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株式会社同仁化学研究所様

導入事例の記載内容は取材当時(2020年11月)のものです。

高画質・1パスフルカラーでラベル印刷ができるPLAVI Pro1040が少量多種生産の試薬用ラベル印刷業務の生産性を大幅に向上させる


熊本空港に程近い熊本県益城町に本社を置く株式会社同仁化学研究所。少量多品種が特徴である試薬用ラベルの多色化が進む中、OKIデータのカラーLEDラベルプリンター「PLAVI Pro1040」を導入。ラベル印刷の高品質化と共に業務効率化を実現。生産性を大幅に向上させることに成功した。

評価のポイント

  • 1パスカラー印刷による、多色刷り工数の削減
  • 高精細出力によるラベルの可読性向上
  • 試し刷りが不要となり資材コストを削減
  • 高い耐水性、耐擦過性、耐候性を持つ印刷
  • プリンターの出力調整が不要となり、印刷調整工数を削減

世界中の研究機関・工場などで使われる試薬を製造

戦後間もない1946年に熊本で創業し、以来、70年以上にわたり試薬の専業メーカーとして事業を拡大してきた同仁化学研究所。試薬とは大学や企業の研究所・工場などで使われるさまざまな試験などで使われる化学薬品である。同社の製造する試薬は、生体や環境、食品の研究などに使われ、世界中に顧客を持つ。
基本となる試薬だけで現在約600種類。実際には顧客からのオーダーメイドで作られる薬品も多く、その数は延べで10,000種類となっている。さらに最小ロットは1から、多くても数千単位、少量多品種生産という点が最大の特徴である。
同社技術部 製品課 課長の江頭貴宏氏は「オーダーによって、試薬の量もさまざまであり、少量だと小さな容器に入れることになります。また、最近では複数の試薬をキットとして販売することも増えてきており、そのような場合は10種程度のさまざまな量の試薬が一つの箱に入って出荷されるようになっています」と語る。

化学品規制の法改正に伴い進むラベルの多色化・表記増

試薬により量がさまざまであるということは、容器に貼られるラベルもさまざまである。実際に現場でラベルの作成業務に携わる同社技術部製品課の松永千寿氏は「容器に合わせて13種類ほどのサイズがあります。だいたい1日で30~50種類、3,000~4,000枚ぐらいのラベルを作成しています」と語る。
そこで近年課題になってきたのが、欧米を中心とした化学品規制の強化にともなうラベルの多色化・表記量の増加だ。「GHSやCLP規制(※)により、取り扱いの注意項目や安全に対するシンボル表記などが求められるようになりつつあります。特に問題になるのが少量(0.5g程度)の容器の場合です。スペースが限られているため、表記文字のサイズが小さくなってしまいます。また、シンボルに関しては赤などの警告色で印刷することを求められているので、ラベル印刷の条件は厳しくなる一方です」(江頭氏)。

※CLP(Classification, Labelling and Packaging)規制:物質と混合物の分類、表示、包装に関するEUの規制。高いレベルでの健康や環境保護を目的とする。2009年に施行され、2015年までに段階的に実施された。

デモで1パス4色刷り、にじみがない印刷に現場の担当者は感動し、導入を懇願

同社では従来、インクリボンを使ったサーマルプリンターを使っていました。「サーマルプリンターは1度に1色しかフィルムをセットできないため、これまでは黒で印刷する部分を刷ってから、赤インクリボンをセットした別のプリンターで赤を印刷していました。このため、位置調整が難しく、ずれてしまうことも多く、10枚のラベルを刷るのに30~40枚ほど刷ることもよくありました。耐擦過性などを考えてユポ紙を使っていますので、ロスコストも少なくありませんでした。
また、解像度があまり高くなかったこともあり、小さい文字を印刷すると潰れてしまうこともよくありました。文字潰れにはプリンターのヘッドにかける電圧を調整することで対処していましたが、これも当日の気温や湿度などの天候に左右されることもあって、勘と経験が必要で、時間もかかっていました。」(松永氏)

