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Yume対談

Oct.22,2021

Yume対談
「OKI電線山口社長と一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)がイノベーション対談(Yume対談)を行いました」

SUMMARY

その社名が示す通り、OKIとルーツを共有し、創業85年の歴史を誇る老舗の電線メーカー・沖電線株式会社(以下OEC)は、2018年のOKIによる完全子会社化を契機に、OKIグループの一員としてイノベーション活動に着手。すでに社内の若手社員のアイデアがYume Proチャレンジ大賞を受賞するなど大きな成果を示しています。今回は、就任間もないOEC山口英雄社長とJINが、リモートでOECのイノベーションや事業戦略について語りつくします。

OKI電線山口社長写真
OKI電線山口社長

老舗・電線メーカーの嬉しい誤算とその対策とは

JIN山口さん、こんにちは。いきなり余談ですが、その障子の素敵な背景がとても気になっています。バーチャルではないですよね?

山口はい。当社の社長室から参加させていただいています。平成3年(1991年)に社屋を新設した当時から社長室は和のテイストで統一されています。でも、私自身、社長就任間もなく多忙なため、この部屋で執務するのは1日1時間程度です。

JINなかなかセンスのいいお部屋で羨ましいです。社長になられて間もないとのことですが、就任されたのはいつですか?

山口今年(2021年)4月からです。当社始まって以来の生え抜き社長としてプレッシャーを感じているところです。まだまだ新米社長なので、今日はいろいろとご指導お願いします。

JINさて、本題に入りましょう。まずは、OECとしてのビジネスの現状などについてお聞かせください。

山口当社の設立は昭和11年(1936年)。85年の歴史を持つ電線メーカーです。創業以来、長くの間、通信用ケーブルなどインフラ向けのメタルケーブルをメインに製造販売していました。しかし、これらは、情報通信技術の発展とともにメタルから光ケーブル、さらには無線へと変化し、需要の先細り懸念から、収益性や将来性に不安を感じ、現在は大きく方向転換し、FAロボットなどに代表される産業・工作機械、測定機器、医療機器などの配線ケーブルの開発・製造に注力しています。おかげさまで、これらの製品は多くのお客様から高い評価を得ています。

JINお客様はOECや製品のどこを評価していただいているのでしょうか?

山口ひとつは機器の動く部分に使われる配線ケーブルとして、曲げや捻じりなどへの耐久性などといった機能性全般が評価されているのだと自負しています。それと、リアルタイムな製品供給体制だったのですが、現在は後者の方で問題を抱えています。

JIN具体的にはどのような問題ですか?

山口当社の製造能力の問題です。その原因は、昨年から続いている世界的なパンデミックで落ち込んでいた需要が、今年になって、特に米国、中国市場を中心に想定以上のペースで回復してきたことです。実際、工作機械業界の受注動向指標を見てみますと、これが1,000億円を超えると好景気とされているのですが、今年8月の指標が1,200億円。ちなみに、昨年同月が600億円ほどでした。また、当社の受注額も、昨年8月は6億円ほどに落ち込んでいたのが、今年8月は13億円を超えるほどの勢いで回復しています。これは嬉しい誤算である反面、この急激な需要増に対応できなければ、これまで培ってきたお客様の信頼を失いかねません。そこで、OKIグループの関連企業に製造スタッフの応援派遣などを要請しました。

JINOKIグループ関連企業のトップがグループ全体にヘルプを求めた際、迅速に対応してもらえる体制は構築されているのでしょうか?

山口はい。OKIの鎌上社長から直々にサポートの確約をいただき、実際に、スタッフを派遣していただいています。感謝すると同時に、頼もしく思っています。

新しい分野にも挑戦しやすいYume Proチャレンジ

JIN製品デリバリーに問題が生じているとのことですが、それを含めたOECの現状認識として、チャンスなのか、ピンチなのか、どう捉えていますか?

山口業績を問われるとあまり大きなことは言えないのですが(笑)…。ここ数年、地道に取り組んでいたことに間違いはなかったと確信しています。つまり、チャンスだと捉えています。

JIN具体的には、どのような取り組みですか?

山口動きの激しい工作用ロボットアームに特化した高耐久性ケーブルをはじめ、環境負荷の少ないエコケーブル、ノイズ対策ケーブル、ワイヤーハーネスなど高付加価値品の商品化です。また、市場としては従来のFA・産業機器分野の中でも、とりわけ成長分野でもある半導体製造装置分野、さらにこれまで当社として実績の乏しかった宇宙・航空、医療など、新しいマーケットへの参入にもチャレンジしているところです。

JINOECが医療分野に着目された理由は何でしょう?

山口以前から検査機器などへの納入実績はありました。しかし、月並みな表現ですがこれからの超高齢化社会に向けて医療は成長分野ということで、2017年に医療事業準備室(現在は医療事業推進室)を設置し、本格的に医療分野への参入を目指していました。そんな折、当社の若手社員の一人がOKIグループの「若手チャレンジ研修」で発表したアイデアが好評を得て、研修に参加したOKIグループ各部門のメンバーとともに徐々にブラッシュアップを重ねた結果、Yume Proチャレンジの応募、そして今回の大賞受賞となりました。私としても営業本部長の頃から見守ってきた案件なので嬉しく、誇らしく思います。

JIN確かに、医療分野は有望です。現場の医師たちから、病院、特にICUや手術室などでは医療機器のケーブルだらけで、床を這わせたケーブルにつまずいたりすると医療事故にもつながるとの声を聞いたことがあります。医療機器内部の配線ケーブルだけではなく、機器から出る複雑なケーブル配線をスマートにまとめたワイヤーハーネスを提案するだけでもビジネスにつながるのではないでしょうか?

