スマート工場の実現を支援する「Manufacturing DX」

OKI独自のセンシング技術、AI技術を結集・活用し、
製造業のお客様が抱える課題を解決

OKIの生産設備連携IoTソリューション設備保全向け AI波形解析 ForeWave® for AE2100

振動や音響をリアルタイムでエッジ解析! “エッジ学習”機能により、対象物の環境変化に対応します。

背景

国内市場における労働力不足が深刻化するなか、将来の競争力強化に向けて、効率的な設備保全の実現が大きな課題として認識されています。従来、設備故障の兆候検知は、すべての設備を対象とした定期検査のなかで、高速フーリエ変換(FFT)(注1)やウェーブレット変換(注2)といった従来技術や、熟練技術者の聴覚や触覚などの感覚的なノウハウを用いて行われてきました。しかし、定期的な検査では、故障の兆候が発生してから検知するまで時間があき、現場でのすばやい兆候検知に至らない場合があります。加えて、従来技術では複雑な設備状態の認識は難しく、また、熟練技術者のノウハウは、その技術的な難易度から、次代を担う人材への技術継承が困難となっています。

「ForeWave for AE2100」概要

「ForeWave for AE2100」は、振動や音響といった波形データをエッジ領域でリアルタイム解析し、設備などの異常兆候を検知するソフトウェアです。データの収集からそのAI解析と結果の見える化までを、オールインワンでOKIのAIエッジコンピューター「AE2100」へ搭載することにより、設備に近いエッジ領域で、リアルタイムに設備異常を検出し、効率的な状態基準保全(注3)の仕組み作りを実現します。「ForeWave for AE2100」は、機械学習をベースにした、OKI独自の波形データ解析向けAI解析技術(注4)を採用しています。

一般的なAI解析技術では、対象設備や検知したい異常ごとに、解析手法そのものと、異常の閾値となる判別モデル(注5)を準備する必要がありますが、「ForeWave for AE2100」は、解析手法として汎用性の高いOKI独自の波形データ解析向けAI解析技術により、判別モデルの入れ替えだけで、さまざまな設備の異常兆候検知に利用できます。

波形解析 ForeWave for AE2100概要図

特徴

  • 「ForeWave for AE2100」は、振動データに加え、音響データにも対応します。指向性のあるマイクなどを利用し、振動センサーの取り付けが難しい高温部や湾曲部の異常検知にも対応します。
  • 熟練技術者の聴覚による故障兆候の検知に対応するため、サンプリング周波数50kHzまでという高い周波数帯の振動や音響のデータ解析に対応しています。ここで発生する大量のデータはエッジ領域でリアルタイムにAI解析され、高いレスポンスで正確な検知を実現します。
  • 波形データの取り込みからAI解析、判別結果の表示まで、振動や音響のデータ解析に必要な一連の機能を「AE2100」へ搭載し、オールインワンで提供します。
  • お客様の設備への適用条件や精度を検証し、異常の閾値となる判別モデルを作成するモデル生成サービス、およびシステム導入後の運用を支援するキットなど、システム導入の各フェーズで求められるサービス・ソフトウェアを品揃えしています。

エッジ学習1:「簡易学習」モード

「簡易学習」モードは、多様な設備動作や環境条件に対応するため、正常状態を“その場で定義”する使い方です。

一般的な異常検知では、正常と異常のデータから閾値を事前に作成し、運用中に得られたデータとの特徴差を検出します。厳密な基準を作成するためには、様々な条件の学習データが必要となり、システム運用まで長期化しがちです。「簡易学習」モードは、この課題を回避するためのForeWaveの使い方の1つです。

運用イメージ

ロットの製造初期を正常とみなして、判別モデル(閾値)を自動作成し、ロットの製造完了まで適用します。
「同一ロットでは、設備動作や環境条件が同一である」を前提に、多様な設備動作や環境条件が想定されても、スムーズにForeWave異常検知を運用いただけます。

