M2MとIoTは、すでに私たちの生活や仕事の中に、知らず知らずのうちに浸透してきています。このIoTとM2M、同じような意味ですが、その考え方は若干異なります。ここでは両者の違いを具体的な利用例を挙げて分かり易く解説します。
M2MはMachine-to-Machineの略で、人が介在することなく、機械同士が相互に情報をやりとりすることです。M2Mでは機械同士の情報のやりとりを指しており、その先にある情報をインターネットやクラウドに送るところまでの機能は持っておりません。
機械同士で情報のやりとりをするケースは2つあります。
1)機械から情報を収集する機械
機械から情報を収集する機械とは、たとえば次のようなものがあります。
他にも電力・ガスメーターの自動検針、自動販売機の在庫管理、重機や建築機械の位置情報監視など、機械同士の情報収集は幅広く使われています。
2)機械をコントロールする機械
一方で、機械が機械をコントロールするとは、たとえば次のようなものです。
この他にも緊急地震速報、無人の警備システムなどもM2Mであると言えます。
M2Mにあたるシステムは今までもありましたが、最近になって急に注目を浴びるようになったのには2つ理由があります。
この傾向はこれからも続くものと思われ、さらなる技術の向上によって、より高性能で安価なセンサーネットワークの構築が可能になります。
IoT(Internet of Things)はモノのインターネット、いろんなモノが通信機能を持ち、ネットワークにつながる世界を言います。
M2Mだけの世界では機械同士の相互の連携はあるものの、その情報はシステム内に閉じており、インターネットにその情報が出回ることはありません。IoTではM2Mでやりとりされている情報をインターネットで収集できるようになります。収集したデータはクラウド上で共有することができます。データを共有することで新たなビジネス価値を創造します。
2020年には、世界中で500億台以上のモノがインターネットに繋がると言われています。それらが情報を送ると、インターネットには膨大な情報が蓄積されることになります。これをビッグデータと言いますが、まさにビッグデータの収集こそIoTの主な目的であるといっても過言ではありません。ビッグデータはそのままでは活用することはできません。ビッグデータを分析し、何らかの価値を生み出すことが重要になります。
たとえば、先ほどのヘルスケアの例では、ビッグデータによって集められた膨大な情報を分析し、個人の体質との関係性をAIによって推定することで、その人に合った最適な健康管理プランを自動的に作成することができるようになります。
以上をまとめると、次のように言えます。
そして、M2MとIoTを理解するためには、センサーネットワークとビッグデータについても理解する必要があります。
ビッグデータ/IoTの世界
パソコンだけがインターネットに繋がっていた20年前から、実は「インターネット家電」といった言葉でIoTに相当する考えはありました。それが現実的になったのはM2Mの進展によるところが大きいと言えます。
M2Mの核心となる技術はセンサーネットワークです。今や車や家電、携帯端末、事務機器、工場設備、ビルなどさまざまな場所でセンサーが使われています。センサーの情報を閉じた世界だけで使うのではなく、センサー同士が互いに繋がり、情報を収集し、ビッグデータ化することで、今までにない価値を生み出します。
まずはセンサーの効率的なネットワーク化から始めることが重要です。センサーネットワークを柔軟で信頼性のあるものにするための情報は、以下でご覧いただけます。