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Yume対談

Dec.15,2021

Yume対談
「ロンコ・ジャパン×OKI 物流DXを推進する共創の現状と未来」

SUMMARY

物流・運輸業界のイノベーターを志向する株式会社ロンコ・ジャパンは、OKIと共創し、AIを活用した配送の最適化を実現するなど物流DXを業界に先駆けて推進しています。今回はロンコ・ジャパンの福西靖之社長、営業本部DX推進課・安光大二郎課長のお二人をYume STに迎え、藤原雄彦CINO兼CTOとロンコ・ジャパンのDX戦略とその展望、OKIとの共創について語り合います。

ロンコ・ジャパン安光課長(左)、福西社長(中央左)、OKI藤原執行役員(中央右)、川口(右)の写真
ロンコ・ジャパン安光課長(左)、福西社長(中央左)、OKI藤原執行役員(中央右)、川口(右)

先進的総合物流会社が取り組むイノベーション

藤原今日は、わざわざお越しいただきありがとうございます。また、お二人には先日(2021年10月18日)の「OKI Innovation World 2021」で、ご講演いただき重ねて感謝申し上げます。

福西スピーチでは物流業界の内情など、余計なことをしゃべり過ぎたと反省しているところです(笑)。

藤原動画配信された今年のOKI Innovation World 2021は、おかげさまで非常に好評で、すでに視聴回数は昨年の2倍以上を数えています。視聴回数としては当社の記録を塗り替えたと思います。当社キャラクターの広瀬アリスさんのCMが断トツで、これを除いてです(笑)。
余談はさておき、まずは、読者のためにも御社の事業概要からお話しください。

福西大阪市に本社を持つ当社、ロンコ・ジャパンは、運輸事業はもちろん、物流戦略のシステム構築から、物流施設開発、物流センターの運営、人材派遣までの物流機能全般を手掛ける創業33年の総合物流企業です。特に、近年では、業務の一部にRPA(Robotic Process Automation)の導入や、今回のOKIさんと共創したAIによる配送最適化など、全社的なDXに積極的に取り組んでいるのが大きな特長です。

ロンコ・ジャパン 福西社長の写真
ロンコ・ジャパン 福西社長

藤原講演でもご指摘されたように、現在の物流業界は人手不足、旧態依然とした商慣習、デジタル化の遅れなどの問題を抱える中、さらに昨年からのコロナ禍。こういう現状を御社はどのように捉えていますか?

福西コロナ禍で消費行動が大きく変わりました。いわゆる巣ごもり消費によるネット通販の拡大により宅配が増えました。しかし、BtoCが拡大したといっても実は10~15%程度の伸び率。物量業界のメインストリームであるBtoBの方は混とんとしていて、従来の需要予測がゼロリセットされるほどです。また、コロナ以前から指摘されていますが、藤原さんの言われておられるように業界の3つの問題(①人手不足②商習慣③デジタル化の遅れ)は、積み残されています。

藤原御社にとって、その状況はチャンスなのでしょうか、もしくはピンチなのでしょうか?

福西いろいろな問題を抱えている今だからこそイノベーションを起こすチャンスでしょう。私たちは変わらなければいけない。だから、OKIさんの力を借りて物流DXを進めているのです。ただ、物流業界の現状を悲観しているだけではありません。日本は物流大国で、サービス品質は世界トップクラスです。将来的にはグローバルな市場でも勝負できるポテンシャルを持っていると確信しています。

個別最適化から全体最適化へと展開するDX戦略

藤原人手不足を業界の課題の一番手に挙げられていますが、物流業界のサプライチェーンの中で、どの部分が最も深刻なのでしょうか?

福西物流は領域として、調達物流、生産物流、消費物流に分類され、また、物流のスケールで分類すると、上流から幹線物流、支線物流、そしてラストワンマイルというプロセスがあります。現在、人手不足が深刻なのは、消費物流の特にラストワンマイルと言われる部分です。

藤原だから、そこからDX化を進めるわけなのでしょうか?

