ほぼ週刊 CINOのつぶやき(チノつぶ) 第28号
経済産業省「IT経営注目企業2019」に選定

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2019年4月23日(火)、OKIは、経済産業省が選定した「IT経営注目企業2019」に選定されました。今回の受賞に際しては、イノベーション創出活動Yume Proにおいて、全社規模の人材と組織改革に取り組んでいること、5Gも活用した自動運転技術の開発、防衛分野で培った水中音響センシング技術を用いた海洋IoTサービスなどがSDGsの課題解決に貢献し、将来性が高いという点が評価されたと聞いています。
昨年1月にトムソン・ロイターの「グローバル・テクノロジー・リーダー」100社に選定され、今年も連続受賞を期待していました。ところが、この企画は、昨年1回限りと言うことで、ガッカリしていました。こうした中での受賞でしたので、社内も盛り上がっています。また、これまで取り組んできた方向性についても、社会的な認知をいただけたことは大きな自信となりました。
ITを活用すれば企業は成長するのか?
ところで、ITを活用していれば、どんな企業でも成長するのでしょうか。この課題について、約20年前に分析を行ったことがあります。
1990年代の米国は10年以上景気拡大が続き、これはIT革命による「ニューエコノミー」時代の到来ではないかということで盛り上がっていました。本当にIT革命によって、経済成長がもたらされたのかという議論が、経済論壇でも活発に行われていました。当時、私は、経済産業省で通商白書作成の担当管理職だったという立場を活用して、日米欧アジア企業のIT活用戦略を比較しながら、この命題についての分析を行いました。
どのように活用するかがポイント
結論は、今では当たり前の話ですが、ITを活用すれば、どんな企業でも成長するという単純な話ではなく、企業経営のどこにどのようにITを導入し、それに伴い、企業のビジネスモデルをどのように革新していくかが鍵を握るということでした。
白書執筆の際に興味を持ったのが、あるシンクタンクの分析でした。世界850以上の企業の分析を行い、企業タイプをSCMとCRMの導入状況の高低で4つに分類して、収益性を比較します。当然のことながら、SCMとCRM双方をしっかりと導入しているセグメントの企業が最も収益が高いという結果なのですが、欧米に比べ、日本企業は、そのゾーンに入っている企業の割合が低いというのが特徴です。日本企業低迷の原因は、この辺に潜んでいるのではないかと思います。
SDGs達成貢献と事業成長の好循環を
経済産業省の「IT経営注目企業」において、ITをどのように活用しようとしているのかという経営戦略そのものを評価されていることは、以上の観点からは、しごく当たり前のことだと思います。Yume Pro、自動運転、海洋IoTといった取り組みは、SDGs達成に貢献することを通じて、事業を成長させます。事業を成長させることで、さらに大きな社会課題解決に貢献するという好循環を創り出すことができると確信しています。
(2019年5月13日、チーフ・イノベーション・オフィサー(CINO)横田 俊之)