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CINO ism

Jan.31, 2022

『CINO ism Vol.19』
全員参加型イノベーションのジレンマと対策

藤原CINO兼CTOの写真
藤原CINO兼CTO

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2020年12月に「IMS(Yume Pro)の全社展開」「全員参加型イノベーションの推進」をリリースしてから約1年が経過しました。その間、「イノベーション基礎研修」の修了者は、2021年度目標としていた累計4500名を大きく上回り、2022年1月21日の時点で5965名に達しました。その他の施策もブラッシュアップを重ね、取り組みを強化しています。これによって、イノベーションに対する意識はOKIグループ全体に着実に広がっています。
しかしながら、現場での実践となると、それなりのハードルもあり、“全員参加型”の実現が決して容易ではないことを実感しています。
今回は、全員参加型イノベーションに取り組むOKIが抱えるジレンマについてお話しします。

ダイアログの参加者が口にする現場のリアルな悩み

私は、イノベーション推進の取り組みや成果に関する講演をする際に、現場からあがってくる「3つの悩み」について話をしています。

①「新しいことをやれ!」と言われても、どう行動すればよいか分からない
②組織の縦割りが強く、協力してくれる人を集められない
③現業が忙しく、新しいことに取り組む時間がない

これらは、「CINO ism Vol.9」で紹介したマネジメント層と社員の語らいの場「イノベーション・ダイアログ」において、参加者が口にすることの多い“現場の生の声”です。

現場から聞こえてくる「3つの悩み」の図
現場から聞こえてくる「3つの悩み」

全社向けのIMS規程で行動手順も明文化

悩み①は、社員個々のイノベーションの理解度や向き合い方に起因する面もありますが、CINOの立場としてはむしろ、仕組みの整備が行き届いていないことが大きな原因と捉えています。
イノベーション基礎研修では、Yume Proやその行動プロセス(Yume Proプロセス)、ビジネスモデルキャンバス(BMC)の基礎を学び、ワークショップで実際のBMC作成も経験します。意欲のある社員はその後、より専門的な研修を受けてレベルアップし、業務の中でイノベーションを実践しています。一方で、習得した知識をどう実務で活かせば良いのか分からない社員も多くいます。なぜなら、「こう行動すればよい」という指針が、まだ明文化されていないからです。
その解決策となるのが冒頭に記したIMSの全社展開であり、OKIグループ全体の業務システムに組み込むために、全社ワーキングで策定を進めているYume Proの全社規程です。各部門での試行・フィードバックも踏まえ、2022年度末までにYume Pro規程の第1版を発行しますが、その中に業務現場でイノベーションを実践するための手順・ガイドラインもしっかりと盛り込んでいきます。名ばかりの規程やルールではなく、名実ともに、全社員が「これを見れば行動できる」という活用しやすいものに仕上げたいと考えています。

社内の技術情報ポータルも部門を越えたコミュニケーションツールに

悩み②は、OKIに限らず、歴史のある大手・中堅企業に共通する課題ではないでしょうか。
縦割りの組織は、お客様からの要求を受けて高品質なモノを作り上げる受注型ビジネスには適していますが、OKIはいま「お客様やパートナーと共創し、社会課題やお客様課題を解決するビジネスモデル」で成長戦略を描いています。エコシステムによる課題解決が必須の時代に、社内組織の壁を乗り越えられない、突き崩せないというのでは話になりません。
部門横断でイノベーションに取り組むための施策としては、以前にも紹介したビジネスアイデアコンテスト「Yume Proチャレンジ」や、社内のイノベーション伝導師を育てる「Yumeハブ制度」があります。イノベーション研修自体も、グループワークなどを通じて横のつながりを作るよい機会になっています。
また、OKIグループ内の技術資産やスタートアップ情報をデータベース化した「OKIPEDIA」という社内ポータルには、掲出者の氏名も記載されており、社員同士のコミュニケーションに役立っています。鎌上社長はイノベーション・ダイアログのなかで「その場で理解できない情報や興味を持った情報があれば積極的にその担当者に問い合わせるように」と、参加者に促していました。このツールは、情報を集約し、誰もが閲覧できるようにしたこと以上に、新しいモノ・コトを生み出そうとするときに、部門を越えて社員がつながり、一緒に考えることを可能にするところに大きな価値があると思っています。

