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CINO ism

Mar. 21, 2024

『CINO ism Vol.54』
海外事業リスタートから1年、OKIのグローバルビジネス最前線

OKIグローバル事業推進本部 国松本部長(左)、藤原執行役員 イノベーション責任者兼イノベーション事業開発センター担当(中央)、グローバル事業推進本部 新規ビジネス開拓部 河村部長(右)の写真
OKIグローバル事業推進本部 国松本部長(左)、藤原執行役員 イノベーション責任者兼イノベーション事業開発センター担当(中央)、グローバル事業推進本部 新規ビジネス開拓部 河村部長(右)

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OKIは2023年4月に海外事業のリスタートとして、グローバル事業推進本部を立ち上げました。海外既存事業であるATMやプリンター事業の基盤をより強固にしていくことだけではなく、新規ビジネス開拓も進めています。
今回は、グローバル事業推進本部長 国松大介と、グローバル事業推進本部 新規ビジネス開拓部 部長 河村慎太郎の二人と、OKIのグローバル事業の現状と今後について語りました。

※当記事に登場する対談者の所属部門および、役職は2024年3月時点のものです。

海外既存事業は、コックピットディスプレイが堅調

藤原今回は、グローバル事業をけん引するお二人と、OKIのグローバルビジネスの現在地と今後についてお話しをしていきます。まず、グローバル事業推進本部のミッションについて聞かせてください。

国松OKIはこの10年ほど、グローバル市場で苦境に直面しています。2014年度頃は主力製品であるATMとプリンターなどで2500億円以上だったグローバルでの売上が、2022年度は500億円ほどまで下落してしまいました。これは、キャッシュレスやペーパーレスといった潮流や、世界情勢が大きな要因といえます。この状況を建て直すには、新しい商材やサービスを創出していくことが不可欠です。そこで、既存事業も守りながら全社横断でOKIの強みを活かした新規領域を模索すべく、グローバル事業推進本部が設立されました。

藤原森社長も、少し時間がかかったとしてもグローバル事業をしっかりと立ち上げなければならないと、強い意志を持って「海外事業リスタート」を宣言しています。グローバル事業推進本部が発足して1年になりますが、既存事業はここまでを振り返ってどう感じていますか?

国松プリンター事業は困難に立ち向かっていますが、ATM事業はコロナ禍開けで海外投資がある程度復活の兆しを見せています。特に、インドとインドネシアの需要は堅調です。もうひとつのOKIのグローバル事業の既存ラインナップは、2021年に横河電機より買収したコックピットディスプレイビジネスです。フランスの大手航空・宇宙電子機器メーカー タレス・アビオニクス社(フランスの大手航空宇宙電子機器メーカー)と協同開発したフライトデッキ液晶ディスプレイを、エアバス社の最新機に搭載しています。こちらは長期的に見て非常に堅調な需要が見込まれます。そしてコックピットディスプレイでは、OKIのCFB(※1)活用の可能性も探っています。

※1 Crystal Film Bondingの略。OKIが開発した、結晶膜を成長基板から剥離し異種材料基板へ接合する技術。

グローバル事業推進本部 国松本部長の写真
グローバル事業推進本部 国松本部長

海外事業にかける本気度を伝えるべく、「グローバルキャラバン」を実施

藤原既存事業の中でも新しいコックピットディスプレイは伸びているものの、やはり「リスタート」には既存事業以外に新しい事業が必要です。ここで、グローバル事業推進本部で新規ビジネス開拓を担当している河村さんに、この1年の活動を聞きたいと思います。

河村まずは、OKIの商品や技術についての棚卸を行いました。300以上の商品や技術を洗い出したのですが、グローバルですぐに展開することは容易ではないことを痛感しました。やはり、現場に行かなければ状況はわからないと考えました。そこで、OKIの海外拠点を訪問し現地の社員とパートナーの話を聞く「グローバルキャラバン」を実施したのです。OKIには24の海外拠点がありますが、1年弱で36訪問、ほぼすべての拠点を回りました。

藤原1年弱で36訪問というのはすごいですね。グローバルキャラバンは、どのような目的で実施したのですか?

河村「なぜグローバルに注力するのか」を伝えること、そして「それに賛同して活動を推進できる仲間がどれくらいいるのか」を把握するためです。「海外事業リスタート」を掲げていますが、先ほど国松さんのお話しにもあったように、この10年でOKIのグローバル事業は保守的にダウンサイズしているため、「本気でグローバルに力を入れようとしているのか」と懐疑的な意見が出てくる可能性もあります。そこで、私たちが本気であることを、私たち自身で各拠点に直接伝えなければならないと考えました。「経営トップがコミットして進めていこうとしているから、ぜひ賛同して欲しい」とこちらの想いを伝え、一緒にリスタートする土台を作ることに集中してきたのです。