安光それもあります。もうひとつ、どの部分からDX化を進めていけば有効かという視点で見ると、やはり川下の消費物流の支線系やラストワンマイルなのです。理由は、どんな商品も消費者に買っていただかなければ商売は始まらない。主導権を持っているのは消費者であり、ここを固めて、川上へ遡って行くというのが常套手段でしょう。当社としても消費物流の支線系の中でも、手を付けやすい部分から着手する、つまり「部分最適化から全体最適化へ」という構想を持っています。

ロンコ・ジャパン 安光課長の写真
ロンコ・ジャパン 安光課長

藤原私たちも御社との共創を契機に、物流のことを多少勉強しました。一般論として、一番太い幹線系は関係先が多すぎて、直ちに標準化は難しいと判断すると支線系から手を付けるのは妥当だと思っていました。

福西それと、消費物流、特にラストワンマイルはDXと親和性が高いというのもあります。現在、ネット通販の大半のユーザーは、商品の購入から支払い、荷物のトラッキングや受取り方法の指定までスマホで行っています。つまり、デジタルリテラシーが高いのです。一方、物流のど真ん中であるBtoBの現場はアナログが主流。車両の手配などは属人的な業務が多く、未だにFAXや電話を使っているわけです。2021年という時代ですよ。信じられません。その理由は、メーカーさんが主導する出荷順番待ちなどの旧来からのルールがあったり、また、古い業界によくある多重下請け構造があったりするためDX化や標準化を進めようとしても、なかなか下部まで浸透しないなど、さまざまな問題を抱えています。もう、「作った物は売れる」という時代じゃないんです。これからは、作った物にデリバリーを含めてどのような価値を提供するかが求められるはずです。

AI活用アルゴリズムで、走行距離8%、高速代金11%削減を実証

藤原私たちが進めるイノベーションは、まずは提供価値となる仮説を立て、検証するというプロセスで進めています。そこでは実際にビジネスをされているお客様との共創なくしては成立しないものです。だからこそ、御社がOKIをパートナーに指名していただいたことに感謝しています。
そこで、御社がOKIを選んだ理由をお聞かせください。

藤原CINO兼CTOの写真
藤原CINO兼CTO

福西当社がOKIさんを選んだなんてとんでもない。むしろ、私たちが選んでいただいたと思っています。
実は、以前、同業者5、6社で共通の配送プラットフォームを作ろうとしたこともあったのですが、まったく話しがまとまらず頓挫した苦い経験があります。そこで、自分たちでできるところからDX化していこうということになり、ビジネスマッチングサイトで、OKIさんが物流ソリューションを提供していることを知り、こちらからコンタクトを取りました。2020年の5月でしたね。

安光具体的にどの部分からDX化を進めるかをOKIさんとディスカッションを重ねました。当社としては、従来、属人的に行われていた分割配送(※1)の配車計画を自動化ができないかと相談したところ、ミーティングに参加していたOKIの研究開発の技術者の方が「できます!」と即答していただきました。その頼もしいひと言から、すべてが動き始めた感じです。

川口技術者同伴で実際にロンコ・ジャパン様の様々な現場を見せていただきながら課題共有できたたことが大きかったと思います。より解像度の高いイメージを持ってディスカッションを重ねられたため、技術者もできると確信をもてたのだと思います。

川口の写真
川口

福西そして、ディスカッションを深める中で、私たちの漠然とした要件定義にも、完璧な提案書を出していただき、もう感動しました。さすがやなと…。

藤原OKIの技術者を評価していただいて、ありがとうございます。
それで、実際、どれくらいで最初のPoC(概念実証)が上がってきたのですか?

安光約3ヵ月後でしたね。私たちはOKIさんに対して、コストを最小化しつつも安全・安定を重視してほしいとお伝えしました。提示されたアルゴリズムも私たちの要望に対して、的を射ていたので、順調に進んでいるとわかり、OKIさんとパートナーになってよかったと確信しました。

藤原その後、順調に進み、2021年2月に実証実験が行われたわけですよね。そこでの評価はいかがでした?

安光これまで属人的に行っていた配車計画にAIを活用した「コスト最小型ルート配送最適化アルゴリズム」で立案を行うことで、最小台数で最小距離の実現を目指しました。その結果、乗務員の手待ち時間も減少し、乗務時間の格差も解消されました。そして、1日13台として走行距離約8%、燃料費換算で年間では約360万円相当の削減、また、年間約440kgのCO2排出量削減が可能だというデータが得られました。これは、ほぼ期待通りの数値です。ただ、2月の段階では高速道路利用時の代金は評価対象とされていなかったので、新たなアルゴリズムを加えることにしました。

藤原高速道路の利用もAIに判断させるということですか?

