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株式会社森の印刷屋様/株式会社アイエヌジー様

導入事例の記載内容は取材当時(2015年3月)のものです。


小ロットの包装フィルムや、木材、金属銘版など、これまで印刷ができなかったり、印刷できても非常に高価な機材を必要としていた素材に印刷できる転写シート「スマートペーパー」を開発、販売している森の印刷屋とアイエヌジー。
大阪の小さな印刷会社が開発したこの転写シートと、白版印刷が可能なMICROLINE VINCI C941が出会い、新たなビジネスの可能性を大きく広げることになった。
評価のポイント 白版印刷により、転写印刷でもフルカラーの印刷を実現。高画質印刷で、商品パッケージとしても十分な転写シートが印刷可能。さまざまな素材に転写できることにより新しいマーケットを創造する可能性を秘めている。

新しいノリの技術で転写シートをよみがえらせる

新しい糊の技術であらゆるものへの印刷を実現。印刷対象を選ばないからこそ、VINCI C941dnの白版印刷が欠かせない。
大阪で主に士業(司法書士等)に特化した印刷会社「森の印刷屋」を営む西山氏。以前、事務機器メーカーで営業をやっていたが、その手腕を買われ、「森の印刷屋」のブランドを持つ印刷会社を任された。持ち前のアイディアと営業力を活かして、オンデマンド印刷機を使った「出力ショップ」を多店舗展開することに成功し、東京をはじめとする東日本、そして九州にも店舗展開したが、市場環境の急激な変化で事業を縮小せざるを得なくなり、士業専門の小ロット印刷業に事業を転換。経営が軌道に乗ってきたところで、次の一手として新しいビジネスを模索していた。
そこで、メーカーにいた頃に付き合いのあった技術者の知人に会ったところ、そこに転写シートがあった。「30年ほど前レーザープリンターに対応した転写シートを開発した方です。実は転写シートの肝は糊なんです。糊を使って転写先のものにプリンターで出力したトナーをくっつけるのですが、昔のレーザープリンターはオイルを使った印刷方式で、高温をかけるため、従来の糊を使った転写シートでは対応できなかったのですが、その方が新しい糊を開発して対応させたのです」と西山氏は語る。
「ちょうどその頃、お世話になっていた経営コンサルタントの先生から、『これからは農業・水産業が大きく変わって、生産者が直接農・水産物を出荷することが増えてくる。その時に大切なのがパッケージなのだけど、包装フィルムの印刷は高いので、なかなか生産者個人では使うことができない。こういう小ロット向けの軟包材(包装フィルム)の印刷をやるといいよ』というアドバイスを受けていたので、これだと思い、新しい糊の技術を使っていろいろなものに転写できる新たなシートの開発をその方にお願いしたのです」(西山氏)。

転写印刷には白版印刷が必須。出力できたのはVINCIだけだった

しばらくして新しいシートが完成し、他社のページプリンターでテストしたところ良好な結果が得られたのだが、他社プリンターではどうしても解決できないことがあった。「転写する先は紙以外の色々な素材なので、白ではないことがほとんどです。そこで、白色印刷がどうしても必須でした」
「そこで、インターネットで白版印刷ができるプリンターを探し始めました。その時、念頭にあったのはOKIデータでした。過去に熱転写タイプで白版印刷ができるプリンターを発売していたことを覚えていたのです。ところがそのプリンターは販売が終了していて、代わりにページプリンターが発売されていることを知ったのです」。それがMICROLINEVINCI C941dn(以下、VINCI C941dn)だった。そこで西山氏はさっそくショールームに行ってVINCI C941dnを使って転写シートに印刷したところ、満足できる出力が得られたため導入を決定した。
「前職時代から知っていましたが、OKIデータはデザイン業向けに強い。だから白版印刷のニーズもよく理解されているようで、その点を高く評価しています」
西山氏自身では「森の印刷屋」で軟包材を中心とした転写シート出力サービスを始めたが、より幅広く転写シートビジネスを行うために、転写シートを販売してくれるパートナー探しを始めた。何人かあたっていくうちに、以前から仕事で関わり合いのあった、行政書士の森井氏が賛同。森井氏は「西山さんとは以前からビジネスセミナーで講師をしていただくなどお付き合いがありました。ちょうどシートができた頃、『これを販売してくれる会社を探しています』と相談され、お話を聞いているうちに、いつの間にか私が会社を作ることになっていました(笑)」。森井氏が代表となって、株式会社アイエヌジーを設立、転写シート「スマートペーパー」の開発・販売を始めた。
西山氏と森井氏は、その後も様々な業種で「スマートペーパー」を協業で活用する企業を募集している。すでに、金属銘版加工業 株式会社富士フォト工房をはじめとして、数社が参加を表明しており、実際にスマートペーパーを活用した商材の販売を開始したところである。この協業には一つルールがあって、自分のところで得たノウハウは他のメンバーに共有するというもの。各社が独占ではなく、まさに協業して事業を盛り立てていくという西山氏、森井氏の意志の表れである。

可能性が広がる転写シートビジネス

「スマートペーパー」は日々進化を続け、糊の種類を変えることで様々な素材に転写できるようになっている。たとえば、普通の木材は紙の材料だけに、繊維にトナーが入り込むので、比較的転写し易いが、ヒノキは木目が細かい上に、油もあり、普通の転写シート糊では転写しにくい。そこで、糊を改良しヒノキにも転写できるようにした。このように糊を変えていことで、幅広い材質に出力されたトナーを印刷できる「スマートペーパー」は、様々な材質のノベルティーや、ビルや機械などに付けられる金属の銘版(名前などを印刷した板)、店舗のPOP、自動車のラッピングなど、様々な使い方が想定され、大きく広がっていくと西山氏は考えている。「応用範囲が広がることで、今後は特色などのニーズも出てくるでしょう。今後業務を広げていく中で、その辺りのサポートもしっかりやっていただけると安心です」。転写という技術を使って紙以外の様々な材質に印刷物を広げる「スマートペーパー」。指定プリンターとなっているVINCI C941dnとともに、ますますの発展が期待できると西山氏と森井氏は考えている。

金属銘板製作を大幅に変えるかもしれません

「当社は金属を使った各種銘板のデザイン、製版、印刷、製造までを一手に行う会社です。一般的に金属銘板では、写真の原理で乳剤を塗布したアルミに露光、現像して文字やモノクロ写真などを焼き付ける『メタルフォト銘板』や金属の表面を腐食させて浮かび上がらせる『エッチング加工』などがあります。 VINCI C941dnで出力できる「スマートペーパー」は今までメタルフォト銘板では不可能だったカラー印刷ができ、製作期間も大幅に短縮できます。金属地にも白版印刷で白地を敷くことで、金属にカラー写真を印刷するようなことも可能です。
また、これまでフィルムが必要だったエッチング銘板のマスク(腐食させない領域を保護する)の出力が可能となるので、大きな工程削減と納期短縮につながると考えております。当社にとって、牽いては銘板業界にとって、大きなメリットをもたらせてくれると考えております」

写真:株式会社富士フォト工房 代表取締役 高見 弘一氏

Corporate profile

「インスタントレタリング」に最新の技術を吹き込み、新世代の転写シートを開発した森の印刷屋と、転写シートを商品化、販売を行うアイエヌジーのパートナーシップが核となって、軟包材(パッケージフィルム)や木、金属などにフルカラーで印刷できることを武器に新たな「転写ビジネス」を開始した。

http://www.moriin.jp/ External link

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