「気難しい」サーマルプリンターで苦戦しながら2色刷りを行う

ラベルの多色化・表記量が増える中で、江頭氏は代替えとなる多色刷りのプリンターを探していた。インクジェット式も検討したが、印刷のにじみの点で問題があり、2色刷りできるサーマル式はサイズの問題がありました。
「いろいろ探している中で、販売店から提案したいプリンターがあるという話がありました。それが『PLAVI Pro1040』(以下Pro1040)でした。実機を持ち込んでのデモをやってもらえるということで、現場の担当者を集めてデモを実施してもらいました」(江頭氏)。
「デモを見て、私たちの第一声は『わぁ、すごくキレイ。感動。』でした。サーマルプリンターとはくらべ物にならない鮮明な印刷、そして赤黒が同時に印刷されているので、2度刷りがいらないという私たちが苦労していることがすべて解決できるということがよくわかり、その場でこのプリンターを導入してください!と江頭課長に懇願しました」(松永氏)。
それを受け、江頭氏は上司に相談したところ「二つ返事で『導入を進めよう』と言われました。通常、設備の導入では他社様の使用実績を含め、導入することによる効果を明確にし、次年度の予算に申請するものなのですが、製品課を経験したことのある上司も、ラベル印刷業務の課題をよく認識していたため、スムーズに承認が得られました」。
導入にあたり、Pro1040で印刷した耐擦過性と耐結露性が調べられました。「ラベルの文字欠けやかすれ、にじみなどはクレームの対象となります。そこで、Pro1040で印刷したラベルを擦過性試験と、冷蔵・冷凍サイクルにかけて試験を行いました。冷蔵・冷凍サイクル試験は、試薬の特性上、冷蔵庫や冷凍庫に出し入れが頻繁に行われ、ラベルの結露が多いためです。結果は全てクリアし品質上は問題ないと判断しました。

業務効率は最大4倍にコスト削減にも大きな期待

Pro1040は2020年4月に1台導入され、さっそく大きな力を発揮します。松永氏は「まず天気を気にしなくて済むようになりました。サーマルプリンターは温湿度に大きな影響を受けたので毎日の調整が必要でしたが、全くそれがなくなりました。また、赤黒印刷もずれを気にすることなく、予備ラベルの印刷も不要となって1回で印刷できるようになったので、時間もラベルの用紙代も大幅に圧縮できたと思います」と語る。
江頭氏も「まだ、導入から半年ほどなので厳密な導入効果は現在検証中ですが、赤黒ラベルの印刷工数に関してはサーマルプリンターの1/4になりました。このため、印刷にかかっていた人員を4名から3名、実質的には2.5名まで減らし、他の業務に振り分けることができました。さらに、高価なインクリボンを使わなくなったこと、予備ラベルの削減などから、ランニングコストもかなり削減できると期待しています」。

GHSラベルの増加傾向に対応するため増備も検討中

現在、同社ではPro1040と共に既存のサーマルプリンターも3台稼動しています。「サーマルプリンターもまだ使える状態にあるので引き続き併用していますが、GHSに対応したラベルも増加傾向にあり、今後は多色刷りの必要性も考えられるため、更新時期が来たらPro1040に切り替えていく予定です。導入台数については効率が上がったため、従来の3台から2台、つまりもう一台Pro1040を導入すれば済むのではないかと考えています。この台数削減もPro1040の導入効果だと考えています」(江頭氏)。
高精細かつ多色印刷で試薬ラベル印刷の生産性を押し上げたPro1040は、今後ますますその力を発揮し、同仁化学研究所の事業を支えていくことが期待されている。

Corporate Profile 株式会社同仁化学研究所様

1946年創業。研究機関や工場などでの研究・開発・製造に不可欠な「試薬」の製造販売を行っている。
日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジアに7つの拠点を持ち、その取引先はグローバルに広がっている。

https://www.dojindo.co.jp/ External link

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