ほぼ週刊 CINOのつぶやき(チノつぶ)第57号
「イノベーション・ダイアログ」

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「ISO 56002箇条7.4コミュニケーション」
イノベーション・マネジメントシステムの国際規格ISO 56002の箇条7には、イノベーション創出活動を進めていくために必要なヒト、モノ、カネをはじめとする12の支援体制が挙げられています。この中の1つに掲げられているのが「コミュニケーション」。イノベーション・マネジメントシステムに関する認知度を高め、イノベーション活動への積極的な参画を促すために位置づけられています。
Yume Proでは、外部とのコミュニケーションとして、ホームページのイノベーション・サイト、各種セミナーでの講演、CEATEC等の展示会への参加、新聞・雑誌等の取材対応を行っています。また、内部コミュニケーションとして、イントラネット、社内向けセミナー(Yume Proフォーラム)等、様々な取り組みを行っています。中でも重要な取り組みが、イノベーション・ダイアログです。
トップマネジメントの想いを伝える
イノベーション・ダイアログは、社長と社員との直接対話です。虎ノ門のイノベーション・ルーム「Yume ST(夢スタ)」に10名程度の社員が集まり、鎌上社長を交えて2時間、膝詰めで語り合います。この企画は、2017年10月にイノベーション推進PTを立ち上げ、社内の現状分析を行った際、「会社のビジョンが浸透していない」という課題が浮かび上がったことがきっかけとなりました。
当初は、「イノベーション・キャラバン」という提案で、社長が各拠点を回るという企画でしたが、鎌上社長の発案で、虎ノ門本社で開催することになりました。そうすることで、日頃交流の無い、様々な部門やグループ会社の社員が対話する機会となり、視野を広げる機会になるという狙いです。
2018年度からスタートし、これまで30数回で、300人強の社員が参加しています。キャラバン方式では、多忙な社長の日程を確保するのは難しかったと思いますが、本社開催としたお蔭で、これだけの頻度で開催することができたというメリットもありました。
双方向のコミュニケーションがポイント
鎌上社長は、「伝えたつもりが伝わっていない」と話します。相手の解釈の仕方が異なると、自分の伝えたいことが伝わりません。方針説明会などの機会は一方通行なので、こうしたことが起こりがちです。そこで、「相手の言うことを聞く」ことが重要で、双方向のコミュニケーションの中で、聞き手の理解を踏まえながら伝えることが大切になります。だからこそ、イノベーション・ダイアログのような形での対話が重要になります。
地道な積み重ねで企業文化を変革する
イノベーション・ダイアログには、部長クラスから若手社員までが参加し、現場の状況や、それぞれの想いを率直に話し合います。イノベーションに取り組むトップマネジメントの想いを直接伝えるだけではなく、グループ内の現場の状況を把握するための貴重な機会にもなっています。

企業文化を変革するための即効薬はありません。一人一人の社員との対話を続けていくのは根気のいる活動です。しかしながら、こうした地道な取り組みによって、徐々にですが、着実に変革が進んでいると実感しています。
(2019年12月16日、チーフ・イノベーション・オフィサー(CINO)横田 俊之)