• 商品サービス
  • 投資家の皆様へ
  • OKIについて
  • 採用情報
  • お問い合わせ
  • サイトマップ

Daily Topics

CINO ism

Jun.13, 2022

『CINO ism Vol.27』
Yume Proの浸透~実践モードに向けて
―イノベーション推進センター AI技術研究開発部の事例―

藤原執行役員 CINO兼CTOの写真
藤原執行役員 CINO兼CTO

最新記事

今回から、OKIのイノベーション・マネジメントシステム(IMS)「Yume Pro」の全社浸透から、実践モードへの移行をテーマに、各部門への展開を担う部長/部門長と藤原が対談し、IMSの実践を通じて見えてきた成果や課題について現場目線のリアルな声を紹介していきます。

初回となる今回は、イノベーション推進センター(IPC)・AI技術研究開発部(AID)の須崎昌彦部長との対談。AIDは、OKIの新規事業創出を支えるキーテクノロジーの研究開発に加えて、グループ全体のAI環境整備にも大きく貢献しています。
IMSの実践における現状と課題、今後の目標について語り合いました。

[IMSの部内展開]
新しいマネジメント・業務プロセスに半年は手探り状態

藤原2020年4月にIPCが誕生した際、私は鎌上会長(当時社長)から「IMSを活用し、きちんとした目的を持った研究開発をしてほしい」と指示を受けました。そこで、従来の新規事業開発向け(Bプロセス)から派生させた研究開発向けの「Tプロセス」を策定し、研究開発部門には「Tプロセスに則って業務を遂行すること」をアナウンスしました。仕事の進め方も報告の仕方も従来とは変わり、メンバーはかなり混乱・心配をしていましたね。

須崎最初の目標設定会議で、いきなり「ビジネスモデル・キャンバス(BMC)を書いてくること」と指示され、皆が戸惑っていました。具体的な書き方が分からないまま、埋められる項目だけ埋めて提出し、厳しい指摘を受けたことを覚えています。当初は本当に手探りの状態でした。

藤原それでも半年ほど経てば、Tプロセスに沿った業務報告ができるようになりましたよね。その辺は「さすが順応力の高いOKIの企業文化、OKIの社員」だと感心しました。

「OKIのイノベーション活動とは」を全員参加のワークショップで議論

須崎2020年9月には「OKIのイノベーション活動とは何か」をテーマにしたワークショップも行いました。この頃はまだメンバーから「(イノベーションが)どういうことか分からない」という声も挙がっていましたが、ワークショップで疑問や意見を出し合ったことで、それぞれが理解を深めることができました。
一方で、「ヒヤリングとは誰に何を聞けばいいのか」「お客様の今の声を聞いていたら短期的な課題解決にしかならないのでは」「長期的視点の研究開発テーマを設定するためにはどうすれば」など、不安の声があったのも事実です。

藤原経営学者の故ピーター・ドラッカー氏は、「顕在化している課題に対してアプローチするのがマーケティング。潜在的な課題まで掘り起こして合意しながら進めていくのがイノベーション」という言葉を残しています。お客様の声を短期的な課題にしないためには、我々が「将来はこんな世の中になって、こういうことが行われるだろう」といった未来を描いた上でお客様と話をすることが大事です。

イノベーション推進センター AI技術研究開発部 須崎部長の写真
イノベーション推進センター AI技術研究開発部 須崎部長

「イノベーション戦略」でやるべきことが明確になった

藤原2021年1月に、2030年までの新規事業創出に関するロードマップをまとめた「イノベーション戦略」を発表しました。まさに中長期の「目指す姿」を示したものです。2020年度初め頃から、須崎さんも含め、みなさんと一緒に中身を作っていきました。

須崎そうですね。AI技術に関しては、以前から「OKIのAIとは何か」ということを経営陣からも問われていて、メンバーと議論を重ね、絵を描いたりしてきました。戦略策定にあたってフォーマットやまとめ方が示されたので、長らく考えてきたものを「インテリジェンス領域」としてOKIのAIを社外にきちんと公表できるものが完成しましたし、部門のメンバーも目的や目標、やるべきことが明確になりました。

藤原IPCの初年度に研究開発部それぞれのゴール、IMSにおける「機会に関する意図」が描けたことは大きな意義がありましたね。自分たちの現在位置や今後を見据え、お客様と会話しながら試行錯誤していくことで中長期的な視点での課題解決提案ができるようになるのだと思います。

[IMSの活用状況]
研究者がヒヤリング術を学べる教育プログラムが必要

藤原IPCでは、研究開発部はTプロセス、ビジネス推進部はBプロセスを活用し、相互に連携しながら活動することがもはや日常になっています。このプロセスに沿って計画や報告をしているので、IMSに基づいたマネジメントが徹底されていますよね。

須崎AIDのメンバーを日々見ていて、確かに「やるべきことが分かってきている」という手応えを感じています。また、年間計画を作成する際、Tプロセスに沿ってやるべきことを明確にしていけるので、以前よりも計画を立てやすくなりました。

藤原私は今年度、イノベーション活動のキーワードに「実践モード」を掲げました。これまでの「普及啓蒙」からシフトチェンジして、強い意志を持って行動する人を増やし、その質も上げていくことが大きなテーマです。