藤原商品や技術の前に、まずは今後グローバルで新規事業を進めていくための仲間をつくるために、フェイストゥフェイスで対話して回ったのですね。

河村そうですね。フェイストゥフェイスのコミュニケーションの重要性を実感していますし、私たちグローバルメンバーがOKIの文化を変えていくという意気込みを強く持っています。まさに森社長が言う「カルチャー改革」の取り組みです。また、意欲ある海外ナショナルスタッフにエバンジェリストを依頼し、昨年11月に開催された「OKI World 2023」に20名ほど来場してもらいました。そしてOKIの技術や方針を紹介し、工場なども案内をして、OKIにはATMやプリンター以外にも大きな可能性があることを知ってもらえる機会をつくったのです。

藤原まさにカルチャー改革ですね。グローバル新規事業はまだ土台づくりの段階だと思いますが、ここまでコンセンサスを取れたことは素晴らしいことだと思います。

グローバルでもイノベーション教育を実施していく~海外版Yume Pro

藤原グローバル新規事業には、現地に行って現地の人と話をして、拠点のある国やリージョンで何が起こっているのか、どういう課題があるのかを徹底的に見つけてこなければ、事業をつくることは難しいと思います。そして拠点の人々に動いてもらわなければならないので、コミュニケーションが非常に大事です。実際にグローバルキャラバンをするなか、現地の反応はどうでしたか?

河村正直なところ、訪問前は冷ややかな反応を覚悟していました。しかし、実際に話をしてみると、賛同してくれる人が多く驚きました。そして現地法人の経営層ほど、業績が落ち込んでしまうと事業縮小ということになりかねませんから、非常に強い危機感を感じています。一方でディレクターやマネージャーといった層は、何か手を打たねばならないという問題意識はあるものの、本当に腹落ちをしているのかは疑問が残るところです。だからこそ、IMSのフレームを身に付けてもらう必要があると思います。

藤原カルチャー改革は、トップが根気強く言い続けることが不可欠です。ただ、「変わらなければ」という意識が芽生えても、どうすればいいのかわからない人も多いです。それならば、方法を教えることが必要です。これまでOKIは、技術オリエンテッドな会社でした。一方、IMSはデザイン思考です。このデザイン思考を会社に根付かせていこうとしています。イノベーション教育や人材育成については、国内で実施しているものを海外にも広げていこうとしており、英語版もできています。しかし、やはり実践をしなければ新しいものは生まれません。物理的な距離のある中で、これからグローバルでのイノベーションをどう実践しようと考えていますか?

河村グローバルの全拠点メンバー参加のグローバル会議で議論をした際、まず会社の文化から話を聞きました。そこで出てきたのが、「ジャパンセントリックだ」「ヘッドクオーターセントリックだ」という声でした。日本で決められたことを海外拠点でもそのまま受け入れてしまっているから、あまりチャレンジをしない風土になっていました。そこを、今回は私たちも本気で変えていくことを示しているため、全グローバルメンバーで考えて、全員で決めていこうということで賛同をしてもらったのです。
そして、「グローバルワンチーム」と名付けた活動を進めています。たとえば製造市場、インフラモニタリング市場などマーケットセグメントごとに、グローバルで各拠点のメンバーをグループ分けして、自分たちで議論をして、決めたことを進めてもらおうとしています。それはヘッドクオーターから降ってきたことでもないですし、日本人が決めたことでもなく、グローバル拠点のナショナルスタッフが自分たちで決めたことです。そうやって、日本で活動しているYume Proを、グローバルでも取り入れていきたいと考えています。

藤原海外版Yume Proですね。イノベーションにおいて、横のつながりは非常に大切です。今お話しいただいた取り組みは、とてもいい取り組みだと思います。ただ、世界は広いですから、同じテーマであっても各拠点での課題感にバラつきがあるのではないかという懸念があることも事実です。日本国内の場合、ある自治体での課題は、他の自治体と共通しているケースが多く、ソリューションを展開できたりします。しかしグローバルで見ると、国やリージョンで起こっていることが大きく異なるため、共通の打ち手を考えていくことが難しいかもしれません。もちろん、同じテーマで異なる観点が出てくることもヒントになるとは思いますが、やはり各国・リージョンごとに何が課題なのか特定をしていかなければ、ビジネスは成立しないでしょう。ただ、それぞれの課題の解像度を上げていけば、「この国とこの国の課題は共通している」という新しい発見もあるはずです。それを調べ上げて、チャンスを見出していくこと、それを海外のメンバーとシェアしていくことが次の1年に必要なアクションだと思います。

グローバル事業推進本部 新規ビジネス開拓部 河村部長の写真
グローバル事業推進本部 新規ビジネス開拓部 河村部長

イノベーションには、対外的な発信が不可欠

藤原これからOKIがグローバルでさらなる進化を遂げるために、課題に感じていることがあれば聞かせてください。

国松事業部と共に本気になって、一体となって進めていくために、ベクトルをみんなでそろえていきたいと思っています。しかし、どうすれば方向性を揃えられるのかというのが目下の悩みです。

藤原私がイノベーション活動で行っていることは、社内に伝え続けることはもちろん、社外にも発信し続けることです。イノベーションとプロモーションは、セットで進めていかねばなりません。私自身、OKIの中では最も社外発信している人間だと思っているのですが、それでもOKIのシニアアドバイザーである新規事業家の守屋実さんには「まだまだ少ないです」と言われています。そのくらい、外向きに伝えていかないといけないということです。情報発信をすると、社外経由で社内に伝わっていきます。そうすると、特に若手が「私たちも何かしなければいけないのではないか」と、少しずつ変化していくはずです。
河村さんはどうですか?

