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CINO ism

Apr. 23, 2024

『CINO ism Vol.55』
OKIのイノベーション 2023年度の振り返りと2024年度の方針

OKI 藤原 雄彦 執行役員兼CINO イノベーション事業開発センター長の写真
OKI 藤原 雄彦 執行役員 CINO、CDO 兼イノベーション事業開発センター長

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OKIがイノベーション活動に取り組み始めて6年。IMS「Yume Pro」の構築、全員参加型イノベーションに向けたカルチャー改革など、着実に歩みを進めています。2023年4月には、より実践に特化した事業開発を進める組織としてイノベーション事業開発センターが発足。8月にはIMS「Yume Pro」の全社実装も果たし、まさにイノベーションを実践できる体制が整いました。
今回は、これまでの活動の振り返りや、見えてきた課題や今後の施策、そして2024年度からの実践体制や目指す姿などについて、CINOとしてお話ししていきます。

IMS「Yume Pro」を全社に実装

OKIでは2017年から、ISO 56002 を先取りしたイノベーション・マネジメントシステム(IMS)「Yume Pro(ユメプロ)」の構築に取り組んできました。2020年には、これを全社レベルのマネジメントシステムとして導入・運用することを宣言。各部門の部長や部門長クラスでプロジェクトを組成し、「Yume Pro」のプロセスを築いてきたのです。このようなOKIのイノベーション活動は市場から注目をいただき、「日経スマートワーク経営調査」では、イノベーション力の分野で2年連続S++を獲得しました。
一方、OKIの目指す「全員参加型イノベーション」が末端まで浸透しているかというと、まだ胸を張って宣言できるまでには至っていません。OKIが受注開発型からソリューション提案型に変わっていくには、イノベーションのカルチャーを全員に浸透させることが必須です。そこで、引き続き2024年度もカルチャー改革を進めていきます。
2023年度の最も大きなイノベーションのトピックは、これまで構築を進めてきたデザイン思考、OKIのIMS「Yume Pro」を全社規定に落とし込み、8月より本格運用をスタートさせたことです。これにより、OKIが掲げる「全員参加型イノベーション」を実践モードで進めるための体制が整いました。すべての部門が「Yume Pro」を活用して、新規事業の創出、既存事業の革新、そして業務の改善を進めていきます。

イノベーション事業開発センター発足1年目の成果

2023年「中期経営計画2025」をスタートしたOKIでは、2023年度よりイノベーション事業開発センターが発足しました。また、将来事業創出とカルチャー改革に向けた「イノベーション戦略2025」を、2023年11月に策定し、公表しました。「高度遠隔運用」「物流」「ヘルスケア・医療」「CFB」の4領域をイノベーション注力領域と設定し、それぞれ初年度から売上と有償PoCの件数をKPIとして実行してきました。
「物流」領域では、既に商用としてAIによる配送計画最適化サービス「LocoMoses」の提供が開始されています。「高度遠隔運用」「ヘルスケア・医療」「CFB(※1)」においては、いずれも商用化を見据えた有償PoCがスタートしたところです。2024年度には検証、そして2025年度には商用化に向けて進めています。スモールスタートではあるものの、着実に前進し、芽が出てきていることは確かです。

※1 Crystal Film Bondingの略。異なった半導体材料を分子間力のみで接合し、電子デバイスの性能を飛躍的に向上させるOKI独自技術。

より進化した6回目の「Yume Proチャレンジ」

2018年より続けている社内ビジネスアイデアコンテスト「Yume Proチャレンジ」は、2023年度に第6回目を迎えました。応募件数は初回から右肩上がりで増え続け、今回は386件と過去最高記録を更新しました。コンテストの仕組みも毎回改善を続け、アイデアを出しやすい仕組みを整えています。また、応募数だけではなく、質も向上していることも特徴のひとつです。
OKIでは、新規事業の創出や既存事業の革新のみならず、業務改善もイノベーションと定義しています。第6回「Yume Proチャレンジ」では、業務改善のアイデアも取り込み、最終審査で経営陣にプレゼンを行い、成果をアピールしました。
今回は審査員の顔ぶれも大きく変わりました。5回目までは常務以上とイノベーション責任者である私が審査を行っていましたが、今回は2024年度新体制における役員以上の役職者全員を審査員としました。さらには、森社長の「Yume Proチャレンジをもっとオープンな場にしたい」との想いから、最終審査発表会のプレゼンテーションや質疑応答の様子を、社内でライブ配信しました。
年々盛り上がりを見せている「Yume Proチャレンジ」ですが、まだまだ完成形だとは思っていません。もっと気軽にビジネスアイデアや業務改善のアイデアを出せるような場にしたいですし、OKIのイノベーションが歩みを止めないのと同じく、「Yume Proチャレンジ」も絶えず改善、進化を続けていきます。