須崎藤原さんの言う通り、これからは質が大事になると思っています。
AIDでは昨年度、若手のメンバーが、社内工場における多層基板の製造工程の歩留まり改善ニーズに対して、複数あった課題を現場の社員にヒヤリングしながら仮説を立て、一つひとつデータを分析して紐解いていったことで歩留まりの向上に貢献しました。このような成果をさらに積み重ねていきたいと思います。

藤原いいですね。ただ私としては、実際のお客様やパートナーともっと話をしてほしいという想いがあります。

須崎先出したワークショップでも「お客様を訪問することに慣れていない。そもそも研究者はそういう機会があまりない」という声はありました。当時からずいぶん状況は変わってきていますが、お客様との会話から課題を引き出すスキルには未だ課題があります。研究員のそれぞれが「どんな話をすれば何を聞き出せるのか」といったヒヤリング術を学べる研修があればいいなと思っています。

藤原そういった「実践モード」の教育もいろいろ実施していこうと検討を進めています。
私の経験則からすると「場数を踏むことがスキルアップの一番のやり方」だと思っています。お客様を訪問する習慣が身に付いてきた部課長クラスが、メンバーを連れていって経験を積ませ、部内に浸透させていくことも大事です。ただ、最初の一歩をスッと踏み出せるように、事前に研修・訓練する機会も用意していきます。

[今後の目標・ビジョン]
グループ全体で取り組む「AI-Ready化」に確かな手応え

須崎AIDは、OKIグループ全体で取り組む「AI環境整備プロジェクト」を立ち上げ、AIを活用したビジネスに求められるリスクマネジメント体制の整備、品質保証やデータ管理・活用のための仕組みづくり、AI人材育成などに携わってきました。研究開発だけでなく、このような取り組みもAIDの重要なミッションです。
その成果の1つとして昨年度は、ソリューションシステム事業本部が運用する品質規定の中に、AIに関する(リスク管理や品質チェックの)規定を追加する作業を行いました。

藤原OKIは今年度末を目標に、「IMS-Ready」と並行して「AI-Ready」な企業になることを目指していますからね。AIDの頑張りや社内の前向きな取り組みで、ここまでほぼ計画通りに物事が進んでいると思います。

須崎経団連(一般社団法人 日本経済団体連合会)がAI-Ready化のレベルを5段階で評価できる自己診断用のチェックリストを作成しているのですが、それに照らし合わせると、OKIは3年位前にレベル2程度だったものが、最近はレベル3から4の中間あたりまできています。私は当初「たくさんの事業部門を持つ製造業はレベル3が限界かな」と考えていたのですが、今は「OKIならレベル4に到達できる」と見ています。

藤原そうなると、イノベーションと同じように「仕組み・環境を整えたうえで、どう成果を出すか」が問われてきます。たとえば、現在進めている物流分野向けのルート配送最適化アルゴリズムを活用したソリューション開発は、非常にタイムリーでお客様への提供価値も十分にあって、大きな成果だと思っています。あのような新規ビジネス事例をどんどん増やしてほしいですね。それによって「OKIはAIリテラシー、AIスキルが高いから、新しい事業を作り出せている」という市場認知も広がっていくと思います。

「IMS世代」に「アート思考」な研究開発を期待

須崎AIをグループ全体に浸透させることについては、すでに若手の研究者を中心に社内のさまざまなAI関連活動に参画しています。「AI-Ready化」に向けた全社的な施策の推進だけなく、こうした活動にも継続して注力したいと考えています。

藤原AIDには、AI推進の先導者・牽引者としてAIに関する総合的な力を身に付けてほしいし、研究開発については、イノベーション戦略でも掲げている「信頼性と親和性を備えた、人と補完し合うリアルタイムなAI」の実現を追求してほしいです。そんな研究者集団が、常に頭の中に未来を見据えたビジネスモデルを描いていれば、もう鬼に金棒です。

須崎AIDのメンバーは、約半数が入社5年目以内の若手で、入社時からIPCの仕事のやり方、つまりTプロセスを活用してきた社員です。世の中でいうミレニアム世代やZ世代に倣えば、彼らは初めからIMSに慣れ親しんだ「IMS世代」といえます。そういう若い世代が、新しいことをどんどん提案していけるような部門にしていきたいです。

藤原「IMS世代」まさしくその通りですね。私は、研究開発部(IPC)の一人ひとりとの面談を継続的に行っているのですが、AIDの若手メンバーが「未来を描いたうえで何を活用して実現するかを考えなければ、目的がないのと同じですよね」と言ったことがすごく印象に残っています。
若い世代が自由な発想で未来を描いてもらえるように、これからは「デザイン思考にアート思考を加えて」というキーワードも使っていこうと考えています。個人個人が既存の概念や慣習にとらわれることなく「こういう世の中になったら幸せだ、便利だ、楽しい、安心できる」といったことをしっかり考えて、研究開発に繋げていく。そうすることによって、お客様のお困りごとを解決するだけでなく、おおきな社会課題の解決にも必ず貢献できると思っています。

(2022年6月13日、OKI執行役員 CINO兼CTO 藤原 雄彦)

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

最新記事


Special Contents

      お問い合わせ

      お問い合わせ