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学校法人 日本電子専門学校様

導入事例の記載内容は取材当時(2016年)のものです。


日本電子専門学校 グラフィックデザイン科 教員 井上順子(いのうえ よりこ)氏
学校法人 日本電子専門学校様
1951年創立の工業系の総合専門学校。東京都新宿区にキャンパスを有し、ITからゲーム、CG、アニメ、デザイン、電気・電子まで幅広い分野に昼夜間計24学科を設置。約2500人の学生が学んでいる。プロ仕様の充実した施設・設備と現場経験豊富な講師陣を揃え、常に時代の先端を担うクリエーターやエンジニアを育成。11万人を超える卒業生は、各分野で高い評価を受けている。 
東京都新宿区にある日本電子専門学校のグラフィックデザイン科では、2016年4月、パッケージデザインの授業で白版印刷を可能にし、学生たちの表現の幅を広げたいという考えから、カラーLEDプリンター「MICROLINE VINCI C941dn(以下VINCI C941dn)」を導入。これにあたり、学生たちが白版印刷のメリットやプリンターの操作法を学び、スムーズに活用していけるようにするために、OKIデータの担当者を学校に招き、実際に「VINCI C941dn」を用いて白版印刷のデザインデーター作成・出力を体験するコラボレーション授業を実施した。
白版印刷ができることが学生たちに新しい発想をもたらし、表現の幅を広げられる。印刷業者に出すのに比べ、コストを抑え手軽に白版印刷を試せる。多彩な用紙に対応するため、素材にこだわり、目に見えない部分まで表現することが可能に。

白印刷のみならず、多様な用紙に対応し素材にこだわれるのもメリット

日本電子専門学校のグラフィックデザイン科に「VINCI C941dn」を導入する上で、主導的な役割を果たしたのが同科の井上順子(いのうえ よりこ)先生だ。以前から学校に対して、「VINCI C941dn」の導入を要望していたという。理由として、近年、グラフィックデザイン科の学生から「白版印刷をやりたい」という声が高まっていたことを挙げる。
「ここ5年ほどでしょうか、体験入学の時点から『パッケージデザインをやりたい』という学生が増えており、課題作成などを行う中で、『白で印刷をできないのか?』と毎年のように訊かれるようになっていたんです。特に卒業制作を行う際には、白の上に色をノセたりするリッチな印刷をしたい、という要望が強く出ていました」。
同科では以前、白版印刷が可能なOKIデータのMICROLINEプリンターを導入していた時期もあったが、ここ10数年は白版印刷に対応するプリンターはない状態が続いていた。
「3年ほど前、VINCI C941dnが出るという案内を聞いた時から『絶対に欲しい!』と思ったのですが、当時は非常に高額で手が出ませんでした(笑)。最近になって学校向けのアカデミック価格がリリースされたことから、ようやく導入ができました」と笑顔を見せる。
同校に初めて導入された「VINCI C941dn」。5色印刷に対応している。

従来、学生が白版印刷を必要とした場合、Illustratorで作成した版下を業者に持ち込んでインスタントレタリングを作ってもらい、それを貼り付けるという手法を取っていた。「しかし、それだとコストがかかり、学生にとっては負担が大きい。その点、学科に白版印刷ができるプリンターがあれば気軽に使うことができ、表現の幅が広がります」と井上先生。一方で、“多種多様な用紙に対応する”という「VINCI C941dn」のもう1つのメリットについても評価が高い。


「これにより学生は素材にいっそうこだわれるようになります。最近はWebやアプリデザインのように画面で完結する仕事も多くなり、紙出力して仕上がりを確認する機会が減りました。しかしVINCIがあれば様々な用紙や素材を選んで、手触り感などの目で見えない部分まで表現を確認できるようになります。フィルムに直接印刷して、ペットボトルのデザインなどに活用するといった今までできなかったことも可能になりますし、これは非常に大きなメリットですね」。

授業で生徒が作成したペットボトルのラベルデザイン。

白版印刷が使えるからこそ出てくる新しいアイデアや発想に期待したい

今後は「VINCI C941dn」を、パッケージデザインの授業の中で積極的に活用していく予定。それによって学生にどのような経験をしてもらいたいのか?井上先生は次のように語る。
「単に“カラーの上に白インクをノセる”というだけではなく、“白版印刷が使えるからこそこんなことができる”というアイデアや発想が学生から出てくると面白い。素材にもこだわって、今までなかったようなアウトプットを生み出すことに挑んでほしいです。


