器の技術やノウハウがあるので、現在はそれらを活用した新事業の創出に取り組んでいるところです。そういった事業・業務改革のマインドを社員に広げるためにも、全員参加型イノベーションはとても重要な取り組みとだと認識しています。

松本冨澤さんご自身が、新事業創出への取組や、事業改革、全員参加型イノベーションなどの常用性を認識されたきっかけはありますか?

冨澤通信機のハードウェア設計に携わっていた頃、ビジネスホンのPBX(構内交換機)機能をソフトウェア化しPCで実現する構想を提案しました。時期を同じくして、別の部署でユニファイドメッセージング(※1)に取り組んでいるチームがあり「中身は同じだから一緒にやれるね」という話しがトントン拍子で進み、急遽、部署の枠を超えたプロジェクトが立ち上がりました。その際、利用シーンとして主体とするのはPBXか、ユニファイドメッセージングなのかという議論になり、米国に赴き市場調査を実施した結果、ユニファイドメッセージという方向性が決まり商品化しました。それが、コンタクトセンターシステムとして、今もOKIのロングセラー商品となっている「CTstage」です。
あの頃はイノベーションの定義も曖昧で、単なる技術革新と誤解されていましたが、今から思えば、私がコミットした最初の全員参加型イノベーションだったと思います。あのプロジェクトは私にとって貴重な経験であり、そこで得た感動や面白さ、達成感などを、一人でも多くの社員に味わってもらいたいと思っています。

松本そういった社員の意識は変わってきたと実感されていますか?

冨澤少しずつ変わってきたとは思いますが、まだ全体には浸透していません。だから、先進的なグループが先鞭をつけて、徐々に裾野を広げていくように仕向けています。

パートナーとの共創で、メカトロ技術の転用を加速

松本先ほど、ATMなどの自動機の技術やノウハウをベースに新事業へ展開したいというコメントをされました。私も見せていただいたのですが、確かにヨレヨレになった紙幣から新札までを券種ごとに識別し、しなやかにハンドリングする技術などには目を見張りました。これら秀逸な技術を新たな用途に転用する具体的な動きはありますか? 公表できる範囲でお聞かせください。

冨澤ハンドリング技術の転用としては、デリケートな果実を仕分け・搬送するソリューションや、多種類の錠剤を識別して個別に仕分けるソリューションなどを構想しています。ハンドリングに限らず、OKIにはセンサー、音響、無線ネットワーク、LEDヘッドなどユニークな技術がまだまだあるので、これらを融合させれば、もっと尖った面白いことができると思います。利用シーンを想定し、部署を超えて議論しながら試行錯誤しているところです。

松本ニーズや社会課題を見つけ、解決策としての技術を当てはめ、試行錯誤、行ったり来たりを重ねることは、まさにISO56002に則したイノベーション・マネジメントシステム(IMS)のプロセスそのものですね。

冨澤はい。全てがうまくいかないことは百も承知です。チャレンジしてダメだったら元に戻ればいいという柔軟な気持ちで事を進めています。

松本冨澤さんとしては、社会課題から新たなソリューションにアプローチする際、オールOKIで進めるのか、それともできないところは外部のパートナーの力を借りながら共創で進めるのかどちらでしょうか?

冨澤これまでのOKI自動機は、品質保証の観点でソフトウェア、ミドルウェアを含めた主要モジュールから主要部品まで、全て内製化していることを強みとしてアピールし、お客様からも評価をいただいていました。しかし、近年の技術進化のスピードは速く、これまで内製化してきた技術もパートナーの力を借りることにしました。
これからのニーズの多様化や変化に対応していくためには、パートナーとの共創は必然でしょうね。

松本技術力、競争力が高い企業は、模倣の困難性を担保しながら、オープンイノベーションで外部の力を、うまく内部に引き込んでいますからね。

冨澤そうなんです。今、松本さんが言われた「うまく内部に引き込む」ということがポイントです。システムの中にブラックボックスを作ってしまうと、何かあった時、手を出せなくなるのでトータルなシステムデザインは、しっかり自前で作り込むようにしています。

マルチ決済端末として、ATMの活路を見出す

松本キャッシュレス化が進む中、ATMの今後について、どのようなビジョンを描いていますか?

冨澤中国では猛烈な勢いでキャッシュレス化が進んでいます。一方、キャッシュレス先進国である米国では、近年、20ドル紙幣の流通量が増えているというデータがあります。おそらく、現金は決済の一手段として残るものと思います。だから、今後のATMは現金の出し入れ機能だけではなく、マルチ決済端末という方向に進むと考えられ、OKIとしても、さまざまなアプリケーションを想定し、技術的な検討を始めています。

松本金融機関の中でそういう動きは出ているのでしょうか?

冨澤先進的な取り組みに非常に積極的なお客様がいて、現在、次世代ATMに必要な機能などを議論し始めたところです。具体的には、行政機関と連携して税金や保険料も支払いや給付金などの受取りなどをワンストップで行う仕組みなどを検討しています。

松本そういう新しいアイデア、IMSのプロセスで言うなら「機会の特定」を自前だけで描こうとしても限界がありますからね。
お客様との共創によってプロトタイプ的なモデルを一旦作り上げると、それがスタンダードになる可能性が広がります。

冨澤そうです。それが支持されればメガバンクさんも採用し、やがては地銀さんや信金さんなどにも普及するはずです。そして、それは海外でも使えると確信しています。

松本まさに、それをお聞きしようと思っていました。冨澤さんは海外事業の経験もあるということで、グローバルな展開をどのようにお考えでしょうか?

