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CINO ism

Mar. 14, 2023

『CINO ism Vol.41』
Yume Proの浸透~実践モードに向けて
―IPC 多点型レーザー振動計プロジェクトの事例―

OKI 藤原執行役員 CINO兼CTO(左)、イノベーション推進センター ビジネス推進部 佐々木担当部長(右)の写真
OKI 藤原執行役員 CINO兼CTO(左)、イノベーション推進センター ビジネス推進部 佐々木担当部長(右)

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今年度の「CINO ism」では、OKIのイノベーション・マネジメントシステム(IMS)「Yume Pro」の浸透~実践モードに向けてをテーマに、各部門への展開を担う部長/部門長と藤原の対談を続けています。IMSの実践を通じて見えてきた成果や課題について、現場目線のリアルな声を紹介していきます。
今回は、2019年度の「Yume Proチャレンジ」で大賞に輝いた「多点型レーザー振動計」のビジネス推進責任者を務めるイノベーション推進センター(IPC) ビジネス推進部(BID)の佐々木浩紀担当部長との対談です。
多点型レーザー振動計は、OKIの強みである光通信技術をセンシングに応用し、非接触で広範囲(多点)・高精度・広帯域の振動計測を実現するものです。事業化に向けた活動の現状と課題、今後の展開について語り合いました。

IMSの活用によって技術開発の目的、ロードマップが明確になった

藤原佐々木さんは、光技術をコアにした研究開発に長年携わる一方で、新規事業開発に携わった経験も有しています。
そこで、イノベーションによる新規事業創出を“実践モード”へとシフトチェンジした今年度、技術とビジネスの両方に知見がある佐々木さんに、「多点型レーザー振動計」の事業化に向けたマネジメントをお願いしました。

佐々木私は入社以来、研究開発センターの所属でしたが、今から17、18年ほど前に約3年半、半導体部門で研究開発の技術を活かしたベンチャーユニットに携わりました。その後は、また研究開発センターで研究を続け、IPCが発足した2020年度から多点型レーザー振動計PJのメンバーとして1年間は研究開発部、次の1年間は企画室に席を置き、2022年度にBIDへ移りました。

藤原IPCの設立時にセンター長だった私は、全員に「Yume Proプロセスに則って仕事をすること」と伝え、その実践を推進しました。研究開発部のメンバーは当初、かなり困惑していましたが、佐々木さんはどう受け止めていましたか。

佐々木IMS、Yume Proプロセスに対する違和感はなかったですし、むしろ「ありがたい」「いい方向」だと思いました。
過去に少人数のベンチャーユニットで事業化に向けた活動をしていた当時、「OKIのようにある程度の規模がある企業が、新しい事業や商品を生み出そうとする際、効率的な仕組み・システムを使ったアプローチができないものか」と思い悩んだ経験があります。加えて、研究開発センターに戻り、マネジメント職に就いた際、技術開発の方向性は示せるものの、「事業までどういうふうに持っていくのか」といったシナリオ、アウトプットが漠然としていることにジレンマを感じていました。
しかし、IPCになりYume Proプロセスを使うようになったことで、「技術をこういう商品やサービスに活用して社会課題を解決していく」という目的、ロードマップが明確になりました。これによって「何のために研究開発をするのか、何を目指すのか」を部内で説明しやすくなりましたし、メンバー同士も意識共有できるようになりました。さらにBIDに異動してからも、IMSによって皆とスムーズに意思疎通でき、楽しく仕事ができています。

イノベーション推進センター ビジネス推進部 佐々木担当部長の写真
イノベーション推進センター ビジネス推進部 佐々木担当部長

ターゲットを絞ったアプローチでお客様の課金ニーズを引き出す

藤原多点型レーザー振動計は、OKIの強みを活かした、非常にOKIらしい商品です。差別化された高度な技術によって製造設備などの稼働監視を簡単かつ広範囲に行える“夢のようなソリューション”と言えます。
ただ、利用シーンや費用対効果を考慮すると、どんな製造設備でも使えるわけではありません。この技術に「いいね」と言ってくださるお客様は多いですが、そこから先、「お金を払ってでも欲しい」という課金ニーズに持っていくのは簡単ではありません。ですから私は、PJが発足した当初から「どういう分野のどんな装置に使えるのか?」と問いかけ、「活用シーンがはっきり分かる絵を描かないとだめだ」と指摘してきました。

佐々木確かに、PJ活動で最初にプロト機を作り展示会などに出品したところ、「評価してみたい」との声を非常に多くいただきました。しかし、さまざまなお客様とのやり取りを続けるうちに、藤原さんの指摘通りの課題に直面し、「この商品の本当の価値はどこにあるのか」を繰り返し検討しなければなりませんでした。
その中で、広範なニーズの中から「我々が価値を提供できる可能性がある」と判断した現場としっかり向き合い、腰を据えて取り組みはじめたところ、「提供価値、商品価値はここだ」というものが明確になっていきました。
2021年度には、大規模なプラントを有するお客様から「実際の工場設備で実用性を評価したい」との要望をいただきました。これに応えるため、今年度は事業部とも連携し、IMSだけでなく、QMS(※1)のプロセスも入れてより商品に近いような信頼性、耐久性を有するハードウェアを作りました。2023年の頭からは現場にこの試作機を設置して連続稼働させ、お客様とともに評価を続けています。

