イノベーションの鍵はアイデアの飛躍から?
株式会社セラクのハッカソンで受賞しました。

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イノベーションを興す鍵の1つは沢山のアイデアを集めること
こんにちは。さすらいのデータサイエンティスト小杉です。
私は、日ごろから「イノベーションを興すには、多くのアイデアを集めることと、それを形にしていくデザイン思考の実践が重要なのではないか?」と問題意識を持って仕事をしています。
社内では、積極的な他流試合の参加が推奨されており、これまでもアイデアソン、ハッカソンに参加してきました。今回は、2月20日と23日の2日間で開催された、株式会社ウェザーマップ、未来技術推進協会、株式会社セラク(※1)の3社共同開催の『【データ活用ハッカソン!】気象予報データとどっぷり向き合い新しい価値を創る2日間』に参加してきて、学生の柔軟な発想や、これまで発想もしなかった視点でのひらめきなどを通して、未来技術推進協会賞を受賞することができました。
まさに、私のこれまでの問題意識を裏付けるような、そんな素晴らしい体験でした。
※1:株式会社セラク(SERAKU Co.,Ltd. )
東証一部上場、1,859名の総合IT企業です。農業IoTサービス「みどりクラウド」や「IoTプラットフォーム」をはじめ、ITインフラ基盤の構築・運用やクラウドテクノロジー、情報セキュリティ技術、WEB系システム開発などIT技術によって社会の発展に貢献する事業を行っています。https://www.seraku.co.jp/
【データ活用ハッカソン!】
気象予報データとどっぷり向き合い新しい価値を創る2日間
今回参加してきたハッカソンは、自らのアイデアを評価・実現するために、実際の気象予報データを使っていろいろ試すことができることが最大のウリで、私のようなデータサイエンティストや、ディープラーニングなどを駆使する機械学習エンジニアといった方にはとても魅力的なハッカソンだったと思います。
やはり、机上のモデルを実際の生データを活用して検証できる機会というのは、非常に魅力的ですよね。
さらに、今回は、気象予報の専門家である株式会社ウェザーマップ様や、データサイエンス分野やAI・IoTの領域に精通している株式会社セラク様と話ができる機会もあり、まさにリアルなサービスを考える有意義な機会であったとも思います。
参加者は、個人事業主や企業に勤めている社会人(一般参加)以外でも学生の参加が半数近くあったこともあり、新鮮なアイデアを掛け合わせたオープン・イノベーションの場となりました。
農業IoTの分野で欠けているものは「愛情」?
初日に、取り扱えるデータの説明とグループ編成を経てハッカソンがスタート!
私が参加したグループは、私と同じデータサイエンティストでありデータ分析ロジック開発を担当していただくこととなった某ウェブメディア勤務の栗林さん、そして東京理科大学の経営工学三年生でデータ収集を担当していただく吉田さん、そして私の会社員2名と学生1名という編成でした。
ちなみに、今回私は、主にアプリケーション開発のプログラミングを担当することになりました。

自己紹介が終わったら、さっそく、アイデア出しとグループディスカッションに入りましたが、そこで飛び出したのが、吉田さんの「農業IoTにかけているものは愛情ではないか?」という学生ならではの新鮮な視点でのヒラメキでした。
農業の衰退を目にして常に問題意識を持っていたところから、今回の気象予報データが活用できるのではないかと考えていたとのことです。
農家の努力を目に見える形で愛情表現することで、消費者が購入する前や食べる前に作物の「良さ」を知り、残さず食べるように促すことでSDGs12.3(※2)も達成できるのではないかという発想でした。

※2:SDGs目標12 『持続可能な消費と生産のパターンを確保する』
12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。
「愛情」にテクノロジーを肉付けすることでイノベーションを興す
「アイデア」は「生もの」でもあります。
農家の愛情を表現する仕組みというアイデアは、新鮮な響きがありましたが、そのまま放っておいては腐ってしまうでしょう。
そうさせないためにも、リアルな感覚でテクノロジーを使って素早く料理することが肝心です。
ということで、まずは農家のリアルな課題を探すことから始めました。
そして、文献調査に始まり、さまざまな議論やメンターのアドバイスを経て発見したのが、日本特有の課題である「作付面積の限界」と、そのために効率的な耕作を実現してきた「ハウス栽培」の存在でした。
作付面積の限界とコストが高いハウス栽培による経済生産性の低さ(利潤の低さ)が、農家のモチベーションを減退させ、そのため農作物に対する愛情不足が引き起こされ、ひいては消費者から農家の情熱や愛情が見えなくなるという悪循環が引き起こされているのではないか?という仮説です。

次は、このリアルな課題に対して、ハウス栽培から脱却するために、テクノロジーを用いた露地栽培での生産性向上の実現可能性を探りました。
つまり、(1)気象予報データを活用することで農地の天候をミリ単位でピンポイント予測することと、(2)農家が日々つけている耕作のための日記を活用することで、愛情のかけ方を可視化することでした。
(1)の気象予報データの活用はビッグデータ解析であり、(2)の愛情の可視化はWord2Vecを用いた音声による日記の自動作成とニューラルネットワークを使ったテキスト解析によるモデル化です。
これらによって、露地での耕作の生産性向上と、消費者に受け入れられるような表現(販売促進用のコピーライティングなど)の自動作成を実現します。
ハッカソンの結果とまとめ
今回は2日間のハッカソンで「農業IoTには愛情がかけているのではないか?」というテーゼを掲げ、問題解決のアイデアをビッグデータを用いて実現性の裏付けをもって発表したことで、結果として未来技術推進協会賞を受賞することができました!
グループに参加していただいたメンバーのお二人には大変感謝しております。ありがとうございました。
また、有益なアドバイスをいただいたセラクのデータサイエンティストの方も、この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
今回は、露地栽培の難しさをシステムで解決することと、農家が主観的に感じていることを、各種データを用いて可視化し表現するというアイデアが受け入れられた結果なのではないかと考えております。
とくに、露地栽培の難しさでは、①芽かきの難しさ(労働時間が250時間かかるという事実)や、②生育の難しさ(温度管理と日照時間管理)、そして③雨の対策の難しさ(雨に濡れると品質が下がるなど)をリアルな視点で発見し、大量の気象予報データとデータサイエンスによる農地のピンポイント気象予測の実現性、そして、最終プレゼンで日本国内ではなく海外展開することで発展途上国へに展開によるSDGsとの整合性が評価されたのではないかと思っています。

イノベーション共創を望んでいるパートナー様を募集しています
今回は、気象予報と農業に関するハッカソンに参加してきましたが、Yume Proでは、SDGsに掲げられている社会課題を解決するためのイノベーションに取り組んでいます。
また、さまざまなステークホルダー様を交えたワークショップを開催し、パートナー様のお困りごとを解決するためのアイデアだしといった活動も行っております。
今回の私たちのようなイノベーションへの取り組みにご賛同をしていただくパートナー候補の方がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。
一緒にイノベーションを興して社会課題を解決したい!という想いを同じくするパートナーをお待ちしています!