ほぼ週刊 CINOのつぶやき(チノつぶ)第50号
「JINイノベーション・マネジメントシステム フォーラムに登壇」

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ISO 56002のキーパーソンが集まる
2019年10月16日(水)、イノベーション・マネジメントシステム(IMS)の国際規格が発行されたことを記念し、この規格作りに当初より参画してきた一般社団法人Japan Innovation Network (JIN)が、日本橋ホールにてフォーラムを開催しました。300名収容の会場が、企業経営者、企業内イノベーション推進責任者でほぼ満席となり、関心の高さを感じました。
本フォーラムでは、スウェーデンおよび米国からISO策定メンバーを招致し、国際規格策定の背景や内容についてプレゼンが行われました。また、経済産業省の飯田佑二局長と今里和之課長が政府の政策について紹介しました。プログラムの目玉となるパネルディスカッションに登壇してまいりましたので、フォーラムの模様をレポートさせていただきます。
経営の最大のリスクはイノベーション力の低下だ!
RISE Research Institutes of SwedenのMagnus Karlsson氏(Project manager、Innovation management system)のプレゼンの中で、最も印象深かったのは、同氏が20年以上勤務していたエリクソンにおける最大の経営リスクは、イノベーション力の低下と捉えていたという話でした。そこで問題となるのが、イノベーション力の大きさを測る共有のフレームワークがないことだったとのこと。
エリクソンに限らず、イノベーション力は多くの企業にとっての重要課題です。Karlsson氏は、84%の経営者はイノベーションが重要だと考えている一方で、94%はパフォーマンスに不満を抱いているというデータを紹介しながら、「ISO 56002策定は、差し迫ったニーズだった」と語ります。
アイデアではなくインテンションから始まる
IMSのコアシステムは、イノベーション・プロセスで、ニーズからソリューションを、テストを繰り返しながら開発していきます。このプロセスで大切なことは、アイデアでは無く、インテンションから始まるということ。トップマネジメントをインボルブして共通理解を作ることが大切だとKarlsson氏は、強調します。人と文化がクリティカルであること。そしてIMSによってギャップを見つけること。アクションを起こすには、ギャップを見つけることが非常に重要であること等々、示唆に富んだプレゼンテーションでした。
IMSが産業競争力の鍵を握る
Rick Fernandez氏(Managing Principal,、Advent Group Inc.)は、World Economic ForumのGlobal Competitiveness Reportの分析を紹介しながら、イノベーション力が国の競争力を左右すると強調します。米国は、イノベーション・ダイナミズムでは、1位評価となっていますが、絶えず危機感を抱きながら、取り組んでいる姿勢に学ばなければならないと感じました。
ISO 56002先取り企業として
パネルディスカッションは、JINがファシリテーターを務め、Karlsson氏、Fernandez氏および横田の4名で行いました。OKIは、経済産業省が10月4日に公表した行動指針の中で、ISO 56002を先取りし、イノベーション・マネジメントシステム「Yume Pro」を展開している企業として紹介されています。パネルの中でも、これまでのOKIの取り組みについて質問をいただきました。
2017年夏にプロジェクトを発足してから、JINに支援していただきながら、全役員と新規事業担当者に対するインタビューからOKIの問題点を浮き彫りにし、社長と膝詰め論議を経てYume Proを立ち上げ、トップと現場が一枚岩になれた点が最大の変化だとお話ししました。また、ISO 56002箇条7に盛り込まれている支援体制は、人・モノ・金・知財等、非常に範囲が広いため、幅広い社内の理解を得ることが必要です。このため、経営トップが率先して参加し、毎年千人規模のイノベーション研修をグループ全体で行っていることなどをご紹介しました。
IMSが多くの企業に広まれば、共創活動も円滑になります。今回のフォーラム参加を含めて、IMS普及活動にOKIとしても積極的に協力していきたいと考えています。
(2019年10月28日、チーフ・イノベーション・オフィサー(CINO)横田 俊之)