藤原お客様の反応や、温度感からターゲットを絞りこむやり方はとても良かったと思います。お客様と深くコミュニケーションし、仮説を磨き上げることで、お客様の“本気度”も上がってきたということですね。

佐々木そうですね。お客様はもともと既存の接触型センサーによる測定を想定していたそうです。ですが、OKIが発行する技術情報広報誌OKIテクニカルレビューで多点型レーザー振動計の記事をご覧になり、さらにCEATECでの展示で「OKIは本気だ」と感じ、OKIにコンタクトしてこられました。そして仮説検証を繰り返す中で、レーザー振動計の非接触や高精度という優位性はご理解いただいた上で、多点型レーザー振動計と既存センサーの導入・運用にかかる手間やコストを試算・比較してご説明したところ、お客様が「両方のセンサーを同時に稼働させて比較してみる」と決断されました。

藤原イノベーション関連の案件では、展示会やWEBサイトから興味を持ったお客様からのコンタクトが共創の出発点というケースが多くあります。イノベーション推進におけるプロモーション活動、広く情報発信をすることの重要性、有効性を改めて認識させられます。

事業部門が展開する「Manufacturing DX」の領域で商品化・事業化を目指す

藤原製造設備の稼働監視はOKIの既存事業の領域と重複しています。ですから、初期の段階から事業部門や営業部門とも深くつながっていましたね。部門を越えた横の連携はどうですか。

佐々木PJの中ではIMSが共通言語になっています。事業部門や営業部門から参加しているメンバーは経験豊富な人が多く、肌感覚でIMSを理解しているように感じています。具体的な活動ももちろん、Yume Proプロセスに則ってステップを進めています。

藤原現段階でのPJの主管はIPCですが、この先の事業化に向けたステップでは事業部門への移管を行うことになりますね。

佐々木はい。現在はIPCのセンシング技術研究開発部とビジネス推進部の連携体制でPJを主導していますが、SS事本の担当部門がすでに商品開発に深く関わっています。最終的には、製造業のDXを実現するソリューション「Manufacturing DX」を主管する部門が商品展開、事業展開していくことになります。

OKI 藤原執行役員 CINO兼CTOの写真
OKI 藤原執行役員 CINO兼CTO

他ベンダーともパートナーシップを組みビジネスのスケールアップを

藤原多点型レーザー振動計の先々の展開について、佐々木さんが描いているビジョンはありますか?

佐々木今のアプローチの仕方は、センサーの「ハード売り」ですが、やはり「ソリューション販売」という形まで発展・拡大させたいと考えています。オールOKIで見ると、振動や音響などの波形を解析するソフトウェア「ForeWave」がすでにリリースされていますし、「Manufacturing DX」の分野であらゆるお客様の製造現場に入り込んでいる事業部門や全国の営業部隊がいます。オールOKI、チームOKIの力を合わせてお客様に価値を提供していくビジネスに成長してほしいと思います。

藤原DXやIoTではデータ活用が重要です。多点型レーザー振動計は現場の生のデータが取れるわけですから、間違いなく稼働監視サービスのソリューションを作り上げられますし、サービス全体を販売すれば、売り切りではなくサブスクリプションのようなモデルも構築できます。その場合、OKIがサービスそのものを提供するのはなかなか考えにくいですが、たとえば他の事業者がサービス提供者となり、そのシステムや運用面をOKIがサポートしていくリカーリングモデル的なビジネスもあり得ますね。

佐々木実は、PJでは製造現場のお客様企業だけでなく、IoTのソリューションベンダーにもアプローチをしていて、かなりの手応えも感じています。他ベンダーとパートナーシップを組んでビジネスをスケールアップしていく方法も有効だと思っています。

藤原事業化への道筋がいろいろ見えてきて期待も膨らみますが、だからこそ今が非常に大事な局面で、とても大変だと思います。もうひと踏ん張りして、まず1件でも商用導入へ漕ぎつけたいですね。「この商品はどんな製造設備でも使えるわけではない」とは言いましたが、お客様の高い評価、関心を集めているのは間違いありません。活用事例が1つ生まれれば、市場の注目度が高まり、事業化へ向けた動きもさらに加速されていくはずです。

※1 QMS(Quality Management System):ISO 9001。製品・サービスの品質を継続的に改善する仕組みの実現に必要な事柄(=要求事項)を定めている国際規格

(2023年3月14日、OKI執行役員 CINO兼CTO 藤原 雄彦)

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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