安光はい。従来、高速道路の利用の判断は乗務員に任せていました。そのアルゴリズムを追加したことにより、11月からの試行運用では、まだサンプル数は少ないものの約11%以上の削減効果があることがわかりました。これは、予想以上の成果でした。

福西それと、配送計画の自動化はリスク管理だと認識しています。従来の配車計画は、ベテランスタッフが、個人の経験や勘をもとに車両・乗務員の手配、配送ルートの指定、時間管理などを行っていました。当然、そのスキルにも個人差があり、たとえばスキルの高いスタッフが休んだだけでも大きなリスクとなっていました。

藤原AIを使っているので、問題もあるかと思いますが、本格運用を判断する技術的な基準などはありますか?

福西私としては、今すぐにでも本格運用したいと思っていますよ。

安光まだ試行運用が始まったばかりなので、これから現場からのフィードバックがあると思うので、それらが実装され、誰もが問題なく使えると判断できた時が開始時期だと思います。現時点では、2022年度初頭のスモールスタートを見込んでいます。

川口現場の方のご意見をしっかり受け止め、実現に向けて尽力していきます。引き続きよろしくお願いします。

藤原CINO兼CTO(左)とロンコ・ジャパン福西社長(右)の写真
藤原CINO兼CTO(左)とロンコ・ジャパン福西社長(右)

流通業の2024年問題解決の秘策

藤原最後に、今後の課題やOKIへのご要望や期待などがありましたらお聞かせください。

福西今後の課題として深刻なのは「物流業界の2024年問題」ですね。働き方改革によって、2024年度から運転乗務員の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることにより発生する諸問題です。業界全体としても、この対応に苦慮しているところです。これはほんの一例ですが、物流の現場では倉庫での積み降ろしの順番待ちなど手待ち時間が非常に長く、労働時間の約10%を占めています。配車と倉庫業務がうまく連携できれば、無駄な手待ち時間は大幅に解消できるはずです。

安光そこで、私たちが期待しているのが、すでに試験的に使わせていただいているOKIの車両運行管理支援サービス「LocoMobi® 2.0(ロコモビ2.0)」です。LocoMobi2.0ではETC2.0車載器を搭載した車両の運行状況を把握できるので、倉庫側は車両到着前に作業準備をすることにより、手待ち時間の解消に貢献できるはずです。

福西私もこれを知った時、「OKIさん、こんないいもん隠してたんや。もっと、早く出してや!」と思いましたね(笑)。

藤原そこまで評価していただいて感謝します。私からも当社の事業部に「ロンコ・ジャパンさんが期待しているから、もっと積極的に話しを進めろ」と発破をかけておきます。

安光それと、LocoMobi2.0は、すでに車両に装備されているETC車載器以外のハードウェアが不要なので、複数業者間での情報共有が容易にできるというメリットがあります。2024年度からの労働時間規制を遵守すれば、長距離輸送に問題が生じます。そこで、LocoMobi2.0を活用し、長距離輸送において中継拠点での荷物の積み替えを複数業者間で行うマッチングプラットフォームの構築も目指しています。実現できれば、乗務員は中継拠点で互いの荷物を積み替えて自拠点に戻るという、非常に効率的なリレー型の長距離輸送システムができるはず。一人の乗務員が長距離運転する必要が無くなれば、超過勤務、事故などのリスクも低減され、労働環境も格段に改善されるはずです。

福西正直に言って、物流業界はエッセンシャルワーカーなどと言われていますが、まだまだ社会的なステータスは低いと思います。その原因の中に、DX化に立ち遅れた労働集約的な産業のイメージや、劣悪な労働環境のイメージなどがあります。そこで、当社が率先してDX化の範囲を広げていくことで、当社だけではなく業界全体のイメージアップ、社会的なステータスの向上を図っていきたいとも思っています。

藤原何だかロンコ・ジャパンさんの熱意がひしひしと伝わってきました。私たちOKIとしても、今後もタイムリーな提案に心掛けたいと思います。そして、物流業界の発展のために一緒に力を尽くしましょう。
今日はどうもありがとうございました。

※ LocoMobiは、沖電気工業株式会社の登録商標です。

※1 分割配送:ひとつの配送先に複数の車両で荷物を届ける配送方法。高度なノウハウや経験が求められる配車計画が必要なものの効率的な配車が可能。

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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