現場に設置される多数のセンサーや機器を、導入コストを抑えてインターネットに繋げるためには、IoTゲートウェイの選定が鍵となります。ここではIoTネットワークの構成例と、最適なIoTゲートウェイの選び方についてご説明します。
これまではネットワークにつながる機器といえば、パソコンや携帯電話など、高度な処理能力と通信機能を備えた機器が中心でしたが、これからの時代は身の回りのあらゆるモノがネットワークに一つにつながる世界、IoT(Internet of Things)が注目されています。
IoTではあらゆるものがネットワークに繋がり、クラウド上のサーバーと連携することができます。たとえば、
これらのものがIoTでインターネットに繋がることによって、たとえば家庭内の機器の場合、外出先から風呂、エアコン、テレビの録画機能を操作したり、無駄な電力を抑えて省エネに役立てるなど、さまざまな活用ができます。また、公共設備の場合には、リアルタイムで災害情報を提供することで防災へ貢献することなどが考えられます。
数多くのIoTのデバイスが設置され、インターネットにつながる時代が来るでしょう。家庭内だけでも1軒あたり200~300個のモノがつながると言われています。2020年には、世界中でネットワークにつながるモノの総数は250億個とも500億個とも予測されています。
このような膨大な数のモノの情報はどのようにどのようにして集められ、どのようにしてインターネットにつながるのでしょうか?
IoTを構成する要素としてまず、「IoTデバイス」と「IoTゲートウェイ」の2種類の装置があります。簡単に要約すると、次のように理解してください。
この2つについて詳しく見ていきましょう。
IoTデバイスは、センサーと通信機能を備えた、ネットワークに繋がるモノそのものです。IoTデバイスにはさまざまな種類があります。
単にセンサー情報を送信するだけでなく、外部からネットワークを経由してデバイスそのものを遠隔操作できる場合もあります。
これらのIoTデバイスをネットワークに接続する方法として、以下の2通りのケースがあります。
①直接インターネットに接続するケース
②IoTゲートウェイを経由して接続するケース
①のケースでは、IoTデバイスはLTE、3G、Wi-Fi、Wi-MAX、イーサネットなどインターネットに接続できる通信機能を備えている必要があります。しかしIoTの世界では、家庭内に何十個というIoTデバイスがつながるようになります。全てのIoTデバイスを直接インターネットに接続するのは、費用の面でも消費電力の面でも現実的ではありません。
そこでこのような場合はIoTゲートウェイを経由して、IoTデバイスがインターネットにつながる②のケースが多く用いられます。
IoTデバイスの繋ぎ方
IoTゲートウェイはインターネットなどを経由して、クラウド上のサーバーと直接通信をする装置です。複数のIoTデバイスからの情報を集めてサーバーに送信したり、サーバーからの情報を適切なIoTデバイスに送信する機能を持ちます。言うなれば、IoTデバイスとサーバーをインターネットで繋ぐ架け橋だと思ってください。
IoT(センシング)で環境データを「見える化」
限られた空間に多くのIoTデバイスを配置する場合には、IoTゲートウェイを経由することで、多くのIoTデバイスを効率的に接続することができます。IoTゲートウェイとIoTデバイス間の通信方式では、有線方式と無線方式があります。
有線方式ではRS-232CやRS-485などのシリアルポート接続やUSB接続、LAN接続などを使います。メリットは、通信の安定性という点で優れているということです。
しかし、デメリットは2つあります。
費用を抑え、簡単により多くのIoTデバイスを接続するためには、無線の方がよりメリットがあると言えます。現在IoTゲートウェイに利用されている無線方式にはWi-Fi、Bluetooth、920MHz帯無線(IEEE802.15.4g)、ZigBee(IEEE802.15.4)などのタイプがあります。
無線による接続では、環境によって通信の状態が不安定になるというデメリットもありますが、IoTネットワークの構築を容易にし、IoTデバイスの移動や増設についても簡単な操作で行うことができます。無線の届くエリア内であれば、無線方式の方がより有利であるといえるでしょう。
IoTゲートウェイは、IoTデバイスから受信したデータをインターネットに送るだけでなく、IoTデバイスの管理、制御する機能も併せ持ちます。センターサーバーはIoTゲートウェイを通してIoTデバイスを管理、制御することができます。
またIoTゲートウェイには、配下のIoTデバイスの状態を常に把握し、故障を検知し、ネットワークを介してユーザーに情報を送る機能があります。さらにIoTデバイスの状態だけではなく、IoTネットワークの状態をも管理しています。
ここまでは、IoTデバイスとIoTゲートウェイの接続について見てきました。では、IoTゲートウェイとインターネットの接続はどのようになっているでしょうか?
IoTゲートウェイとインターネットとの接続には、
があります。いずれの場合にも、IoTゲートウェイは非IPプロトコルのIoTデバイスとIPプロトコルのネットワークとの橋渡しの役割を果たすとともに、配下のIoTデバイスをコントロールする役割もあります。
IoTデバイスとIoTゲートウェイの間に、ルーター機能を持った中継装置を置く場合があります。
IoTデバイスとIoTゲートウェイの間の通信は多くの場合、「特定小電力無線」と言われる無線方式で繋がっています。これは無免許で使用できる代わりに、到達距離が比較的短いというデメリットがあります。つまり、工場など広い場所で数多くのIoTデバイスを設置するケースなど、一つのIoTゲートウェイではカバーしきれない場合があります。
このような場合はルーター装置で中継することで、より広いエリアをIoTデバイスでカバーすることができます。
これらのIoTルーターやIoTデバイスは、全て無線で接続し中継されるため、配線工事を行わずに広大なエリアに点在するIoTデバイスから効率的に情報を収集することができます。このようなIoTデバイスとIoTゲートウェイ間の中継機能を持った装置を「IoTルーター」と呼ぶことがあります。
IoTゲートウェイとIoTデバイスの間の通信に、複数のIoTルーターを経由する場合もあります。このように途中に複数のIoTルーターが介在して、無線でルーチングを行うことをマルチホップといいます。
マルチホップ通信の構成例
マルチホップ通信では、たとえIoTルーターが一つ故障しても、他のデバイスが自律的に迂回ルートを検出し、インターネット接続を継続するといったことも可能になり、ネットワークの信頼性を向上させることができます。
IoTゲートウェイにはIoTルーターの機能を兼ね備えたものもあります。また、IoTデバイスの中にもIoTルーターの機能を兼ね備えたものもあります。実際のIoTネットワークでは、これらの多くのIoT機器が無線を介して相互に通信を行い、低コストで高信頼性かつ柔軟性のあるネットワークを構成します。
以上ご説明してきましたように、IoTゲートウェイの特徴は次のように理解できます。
ここまで説明してきたマルチホップネットワークを実現するSmartHopソリューションに関する情報は、以下のサイトに掲載されています。