マネジメントクラスの意識次第で現場は変わる

悩み③も、OKIの中に残る旧態依然の企業風土・体質によるものといえます。企業運営の源泉として現業の利益が大事であることは確かですが、現業だけに頼っていては厳しくなる一方です。そこでOKIは、現業をしっかり維持しつつ、将来の柱となり得る新規事業の創出と既存事業の革新をイノベーションによって起こすこと、しかもそれを全員参加型でやり遂げることを、経営層がリーダーシップを取って推進しています。ですが、社内には、現業で手一杯となってしまっている部門もまだまだあるのも現実です。
とくに、「新しいことに取り組む時間がない(取れない)」といった声は、20代の若手社員から多く上がってきています。新卒社員は、まずOKIを知るために既存事業の部署に配属され経験を積んでいきます。そこでは上司や先輩の指示で現業をこなしていかなければならないので、それ以外のことに時間を割くのは難しいですし、部門内で意見もなかなか言えない現状があります。
この状況を打破するには、マネジメントクラスの意識改革が一番のポイントになります。部下に対して、イノベーションに取り組む時間を与える、たとえば週に2、3時間でもよいので、新しいことに取り組む時間を与えること。もちろん、自らも意識してイノベーションの実践にチャレンジしていくこと。これが当たり前にできるようになれば、現場はもっと大きく変わっていくはずです。

「イノベーションは自分事」がまだまだ浸透道半ば

OKIの中には、「イノベーションは自分(あるいは自分の部署)には関係ない」と“勘違い”している社員もいます。たとえば、「Yume Pro」という言葉が出てくると、「それはイノベーション推進センター(IPC)がやること」「新規事業開発に携わっていないから」など、他人事と思っている人がいます。
鎌上社長は「新しい事業を起こすだけではなく既存事業の革新、さらに業務現場の改善で効果を上げることもイノベーションだ」と、全員参加型イノベーションの意味を社員に向けて発信しているのですが、イノベーションが自分事だということの認識・理解がまだまだ道半ばです。ここは反省点でもあり、もっと社員が理解しやすい形で伝えていくようにします。

単純明快に「Yume Proは、やってみるプロセス」

繰り返しになりますが、OKIはいま、イノベーション活動を通じて、社員の考え方や仕事のやり方を変えていこうとしています。しかも、鎌上社長が「矢印革命」という言葉で社内外に強い意志を表明しています。
それぞれの理由で躊躇している社員に、CINOとして言いたいことは、「まずはやってみよう」ということです。イノベーション(Yume Proプロセス)はお客様課題の発見・把握から仮説検証を繰り返し、解決策を見出すという、これまでのOKIの受注型とは異なるプロセスなので、まだまだ違和感や抵抗感があるのだと思います。しかも、たやすく短期間に結果・成果が生まれるものでもありません。それでも、OKIの取り組みに対して社外の方々から高い評価を多数いただいていることも事実です。
「Yume Pro」を単純に言うと「やってみるためのOS」だと思っています。お客様の課題を探ってみる、どうすれば解決できるか仮説を立ててみる、検証してみる。そうしたことを何度も繰り返しやってみることで、道が開け、変わることができると信じています。
OKIの中にはすでにイノベーションを実践するための仕組みがたくさんあります。今後、それらにより取り組みやすくするための手順・ガイドラインもあと1年前後ででき上がります。私はCINOとして、全員参加型イノベーションによる「矢印革命」の実現に向け、強い意志で推進していきます。OKIの将来を変えるために、「やってみよう」と動き出す社員がどんどん増えていくことを期待しています。

(2022年1月31日、OKI執行役員CINO兼CTO 藤原 雄彦)

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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