2023年度の活動を通して見えた3つの課題

イノベーション活動がまた一段進歩したことで、これから取り組むべき課題も見えてきました。これらは経営層へのインタビューを通じて可視化されてきたものです。
1つ目は、まだ全員にはイノベーションの実践が浸透しきっていないという点です。仕組みはできているものの、OKIが推し進めているデザイン思考が隅々にまで届いていないことは事実です。これからさらに、カルチャー改革に一段と力を入れていきます。
2つ目は、IMSの内容などが難しいという意見が出ていることです。2018年からイノベーション活動に力を入れているOKIですが、長年イノベーションに携わっている人と、そうでない人では、当然ながら理解度に差があります。「全員参加型イノベーション」を目指すからには、誰ひとり置き去りにせず、理解できるようにしなければなりません。そのため、用語をもう少し分かりやすくするなど、対策をしていきます。
3つ目は、IMS「Yume Pro」のさらなる改善です。現状のIMSはビジネスプロセスを対象としているため、新規事業の創出や既存事業の革新については、そのままIMSに則って進めていくことが可能です。しかし、業務改善にIMSをそのまま適用することは現実的ではありません。OKIが定義するイノベーションには、ビジネス創出・革新だけではなく、業務改善も含まれています。事業部門のみならず間接部門からもイノベーションが起きることは、全員参加型イノベーションを本当の意味で実現するための不可欠な要素です。そのためにも、IMSを業務改善に特化させた形へカスタマイズし始めています。2024年度中には、業務改善のプロセスを規定に織り込むべく進めています。

2024年度、将来事業創出に向けた新体制

2023年度にIMS「Yume Pro」を全社実装したOKIは、2024年4月1日、中期経営計画2年目として必要な組織の補強を図るため、組織を改正しました。マーケティング・ビジネス開発を担う組織のなかに、イノベーション事業開発センター(IBC)、クロスインダストリー事業推進センター(CIC)、グローバルマーケティングセンター(GMC)という3つのセンターを配置。これまでは、IBCがメインで将来ビジネスの創出を担ってきたのですが、より強化をすべく3つのセンターで領域を分け、さらにドライブをかけていきます。
IBCはこれまでと同様、OKI創業150周年である2031年をターゲットに、500億円以上の事業創出を目指していきます。一方でCICは中期経営計画2025の期間をメインとして、海洋やインフラといった、近い将来での事業創出を担う組織です。そしてGMCは既存のグローバルビジネスへの対応を維持しながら、新規ビジネスも開拓していきます。それに伴い、IBCの注力4領域のうち、特にグローバルで可能性がある「CFB」をGMCに移管しました。今後、それぞれが連携を深めながら、将来ビジネスの創出に取り組んでいきます。