学生には“いいものを作りたい”の先に“自分の作ったものを人に見てほしい”という想いがあります。就職活動をする学生にとっては、企業に提出するポートフォリオ(自己作品集)もその1つになるでしょう。白版印刷やこだわった素材を使って目を引くような作品を作れば評価を得られるでしょうし、『どうやって作ったの?』と訊かれた際にプリンターの使い方も含めてきちんと説明できれば、しっかり勉強しているな、となる。そういう面でも導入効果があるといいですね」。

「白版印刷で皆さんの世界が変わるはず」との説明に大きく頷く学生たち

続いて、実際の授業の様子をレポートしよう。日本電子専門学校のグラフィックデザイン科は、新聞や雑誌の広告、ポスター、製品パッケージ、CDジャケット、ゲーム、スマホアプリ、電子書籍など、幅広いフィールドのデザインを学ぶ2年制の学科だ。有名企業との連携授業では各企業のテーマに応じて企画プレゼンテーションを行うなど、実践同様のプロセスを体験。入学時にデザインの経験がなくとも、2年後にはプロのグラフィックデザイナーとして活躍できるスキルが身につけられるようになっているのが特長だ。教室には最新のMacがズラリと並ぶほか、PhotoshopやIllustratorといったグラフィックデザインに必須のソフトも完備。恵まれた環境の中、1年生と2年生合わせて約50人の学生が学んでいる。


今回の「MICROLINE VINCI C941dn」の活用にまつわるOKIデータとのコラボレーション授業を受けるのは約20人の2年生。「VINCI C941dn」が導入されたばかりということで白版印刷を使ったことがない学生がほとんどで、興味津々の様子だ。

学生に「VINCI C941dn」の特長を紹介するOKIデータの担当者。

授業ではまず、「VINCI C941dn」の特長を紹介した。「VINCI C941dn」では、通常のCMYKに加えて、特色ホワイト/特色クリアーでの印刷に対応する上、厚紙や透明フィルムなどの特殊紙や長尺用紙など多彩な用紙にも対応する。「これにより、従来、手軽に内製できなかった透明フィルムや特殊印刷のサンプル作成が可能になり、印刷会社に外注するのに比べて、サンプルを早く、低コストで作れるようになる。課題制作などでの表現の幅も広がり、皆さんの世界が変わるはず」との説明に、学生たちは皆、大きく頷いていた。


さらに企業や教育市場での導入事例も紹介。特に企業におけるプレゼンテーションでは、“頭の中で想像してください”ではなく、最終的な仕上がりを具体的に見せられるリアルな試作サンプルが必要になり、それに「VINCI C941dn」は大きく貢献できる。実際に企業の中でなぜ「VINCI C941dn」が必要とされ、どのように活用されているかがよくわかり、学生たちもイメージがつかめたようだった。

「こんなふうに印刷されるのか」と驚きの声が

続いて、学生たちに、「VINCI C941dn」で作成したサンプルの実物を見てもらうことに。教室の後ろの机にグラスマーカーやバルーン、商品案内といったPOP・販促物をはじめ、ペットボトルのラベル、お菓子などのパッケージ、レストランのメニュー、名刺、チケット、ポロシャツ・Tシャツ、うちわ、クリアファイルなど、様々なサンプルが並べられ、手に取ってじっくり見られるようになっており、学生たちは大興奮。「こんなものまで作れるんだ」「すごい」「かわいい」といった歓声があちこちで挙がっていたほか、OKIデータの担当者に「このプリントはどのように行っているのですか?」と積極的に質問する姿も見られた。

そしていよいよ、学生1人ひとりに白インクを用いたデザインデーターを作成してもらい、「VINCI C941dn」で出力するワークショップに。1つめの課題は、Illustratorを用いて、自分の名前などをモチーフに、白の上に他の色を乗せる「白引き印刷」用のデザインデーターと、普通に色をつけただけのデザインデーターを並べて作成。その上で、「VINCI C941dn」の手差しトレイから給紙される透明フィルムに印刷し、2つの違いを見るというもの。もう1つの課題は、あらかじめ用意された、白版を用いた複雑なデザインデーターを同じく透明フィルムに印刷し、どのように印刷されるか確認するというものだ。

 

学生の表情は皆、真剣そのもの。白引き印刷用のデザインデーターを作成するのは全員初めてということで、最初のうちはとまどっていた人も多かったが、講師のOKIデータ担当者の説明に沿って、黙々と手を動かしていく。そして作成したデザインデーターが「VINCI C941dn」から出力されてくるのを目の当たりにした学生からは「すごい」「こんなふうに印刷されるのか」と驚きの声が。クリエイティビティを存分に刺激されたようだった。