山口おっしゃる通りです。当社としても、現在、医療機器メーカーに同様の提案をさせていただいています。メーカー側も理解し感謝してくれるのですが、ケーブルにお金を掛けたくないという本音が見え隠れするのも実情です(笑)。ただ、それで引き下がるわけもいかないので、手術室などで患者さんの身体の上に置かれたケーブルやチューブを1本にまとめるシリコン製の治具などを試作し、提案するなど地道な努力を重ね、道を拓いていこうと思っています。

JINそうですか。もう思い切って、医療事故の予防や業務の効率化を推進するため、OECがリードして医療機器やケーブルの標準化を提案されてはいかがでしょうか。ルール作りから新しいビジネスモデルが生まれるはずです。

山口そこまで大きなビジョンは描いていませんでした。しかし、私たちが身を置く電線業界はオールドエコノミーというか、コストの叩き合いが激しく収益率の悪い産業とされています。その中で今後、当社のプレゼンスを高め、古い体質から脱却するためには、当社の組織をはじめ、製品、技術、サービスなど全ての面で、継続的な改革の必要性を感じています。

OKIのリソースを“使い倒す”意気込みで新事業に挑む

JIN変革というキーワードが出たところで、IMS(イノベーション・マネジメントシステム)の話題に移ります。
OECがOKIの完全子会社となったのは2018年とのことですが、それ以前はOKIのIMSをどのように見ていましたか?

山口正直に言って、傍観していた部分がありました。イノベーション研修は私も受講させていただいて、多くの学びや気付きを得ました。当社の社員で研修を終えたのは、まだ数十名ほどなので、現在、スタートラインに立ったばかりという認識ですね。ただ、先ほども話題になった当社若手社員を中心としたチームがYume Proチャレンジ大賞を受賞したことにより、社内にもOKIグループの一員としての一体感やイノベーションへの機運は高まってきたと実感しています。

JINそのYume Proチャレンジ大賞の件、これまで3回の受賞アイデアの中でも最も事業化が近いのではと注目されていますね。

山口プロジェクトにおける製品開発には、当社の持つケーブル技術だけではなく、OKIが得意とするセンサー技術など、さまざまな要素技術やそのノウハウなどが求められます。実際、当社も発案当初からOKIのEMS事業部に何度も相談させていただきアドバイスをいただいていました。そんな中で、当社単独で事業化を目指すより、OKIのYume Proチャレンジ大賞を目指した方が、OKIグループが持つヒト、技術、施設、コネクションなど全てのリソースを活用させていただけ、さらに1億円という事業資金が得られ、事業化への近道になるという不純な動機もあって、応募したというのが本音です。おかげさまで、現在は、当社が持っていないOKIグループ内のさまざまな知見や経験を共有しつつ、事業化に向けたプロジェクトを推進しています。まさに「全員参加型のイノベーション」の体現ですね。今後も当社で新事業開発のアイデアが生まれた際には、Yume Proチャレンジという制度を積極的に活用させていただきたいと思っています。

JIN山口さんは非常にソフトな言い回しでしたが、ようするに今の発言は「OKIのリソースを使い倒してやる」という強い決意表明ということですね。

山口いや、そこまでは…(笑)。でも、申し訳ありません。そういうことです(笑)。

JIN頼もしい意気込みです。さて、Yume ProはOKIのIMSですが、OEC独自のIMSを構築するというお考えはありますか?

山口先ほども申し上げた通り、当社のイノベーション活動はスタートしたばかりです。当面は、教育・研修を含めOKIのIMSに組み込む形で進めていくつもりです。

JINIMSには、2つのアプローチがあります。まずは、全体設計をしっかり固めて個別の課題に落とし込んでいく手法、もうひとつは、最も重要な課題から手掛けて、全体に広げていく手法です。OKIのIMSは前者ですが、OECの場合、OKIの確立したシステムが用意されているので、それを活用しつつ、個別の課題が生じたらそこを埋めていくという手法が最も効率的だと思います。

山口そうですね。IMSも使い倒させていただきます。

JIN最後に今後の課題、特にアフターコロナ、ウイズコロナの時代に向けてのOECの取り組みを聞かせてください。

山口ビジネスの課題は、やはりFAロボット市場などの成長・拡大による需要増への対応と新規拡販・新分野の開拓(新事業の模索含む)です。また、ウイズコロナへの課題としては、テレワークをどう進めていくかでしょうか。私自身、入社以来営業畑一筋で、それこそ「顧客への夜討ち朝駆けは当たり前」という昭和の営業スタイルを身をもって実践してきた人間です。とは言っても、テレワークの普及は、たとえパンデミックがなかったとしても進んでいたはず。だから現在は、テレワークとリアルな対面営業の最適なバランスを模索しています。

JINテレワークのクオリティアップはどの会社も模索中だと思います。
余談ですが、最近、大学生と話す機会がありリモート授業の実態を聞いてみたところ、「興味がない講義だったら、出席をクリックした後は違うことをしているケースが多い」とのこと。これが多数だとすれば、学生の学力低下が懸念され、数年後の新入社員教育も見直しが必要になると感じました。

山口そうですか。今から手を打っておく必要がありますね。
それと、社員に対するフォローという点では、テレワークを続けていると、どうしても孤独感に陥りやすくなり、社員のメンタルケアにも心配りするのは経営者としての大きな責任だと自覚しています。

JIN課題も多いようですが、どうかOKIのリソースを「使い倒して」、力強く前に進んでください。

山口はい。そのつもりです。本日はどうもありがとうございました。

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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