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導入事例の記載内容は取材当時(2016年)のものです。
従来、学生が白版印刷を必要とした場合、Illustratorで作成した版下を業者に持ち込んでインスタントレタリングを作ってもらい、それを貼り付けるという手法を取っていた。「しかし、それだとコストがかかり、学生にとっては負担が大きい。その点、学科に白版印刷ができるプリンターがあれば気軽に使うことができ、表現の幅が広がります」と井上先生。一方で、“多種多様な用紙に対応する”という「VINCI C941dn」のもう1つのメリットについても評価が高い。
「これにより学生は素材にいっそうこだわれるようになります。最近はWebやアプリデザインのように画面で完結する仕事も多くなり、紙出力して仕上がりを確認する機会が減りました。しかしVINCIがあれば様々な用紙や素材を選んで、手触り感などの目で見えない部分まで表現を確認できるようになります。フィルムに直接印刷して、ペットボトルのデザインなどに活用するといった今までできなかったことも可能になりますし、これは非常に大きなメリットですね」。
今後は「VINCI C941dn」を、パッケージデザインの授業の中で積極的に活用していく予定。それによって学生にどのような経験をしてもらいたいのか?井上先生は次のように語る。
「単に“カラーの上に白インクをノセる”というだけではなく、“白版印刷が使えるからこそこんなことができる”というアイデアや発想が学生から出てくると面白い。素材にもこだわって、今までなかったようなアウトプットを生み出すことに挑んでほしいです。
学生には“いいものを作りたい”の先に“自分の作ったものを人に見てほしい”という想いがあります。就職活動をする学生にとっては、企業に提出するポートフォリオ(自己作品集)もその1つになるでしょう。白版印刷やこだわった素材を使って目を引くような作品を作れば評価を得られるでしょうし、『どうやって作ったの?』と訊かれた際にプリンターの使い方も含めてきちんと説明できれば、しっかり勉強しているな、となる。そういう面でも導入効果があるといいですね」。
続いて、実際の授業の様子をレポートしよう。日本電子専門学校のグラフィックデザイン科は、新聞や雑誌の広告、ポスター、製品パッケージ、CDジャケット、ゲーム、スマホアプリ、電子書籍など、幅広いフィールドのデザインを学ぶ2年制の学科だ。有名企業との連携授業では各企業のテーマに応じて企画プレゼンテーションを行うなど、実践同様のプロセスを体験。入学時にデザインの経験がなくとも、2年後にはプロのグラフィックデザイナーとして活躍できるスキルが身につけられるようになっているのが特長だ。教室には最新のMacがズラリと並ぶほか、PhotoshopやIllustratorといったグラフィックデザインに必須のソフトも完備。恵まれた環境の中、1年生と2年生合わせて約50人の学生が学んでいる。
今回の「MICROLINE VINCI C941dn」の活用にまつわるOKIデータとのコラボレーション授業を受けるのは約20人の2年生。「VINCI C941dn」が導入されたばかりということで白版印刷を使ったことがない学生がほとんどで、興味津々の様子だ。
授業ではまず、「VINCI C941dn」の特長を紹介した。「VINCI C941dn」では、通常のCMYKに加えて、特色ホワイト/特色クリアーでの印刷に対応する上、厚紙や透明フィルムなどの特殊紙や長尺用紙など多彩な用紙にも対応する。「これにより、従来、手軽に内製できなかった透明フィルムや特殊印刷のサンプル作成が可能になり、印刷会社に外注するのに比べて、サンプルを早く、低コストで作れるようになる。課題制作などでの表現の幅も広がり、皆さんの世界が変わるはず」との説明に、学生たちは皆、大きく頷いていた。
さらに企業や教育市場での導入事例も紹介。特に企業におけるプレゼンテーションでは、“頭の中で想像してください”ではなく、最終的な仕上がりを具体的に見せられるリアルな試作サンプルが必要になり、それに「VINCI C941dn」は大きく貢献できる。実際に企業の中でなぜ「VINCI C941dn」が必要とされ、どのように活用されているかがよくわかり、学生たちもイメージがつかめたようだった。
「VINCI C941dn」で出力されたサンプルを手にする学生達。
「こんな印刷ができるんだ」という驚きの声が多く挙がった。
そしていよいよ、学生1人ひとりに白インクを用いたデザインデーターを作成してもらい、「VINCI C941dn」で出力するワークショップに。1つめの課題は、Illustratorを用いて、自分の名前などをモチーフに、白の上に他の色を乗せる「白引き印刷」用のデザインデーターと、普通に色をつけただけのデザインデーターを並べて作成。その上で、「VINCI C941dn」の手差しトレイから給紙される透明フィルムに印刷し、2つの違いを見るというもの。もう1つの課題は、あらかじめ用意された、白版を用いた複雑なデザインデーターを同じく透明フィルムに印刷し、どのように印刷されるか確認するというものだ。
学生の表情は皆、真剣そのもの。白引き印刷用のデザインデーターを作成するのは全員初めてということで、最初のうちはとまどっていた人も多かったが、講師のOKIデータ担当者の説明に沿って、黙々と手を動かしていく。そして作成したデザインデーターが「VINCI C941dn」から出力されてくるのを目の当たりにした学生からは「すごい」「こんなふうに印刷されるのか」と驚きの声が。クリエイティビティを存分に刺激されたようだった。
「白」の特長を活かしたデータづくりがポイントになる。
授業の後半では実際に「VINCI C941dn」を用いたプリントに挑戦。