田所恵弥さん グラフィックデザイン科2年生
「白版印刷はやったことがないのでとても興味深かったです。特に、フィルムに白を印刷できるのがいいなと思いました。白い紙に白を印刷しても仕上がりがわかりにくいので。フィルムにプリントして、ペットボトルのラベルを作るのが面白そう。自分だけのオリジナルのタンブラーを作るなんていうのもいいですね。表現の幅が広がると感じました。今後、課題制作などにどんどん活用していきたいです」。
殿畑多朗さん グラフィックデザイン科2年生
「VINCI C941dnは今までにないプリンターと感じました。白の印刷ができるのには感動しましたね。手差しトレイを使って透明フィルムに印刷できる点もすごいと思いました。見せてもらったサンプルも非常にクオリティが高く、本当に店舗などに置いてあるもののよう。こんなものまで作れるのか!と驚くと同時に、このプリンターがあれば自分でも作れそう、と身近に感じられるようになりました。
設定なども一度覚えてしまえば難しくないと思います。パッケージデザインに興味があるので、色がついている用紙や透明なフィルムに白を印刷するなど、いろいろなことを試してみたい。オリジナルのクリアファイルや、カードを入れるスリーブなどを作ってみたいですね」。
青木美穂さん グラフィックデザイン科2年生
「私は特殊な素材の紙に色をノセて印刷するのが好きなんです。ただ、その場合、紙にもともと色がついていることが多く、通常のプリンタを使ってCMYKで印刷しても色がはっきり出ないのが悩みでした。その点、VINCI C941dnを使えば、いったん白を印刷してその上に色をノセる白引き印刷が可能で、色を美しく出せる。これは本当にいいな、と感じました。見せてもらったサンプルもキレイな仕上がりのものばかりで、どのように印刷しているのかなどいろいろ質問をさせてもらいました。
私は同人誌を作るのが趣味で、印刷所に印刷をお願いすることがあるんですが、印刷所だと表面をツルツルに加工した紙に印刷できたりして、楽しいなあと思っていました。VINCI C941dnが学校にあるとそういう表現がもっと身近になって、創作意欲が湧いてきます。設定の仕方なども授業でわかりやすく教えてもらえたので、次回からは自分1人でも使えるはず。いろいろな表現を試してみたいですね」。
小川早紀さん グラフィックデザイン科2年生
「白インクでの印刷を初めて体験したのでとても新鮮でした。以前から透明フィルムに白印刷をするのに興味を持っていたのですが、それをやるとなると印刷所にお願いしなくてはならずお金がかかるので、なかなか試せませんでした。その点、VINCI C941dnが学校にあると気軽に使うことができる。すごくありがたいな、と思います。
私は雑貨が好きで、自分でオリジナルのバッグやTシャツを作ったりしているんです。そういうものも、これまではインクジェットプリンターでプリントして作っていましたが、「VINCI C941dn」を使ったほうが断然キレイにできそうですよね。色のついたTシャツに白をノセて印刷するといったことも可能で、これまで作りたくても作れなかったものにトライできます。存分に活用して、“自分だけのもの”を次々と生み出していきたいです」。
河千田幸太さん グラフィックデザイン科2年生
「白版印刷は初めて使いました。最初はデザインデーターの作成に戸惑ったのですが、やってみると意外に簡単でした。これからも作品作りに活かしていけそうです。
僕は写真が趣味なんですが、白印刷が可能になると、自分が撮った写真をプリントする際にも面白い表現ができるんじゃないかと。たとえばモノクロの写真や、雲の写真などですね。どんなことができるか、これからVINCI C941dnを使い込みながら、じっくり考えていきます」。

「VINCI C941dn」が広げる授業の可能性に期待

最後に、導入を推進した井上先生にOKIデータへの期待を聞いた。
「アイデアから入る授業は我々教員でもできますが、“プリンターや印刷から入る授業”は我々にはできない。ぜひとも学生に、メーカーの持っているノウハウや、プリンターで実はこんなことができるという裏ワザ、印刷にまつわる世の中の潮流といったことを伝えていただきたい。それによって、学生も『ならばこういうふうには使えないか?』となり、表現や発想の幅がますます広がっていきます」。
これから「VINCI C941dn」を使って、日本電子専門学校グラフィックデザイン科の学生たちからどんな作品が生み出されていくのか楽しみだ。
授業におけるOKIデータとのコラボレーションへの期待も大きいと語る井上先生。
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