Yume対談
「OKIクロステック竹内社長と一般社団法人Japan Innovation Networkがイノベーション対談(Yume対談)を行いました」
SUMMARY
コロナを受けて加速するカーボンニュートラルやデジタル化という世の中のニーズをチャンスと捉える。全国のリソースを活用して、エネルギーや医療分野における新規事業展開を進めている。このために、イノベーション・マネジメントシステム(IMS)”Yume Pro”を社長が率先して展開。さらに、OXTの全員参加型のイノベーションを実現するために、職種や業務に応じたブレイクダウンが必要。顧客の声を共有し、OKIグループ全体のイノベーション推進役を担える会社になりたいという抱負を語る。

コロナで加速する変化の中でチャンスを捉える
JINコロナによって世の中に様々な変化が起きています。OKIクロステック(以下、OXT)にとっては、脅威でしょうか。それともチャンスなのでしょうか。
竹内チャンスです。これまでも10~15年でテクノロジーや世の中が変わる機会が常にありました。ですから、世の中の変化を予測して準備してきましたが、コロナによって変化が加速されています。
OXTの中期経営計画2022では、将来の事業の種を育てようと考えていましたが、もっと前倒して、3年間のうちに芽を出し、選別するところまで進めたいと考えています。
JIN今日はTeamsでの対談ですが、この技術も以前からあったけれども、余り使われていませんでした。オンライン化、DXといったものが、コロナによって一気に加速したことを実感しています。
竹内脱炭素やカーボンニュートラルも以前からあった話ですが、コロナによって加速されています。そうした中で、OKIグループ全体もそうですが、OXTも活躍できる機会が沢山あると考えています。
カーボンニュートラルへの貢献
JIN沢山の機会の中で、具体的にどの様な分野での展開を考えているのでしょうか。
竹内新規事業として、エネルギー、医療、ロボットといった分野を考えています。エネルギーについては、カーボンニュートラルへの貢献です。たとえば、一昨年、台風によって千葉の房総で大停電が起きました。OKIは、防災システムを提供していますが、停電後は3日程度しかバッテリーがもたない仕組みになっています。
そこで社員が、命がけで山に入ってバッテリー交換を行い、何とかインフラを維持しました。こうした経験からスタンドアローンで稼働できるシステムが必要だと痛感していました。
JIN1週間の停電というのは想定外でしたが、今後は気候変動で自然災害の多発にも備えなくてはなりません。グリーン・リカバリーと言われているように、今後の景気対策や投資は、カーボンニュートラルが重点になります。
竹内ライフラインを担う建物や設備については、再生可能エネルギーとバッテリーを組み合わせて自立化させるというニーズが広がると考えています。OXTの持つ電気工事、通信工事、運用保守に関するリソースを活用してゼロ・エナジー化を実現したいと考えています。
JIN自社の強みを活かして社会的に意味のあることに取り組むということと理解いたしました。
竹内キー・リソースについては、日本で5指に入る会社ですので、これを活用して、社会に貢献していきたいと思います。
デジタル改革が追い風
JIN医療分野では、十年以上にわたって医療ITの保守サービスを手掛けられていますね。
竹内CTスキャナーやMRIの画像はデジタルデータです。OXTは、全国200の拠点に1200名のカスタマー・エンジニアを配置したサービス網を持っています。障害対応、駆け付け60分以内を目標としたサービスを提供しています。
JIN菅内閣でもデジタル政策を推進していますが、フォローウィンドになるのでしょうか。
竹内大きな追い風です。たとえば、マイナンバーカードが保険証機能を果たすという話一つとっても、全国には、病院、診療所、薬局が約24万箇所あります。ここに認証系のシステムを導入するためには、設置と保守が必要になります。
JIN世の中のDXが加速されると、それが全部チャンスになるということですね。
竹内DXの最後のワンマイルの面倒を見なければならないというニーズに対して、十分なリソースを持っている企業は限られています。我々もできるだけお役に立ちたいと考えています。
社長が率先して社内にIMSを展開する
JINコロナ禍によって、潜在的だったニーズが顕在化している中で、加速する物事の変化を捉えて対応されていることがよくわかりました。
ところで、OKIグループは、2017年にイノベーション・マネジメント改革を宣言してYume Proを進められていますが、OXTではどの様に活用しているのでしょうか。
竹内Yume ProというIMSは、OXTでも、ものすごく必要としています。これから新規事業を積極的に進めていく上で、IMSのフレームワークが必要です。まず、この型に当てはめてやってみろと言っています。
JIN社長が先頭に立って、IMSを推進されているということですか。
竹内その通りです。ただし、社内にIMSを展開するためには、もう少しブレイクダウンしなければならないと考えています。Yume Proは、OSですから、アプリがないと役に立ちません。
全員参加型のイノベーション実現のためにはブレイクダウンが必要
JINイノベーションには、いいOSが必要だが、OSだけでは役に立たない。そこで、OXT向けのアプリが必要ということですね。
竹内たとえば、現場で工事を行っている社員は、事故を起こさないように決められた手順を変えてはいけません。現場でのチャレンジはあり得ないのです。一方、工夫することによって2時間の工事を1時間にするといったQCサークル活動のような具体的な活動に、ブレイクダウンしなければならないと感じています。
JINYume Proプロセスは、新事業創出向けのものですから、現場ごとにカスタマイズすることが必要ということでしょうか。
竹内鎌上社長が推進している「全員参加型のイノベーション」を実現するためには、職種などに応じて理解できるようにしなければならないと考えています。
JIN社員に浸透させるためには、OXTのすべての社員にとって、わかりやすい言葉にすることが必要である。そうしなければ、本当の意味での全員参加型にならないということですね。
竹内イノベーションも、プロダクトイノベーション、プロセスイノベーション、マーケットイノベーション、サプライチェーンイノベーション、オーガニゼーションイノベーションの5つに分類されます。様々な業務を担当している社員に、業務プロセスをどう改革したら効率化されるのかなど、落とし込んでいきたいです。
OXTが目指すナレッジイノベーション
JINOXTのように、プロダクトを作ることが仕事では無く、プロダクトの活用に関して顧客満足度を高めることがミッションの会社には、ミッションや業務に即したイノベーション・プロセスがあるということですね。グループの中で顧客の声を最も把握されているので、これを活用してプロダクトイノベーションにもつなげたいところです。
竹内顧客の声はよくわかっていますので、そうしたいと思っています。我々が新しいソリューションやサービスを考えれば、それがプロダクトにも繋がっていくと思います。
JINOXTの大きなミッションは、OKIグループ全体がイノベーションを興すために、顧客の声やナレッジを集めてくると言うことと理解しました。
竹内仰るとおり、ナレッジイノベーションが、我々のミッションです。
JINお話を伺っているとOXTは、イノベーションの宝の山だというのが私の率直な意見です。
竹内全国200拠点、3200名のスタッフが、ITに裏打ちされたリソースで構築から運用まで一貫したサービスが提供できるというOXTの強みを活かしつつ、OKIグループ全体のイノベーションを牽引して行けるような会社を目指したいと思います。