冨澤まず国内で足固めして海外へというビジョンを描いている事業部も多いと思います。しかし、たとえば日本で普及しているコンビニATMなどは海外でも普及する余地はあると思いますし、ATMに限定しなくても決済端末の需要は世界中にあるはずです。したがって、自動機事業部としては国内・海外を問わず同時・並行的にトライアルすることも考えています。

松本場合によっては、海外の取り組みを逆輸入することも考えられますよね。

OKI冨澤上席執行役員の写真
OKI冨澤上席執行役員

現場のワクワク感が新たなビジネスを育む

松本そういう将来を見据えた事業活動と、IMSプロセスとの整合性は取れていますか?

冨澤その自己評価は難しいところなので、イノベーション推進センター(IPC)と議論をしながら進めたいと思います。

松本ただ、これまでのお話を伺う限り、お客様とともに機会の特定を行い、コンセプトを創造し検証するなどの一連の活動は、IMSのプロセスに沿っていると思います。
将来のビジョンということで、もうひとつ伺いますが、C&P事本や自動機事業部の若手の中でイノベーティブな活動や意識改革の動きはありますか?

冨澤現在、金融店舗の無人化に向けたソリューションを手掛けるグループが、コンビニやスーパーなどの無人店舗ソリューションの検討を始めています。実際にスーパーなどの現場へ赴き、リサーチやヒヤリングなどを始めています。これ以外にも、たとえば農業分野など、これまでOKIが本格的に手掛けていなかった業種の現場にも積極的に足を運んでいる若手もいますし、お客様との間で若手だけのワークショップを始めたグループもいます。こういう動きは頼もしく思えます。
冒頭でも申し上げた通り、こういう一部の先進的な活動を事業部全体に広げていくつもりです。

松本まさしく、全員参加型イノベーションですよね。それを加速するためには、何がポイントだと思いますか?

冨澤それは、私がCTstage立ち上げのプロジェクトで味わったようなワクワク感じゃないでしょうか。新しいことにチャレンジしてワクワク感に満ちた職場が増えてくれば、全体の意識も変わってくるはずですし、そういった変化も感じています。

松本改革、特に意識改革の必要性についてお話しいただきましたが、逆にOKIとして維持しなければならないことは何でしょうか?

冨澤OKIが長年培ってきた技術力です。特に、メカトロや音響、センサー、無線など、ニッチだけど他社を圧倒するユニークな技術を持ち続けることが重要だと思います。OKIでしかできない技術があれば、お客様をしっかりつなぎ止めることもできるし、共創の幅も広がります。

松本では、ビジネスとして改革していくことはありますか?

冨澤自動機に関しては、従来の受託開発型のビジネスから卒業します。これからは、激しく変化するニーズに対応するため、システムのアーキテクチャを決めプラットフォームを提供し、その中でのアレンジには対応するけれど、個別対応は行わないことは、お客様に宣言しています。

松本独自のアーキテクチャでプラットフォームを提供してお客様に自由に使ってもらう、つまり、内側はクローズして外側をオープンにするという、インテルのオープン&クローズ戦略の巧妙なビジネスモデルですね。

冨澤まさしく、それが理想であり、目指すところでもあります。

松本最後に、IMSの標準化についてお聞きします。
来年頃には、IMSの国際標準規格としてISO 56001が制定される予定で、世界中の企業、特に中国や欧州の企業が認証取得に向けた積極的な活動を続けていますが、OKIではどのような対応をされていますか?

冨澤IPCが中心となって、OKIグループ全体で「IMS-Ready」な体制構築に取り組んでいます。ただ、認証取得は目的ではなく、取得へ向けたYume Proなどの活動が社員の意識改革や、会社としての組織改革を推進しています。また、そういう活動を外部に発信し、イノベーション企業としてのOKIの認知度を向上させたいとも思っています。

松本そのようなIMSに積極的に取り組む姿勢は、BtoB間ではOKIのブランドとして定着しています。
今後、OKIが持つユニークな技術でどんなことを仕掛けてくるか、大いに期待したいですね。今日は、ありがとうございました。

※1 ユニファイドメッセージング:電話、FAX、メール、SMS、Web、チャット、チャットボット、SNSなど異なるコミュニケーション手段を一元管理し、それぞれ連携させるサービス。

一般社団法人Japan Innovation Network 松本常務理事の写真

<インタビュアープロフィール>

松本 毅
一般社団法人Japan Innovation Network 常務理事
IMSエバンジェリスト
(兼)大阪大学大学院工学研究科 ビジネスエンジニアリング専攻 客員教授

1981年に大阪ガス株式会社入社後、さまざまな新規事業創出を手掛け成功に導き、同社の技術戦略部 オープン・イノベーション担当部長、オープン・イノベーション室長などを歴任。
2016年4月から2019年2月まで、株式会社ナインシグマ・ジャパン ヴァイスプレジデント。2019年3月から2020年10月までナインシグマ・アジアパシフィック顧問。
2020年11月から兼務にてリンカーズ(株)顧問 Open Innovation Evangelist
2013年Japan Innovation Network設立メンバー(理事)、2019年3月から常務理事(現職)

(2023年2月22日 イノベーション推進センター)

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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