塾長コラム「Yume塾便り」第80回
OKIイノベーション塾の6年間を振り返る

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OKIでは、2018年4月より「OKIイノベーション塾」の名称で「全員参加型のイノベーション」を社内に浸透すべく、イノベーションに関する社内教育とイノベーション・マネジメントシステム(IMS)による実践支援を6年間進めてきました。その様子はこの「Yume塾便り」で紹介してきました。今後は、実践力をさらに強化するために次のフェーズに移行し、社内教育だけでなく、これまでのノウハウを活かして、IMSの構築支援および他社の皆様との共創の拡大を図っていく予定です。そこで、一旦「Yume塾便り」は終了することとし、「OKIイノベーション塾」の活動を振り返ります。
OKIは、2018年度よりイノベーションの推進によるカルチャー改革を目的にイノベーション・マネジメントシステム(IMS)の導入を図り、そのためにOKIグループ社員全員へのイノベーション教育を開始しました。イノベーション教育は「OKIイノベーション塾」と称した社内教育体制の下で研修や実践支援を行ってきました。その目的や構成、概要について、その変遷を振り返ります。

イノベーションの考え方を理解する基礎研修から開始(2018年~2019年)
2018年度にイノベーション研修を開始するにあたり、一般社団法人 Japan Innovation Network(JIN)にご協力いただき、イノベーションの考え方を理解する「基礎研修」から開始しました。基礎研修は、虎ノ門に開設したイノベーションルームYume ST(ユメスタ)を活用し、集合研修で実施しました。毎回約30名、年間30数回で合計1,000名以上が受講したことから通称「千人研修」と呼んでいました。

2018年度下期には、基礎を学んだ社員向けに実践テーマでのアイデアの仮説検証を行う「実践研修」も開始しました。「実践研修」ではYume Proチャレンジに応募されたアイデアの中から筋の良さそうなものをさらに磨く支援をしました。
コロナ禍でもオンラインにて研修継続(2020年~2021年)
2020年には実践研修と基礎研修の間に、イノベーション・マネジメントシステム(IMS)のプロセスに基づく「中堅研修」を開始しました。しかし、その直後にコロナ禍となり、集合型での研修が困難となり、Microsoft Teamsなどを用いたオンライン研修に移行しました。しかし、コロナ禍でテレワークが加速したことにより、オンラインで研修が受講しやすくなった社員も多く、受講者は毎年2,000名程に増えました。
基礎研修も多くの社員が受講する中、基礎の知識を全社員に理解してもらうために2021年度から基礎研修をeラーニングコースとワークショップに分け、eラーニングは全社員を対象に受講してもらうことにしました。また、2023年度からは新入社員は基礎研修ワークショップ受講を必須としました。その結果、基礎研修eラーニングはのべで1万人以上、基礎研修ワークショップは約4,400人以上が受講しています。

オンラインでの研修のノウハウが蓄積できたことから、基礎研修で得た知識を基に作成したビジネスモデルキャンバス(BMC)をフォローアップするコースやYume Proチャレンジ(社内ビジネスアイデアコンテスト)に応募したアイデアに対する実践研修など教育体系も充実していきました。
また、お客様からOKIとの共創を進めるために共同での研修のご要望もいただき、コロナの状況も見ながら、オンラインあるいはハイブリッドでのお客様と共同の「共創ワークショップ」も進めています。
実践シフトでのアクセラレーションプログラム強化(2022年~2023年)
研修が浸透し、アイデアがより具体化し、事業化が近くなる程、イノベーションを実践することが重要になり、社内のノウハウだけでは対応ができなくなりました。そこで、従来からご協力いただいていたJINの他、新規事業家の守屋実さんやチームゼロイチの赤木優理さんなどにご協力をいただき、アクセラレーションプログラムとして、相談会や実践ワークショップなどを行いました。また、単に勉強ではないことからコース名から「研修」を削除するなど細かい点も配慮しました。

JIN 紺野登代表理事 新規事業家 守屋実さん チームゼロイチ 赤木優理さん

2023年度下期からは「全員参加型イノベーション」をグローバルに展開するため、基礎研修を海外拠点の社員にも英語あるいは中国語でのeラーニングの受講を可能とし、約300名が既に受講しています。また、2024年度から実施予定の海外向けの英語での基礎研修ワークショップを試行的にオーストラリアのメンバーに実施しました。その結果、オーストラリアからのYume Proチャレンジへの応募につながりました。
このようにOKIイノベーション塾は、6年間の中、常に試行錯誤しながら、まさにIMSのプロセスを自ら体感しつつ、進めてきました。社内でのイノベーション活動への反応を見ると少しずつではありますが、前向きに自ら行動する活動が浸透しつつあるように思います。たとえば、Yume Proチャレンジの登録件数が毎年増加しきたのも、社内にイノベーション活動が浸透してきた結果だと思います。さらに、イノベーション戦略実現に向けてイノベーション人材の育成計画を策定いたしました。今後、新規事業を立ち上げて売り上げを達成していくために必要なスキルと人員を鑑みて、レベルごとにカテゴライズして、それぞれのレベルを底上げしていく人員計画です。その計画実現ため、2024年度からは、これまでの課題を踏まえ体制、プログラムとも見直し、強化する予定です。カルチャー改革に終わりはありません。その活動状況については別途新たな形でお知らせしたいと思いします。
最後に

OKIイノベーション塾の千村 保文塾長は、2024年2月にOKIコンサルティングソリューションズ株式会社に移籍しました。
今後も塾長として、OKIグループの教育、実践支援を行うとともに、IMSの構築支援、共創活動のサービスを提供してまいります。
これからも、OKIのイノベーション活動にご期待ください。
(2024年3月31日 OKIイノベーション塾・塾長 千村 保文)