河村先ほど藤原さんがおっしゃっていたように、カルチャー改革には長期的な視点が不可欠だと思います。そしていつも森社長がお話しされている「最後は人をつくって欲しい」という言葉を大切にしています。私がマネジメントをしているグローバルの新規ビジネス開拓部は30歳前後の若手が多く、どうしても目の前の結果を追いかけてしまいがちです。そのたびに「私たちは自ら学習し人をつくる組織だから、長期スパンで考えよう」と伝えていいます。当然ながら、焦りを感じてしまう場面もあります。この活動が数年で終わってしまわないように、経営の強力なサポートもいただきながら続けていきたいです。

藤原焦ってしまう気持ちもわかります。しかし、新規、しかもイノベーションはすぐには立ち上がりません。仮説を立てて、世の中の価値やお客さまの価値を深く聞いていくことがイノベーターに求められる姿です。深く聞くことで解像度が上がりますから。そこに、OKIの強みを掛け算するという考え方で進めるといいと思います。ただ、ここで気を付けて欲しいのが、技術から話を始めないことです。先ほど話したように、デザイン思考で進めることが大切です。OKIの強みを認識して、それを念頭に置きながら国・リージョンの課題を深堀していくと、その課題とOKIの強みが結びついてソリューションが生まれるはずです。

強い意志を持ち、長期的な視点で取り組んでいく

藤原私は2017年にOKIがイノベーションに本気で取り組むと決めてから、ずっとカルチャー改革に取り組んでいますが、5~6年でやっと光が見え始めました。これからグローバルでイノベーションを創出しようとなると、OKIのIMSであるYume Proを身に付ける必要があります。それがなければ、保守的な風土は変わらないと思います。そしてスタイルチェンジにはそれなりに時間がかかることは確かですし、推進者が強い意志を持つことが何より大切です。そこで最後に、OKIのグローバルを担う国松さん、河村さんそれぞれの意志や今後の抱負について、ぜひお聞かせください。

国松まずは自分自身が変わること、そしてOKIのことをもっと知ることが必要だと考えています。藤原さんがおっしゃったように、モードチェンジは容易なことではなく、時間もかかるでしょう。それを成し遂げるには、グローバルメンバーに変われという前に、まず自分のマインドを変えていかねばなりません。そして、海外事業リスタートにあたり、改めて自分がOKIのことをしっかりと知らなければならないと思っています。これまで自分が携わった技術や商品についての知識はあるのですが、OKIの商品をすべて説明できるかというと、恥ずかしながらそうではありません。これからグローバルで可能性を探っていくためには、しっかりと知らなければOKIの技術や商品の魅力を世界に向けて語ることもできません。そのために、OKIについて知識を広げているところです。グローバルでイノベーションを創造するためにも、まずは自分の中でイノベーションを起こしていくことが、これからの抱負です。

河村私は一度OKIを退職して他社に転職し、2年半くらい前にまたOKIに戻ってきました。転職先はグローバル成長企業だったのですが、外に出て改めてOKIをみると、可能性にあふれているように見えたのです。なぜならOKIはいい文化を持っているからです。そしてOKIに戻ってきてイノベーション教育やYume Proチャレンジなどの活動を知り、保守的だったOKIが変わろうとしていることに感銘を受けました。だからこそ、グローバルでの新規ビジネス開拓には大きな可能性を感じています。そしてグローバルでの成功に向けて、変革を「自分ごと」として捉える社員を、ひとりでも多く増やしていきたいです。自分ごとになるきっかけは何かというと、それは危機感だと思います。海外拠点は、何かを変えなければ先がないという危機感を抱いている人が多いです。その危機感を前向きな変革に向けられるように、私たちがブリッジとなって海外版Yume Proを進めていきたいと考えています。

藤原国松さんが言う「自分がまず変わる」ということは、まさにその通りですね。実は私自身も変わったんですよ。長らく受注開発型ビジネスに関わってきたため、待ち受けの姿勢が染みついていました。でも、イノベーション推進に関わり外の世界と接することで、自分が変えていこうというマインドが芽生えました。
そして河村さんが海外版Yume Proを進めていきたいと言ってくれることは嬉しいことです。時間はかかりますが、本気で取り組めば絶対に変わります。新しいことを始めるのは容易なことではありませんが、信じて続けて欲しいです。二人のモチベーションの高さと危機感、そして真剣に考えてくれていることもわかりました。これからの活躍を、本当に期待しています。

藤原CINOの写真
藤原CINO

(2024年3月21日、OKI執行役員 CINO兼イノベーション事業開発担当 藤原 雄彦)

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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