「全員参加型イノベーション」へ、さらなる前進

IBCには、2031年をターゲットとした事業創出のほかに、全社イノベーション推進という大きなミッションがあります。先ほど挙げた2023年度の3つの課題の1つ目、イノベーション実践が全社に浸透しきっていないことに対して、2024年度はギアを上げて取り組んでいきます。
具体的な施策としては、まず現場の部長クラスの意識改革を進めていきます。経営層は、森さんのトップコミットメントやこれまでのイノベーション活動の成果により、かなり足並みが揃ってきました。そして若手社員も新しいことへの関心が強く、「Yume Proチャレンジ」の応募も増加しています。しかし、既存事業の現場を任されているミドルマネジメント層は、現場が多忙であるがゆえに、イノベーションに対する意識が十分に育まれていないと感じています。やはり既存事業で成果を出すことがミッションですから、目の前のことに集中することは当然のことです。しかし、少しの時間でもイノベーションに割いて新しいことをしなければ、OKI全体がシュリンクしてしまいます。現場を率いる部長クラスが強い危機感を持ち、積極的にイノベーションに取り組むことこそが、OKIの未来の成長を形作ることは間違いありません。そこで、2024年度は私を含む経営層が、少人数とのグループとの深い議論を行う「未来トーク」と部長クラスに実施するなど、意識改革に努めていきます。
もうひとつ、「全員参加型イノベーション」を進めるには、国内支社や海外販社の巻き込みが不可欠です。引き続き2024年度も国内外問わず、グローバルにイノベーションの考え方を展開していきます。将来ビジネスの創出のみならず、カルチャー改革においても、IBCとGMCは連携して進めていきます。

全体の底上げと、ハイポテンシャル人材の育成

イノベーション人材育成にも、積極的に取り組んでいきます。これには、全体の底上げとハイポテンシャル人材の育成という2つの側面があります。
まず全体の底上げについては、OKIグループ全社員向けのイノベーション基礎研修や、ワークショップ型研修など、社員全員のイノベーションスキル向上のための取り組みを実施しています。しかし、先ほどの2023年度の課題にも挙げられているように、経営陣のヒアリングから「もっと分かりやすく」という声が出ていることは確かです。そこで、デザイン思考をよりわかりやすく伝えるために、デザイン思考の研究をしている大学の先生にご協力いただき、「Yume Pro」の仕組みの中にそのプロセスを織り込むチャレンジを検討しているところです。
一方、ハイポテンシャル人材では、新規事業創出やイノベーションのプロフェッショナルの方々にサポートをいただきながら、実践的なプログラムを実施しています。一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)代表理事の紺野登氏、新規事業家の守屋実氏、チーム・ゼロイチCEOの赤木優理氏などの研修プログラムにより、イノベーションのスキルを備えた人材を育成しているところです。実践スキルを備えた人材から、事業案件をメンタリングできる高度なスキルを持つ人材まで、5つのカテゴリに分けて2031年までに合計400人のイノベーション人材を育成していきます。

2031年に向けて、CINOとしての目標

全社にIMS「Yume Pro」を実装したということは、プールの中に良質な水が蓄えられた状態になったということです。あとは、そのプールを泳ぎ切るスイマーを、これからどんどん育てていかねばなりません。先ほどのハイポテンシャル人材はもちろん、彼らに泳ぎを教える人材も必要です。そのために、さまざまな階層の人たちに向けてイノベーションを浸透させていきます。OKIのイノベーションはビジネスだけではなく業務改善も含めて定義していますから、そのためのイノベーションプロセスもしっかりと構築していきます。さらには、IMSも一度つくったからそれで終わりではなく、常にアップデートしていかなければなりません。
そして、IMSを活用しながら新規ビジネスを創り、2031年まで掲げている目標に対する結果がちゃんとついていくか、きちんと定点観測を続けていきます。
将来展望という点では、OKIとしての新たな領域をしっかりと伸ばしていくことが大切です。既存領域だけでは、縮小均衡にとどまらず右肩下がりとなってしまう強烈な危機感があります。だからこそ、今から新規事業が持続的に創出・成長できるような道筋を立てていくことがCINOとしての目標です。
日本の企業、特に製造業では、新規事業やイノベーションの創出に苦労している印象があります。その中でもOKIは、いち早くイノベーション活動をスタートし、失敗しながらも前進しています。発展途上ではあるものの、OKIのイノベーションの過程を、こうした場で発信することで、新しいことに取り組もうとする企業の参考になればと考えています。そして、OKIだけのカルチャー改革にとどまらず、世の中全体がイノベーションの共通言語をもってビジネスを進めることができれば、日本企業のビジネスの発展がさらに加速するはずです。
OKIが取り組む新規ビジネスはもちろん、イノベーション活動や「Yume Pro」などに興味をお持ちいただけましたら、ぜひお声がけください。

(2024年4月23日、OKI執行役員CINO、CDO兼イノベーション事業開発センター長 藤原 雄彦)

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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