ほぼ週刊 CINOのつぶやき(チノつぶ) 第33号
大学ベンチャーエコシステム

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東京大学アントレプレナーラボ
5月30日、内閣府知財戦略本部の「価値デザイン社会実現に資する実質的なオープンイノベーションの実施に関するタスクフォース」(以下、「OITF」)の座長をされておられた東京大学政策ビジョン研究センター渡部俊也教授(副学長)にお招きいただきまして、OITFメンバーと共に東京大学アントレプレナーラボを見学してきました。
このラボは、本年2月下旬にオープンしたばかりの施設ですが、建築規制のため新しい建物を建てることができず、1925年竣工の医学部付属病院の研究棟をリノベーションして整備されています。外観は、赤レンガで美しく、内部は約100年たった建物とは思えないアートの香りも漂うモダンな造りとなっています。
大学ベンチャーエコシステム創生を目指す
渡部先生のご説明によりますと、これまで大企業との共同研究をやってきたがゼロサムになってしまうので、一緒にベンチャーを育成しようという方向に舵を切ったとのこと。シリコンバレーやイスラエルのように、ベンチャーを輩出する地域には、大学等の研究機関、大企業、ベンチャーキャピタル、知財専門家等が集積するエコシステムがあります。東京大学がリーダーシップを発揮して、日本のエコシステムを拡大・充実させようという構想です。
日本最大の大学発インキュベーション施設
2007年にオープンした東京大学アントレプレナープラザからは、株式公開を果たしたユーグレナなどのベンチャー企業を輩出しています。ウエットラボ実験室などの施設の他、ベンチャー企業向けの30室が備えられていますが、満室状況ということで、本郷地区に新たなインキュベーション施設が整備されたという訳です。東京大学では、本郷地区に7200m²、柏地区に2000m²、目白台地区に1700m²、駒場キャンパスに190m²と4地区合計で1ha以上のインキュベーション施設を整備し、活動を世界に広げようとしています。こうした活動が広がることは、我々にとっても大変ありがたいことです。
OITF報告書の社会実装に向けて
施設見学会の後は、伊藤国際学術研究センターにて交流会が開催されました。6月下旬に公表予定のOIFT報告書をどのように社会実装していくかという話題で盛り上がりました。様々な企画が浮上し、その実現に向け、参加メンバーはさらに活動を活発に行っていくことになりました。このネットワークを大切にしながら、OKIのイノベーション創出活動にも活用していきたいと考えています。
(2019年6月17日、チーフ・イノベーション・オフィサー(CINO)横田 俊之)