波形解析 ForeWave for AE2100説明図

エッジ学習2:「追加学習」モード

「追加学習」モードは、導入後の環境変化にあわせて、対象物ならではの特徴をエッジで学習します。時間経過とともに得られる正常データを反映させ、正常状態を“積み重ねて定義”する使い方です。
正常状態を基準とする際、“異常が発生せず、異常データが取りにくい”、“正常を示すデータに振れ幅があり、うまく閾値が定義できない”などの課題がある場合、「追加学習」モードをお勧めします。

運用イメージ

ある時点での正常データから、初期の判別モデルを作成します。ここに、運用中に得られたデータを加えて、正常状態の閾値を、自動的に拡張します。
運用中に得られた新たなデータのうち、初期の判別モデルに近いデータだけを選別します。これにより、少しずつ、正常範囲を拡張する事ができ、より実態にあった判別モデルが作成できます。

更新前の判別モデル、自動更新後の判別モデル

期待される効果

  • 熟練技術者の勘や経験に頼らず、データに基づいた設備故障の兆候検知する仕組みづくりが可能です。
  • 適切な保全タイミングの検知につながり、設備稼働率の向上や加工不良の低減へ貢献します。同時に、状態基準保全につながり、保全工数の効率化が期待できます。
  • 工作機械メーカー様においては、振動・音響による設備状態検知を、自社製品機能の付加価値として付加できます。

コア技術

「ForeWave for AE2100」に搭載されるOKIの波形データ解析向けAI解析技術は、非負値行列因子分解(NMF)(注6)と機械学習を組み合わせた高パフォーマンスなアルゴリズムです。あらかじめ、“いつもの状態”を基準として学習し、正常と異常の閾値となる判別モデルを作成します。この判別モデルを「ForeWave for AE2100」へ組み入れ、新たに計測される波形データと定量的に比較することで、設備の異常兆候をスコア値で見える化します。

波形解析 ForeWave for AE2100説明図

非負値行列因子分解(NMF)は、設備から収集される波形データを、共通成分と特徴成分に自動で分解するアルゴリズムです。ここで得られた特徴成分のみを機械学習に投入する事で、より複雑な設備状態の検知、および高速な波形解析パフォーマンスを実現しています。

波形解析 ForeWave for AE2100構成図

商品メニュー

「ForeWave for AE2100」導入の各フェーズで求められるサービスやソフトウェアを品揃えしています。

  • ForeWave for AE2100

    振動や音響といった波形データをリアルタイムにエッジ領域でAI解析して、設備状態をお知らせするソフトウェアです。

  • 運用支援キット

    設備の状況や環境条件により、異常検知精度の悪化がみられる場合、お客様ご自身で、閾値となる判別モデルを微調整いただくためのキットです。

  • モデル生成サービス

    お客様が指定する設備において、「ForeWave for AE2100」で利用するパラメータ最適値を探り、異常判別の閾値となる判別モデルを作成するサービスです。

  • その他、当社SEによるアプリ開発やシステム構築もご相談ください。

関連リンク

  • 注1:高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)

    単位時間あたりの時系列信号を、高速で周波数成分に変換する符号化アルゴリズム。

  • 注2:ウェーブレット変換

    時系列信号を、周波数成分に変換する符号化アルゴリズムで、時間的変化も同時に抽出できるアルゴリズム。

  • 注3:状態基準保全

    設備状態を監視して劣化兆候を把握することにより、劣化状況にあわせて、その都度メンテナンスを行う保全方法。
    メンテナンスが不要な正常動作している設備への対応が不要となり、設備保全の効率化につながる。

  • 注4:OKI独自の高パフォーマンスなアルゴリズム

    非負値行列因子分解と機械学習を組み合わせた、OKI独自の波形データ解析向けAI解析技術。

  • 注5:異常の閾値となる判別モデル

    正常と異常を区別する閾値が格納されたファイルで、「ForeWave for AE2100」の導入に必須のコンポーネント。
    モデル生成サービスや、運用支援キットの利用により生成する。

  • 注6:NMF(Non-negative Matrix Factorization)

    非負値行列因子分解。非負値のデータを加法的な構成成分に分解するための多変量解析手法。
    波形解析だけでなく、画像解析やテキストクラスタリングなどにも用いられる。

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