Yume対談
「『新規事業創出のプロ』守屋実さんと対談しました(後編)」
SUMMARY
2019年7月2日(火)、株式会社ミスミにて新規事業創出を経験され、これまで多くの事業創出の実績をお持ちの守屋実様(以下、守屋さん)とOKIのチーフ・イノベーション・オフィサー(CINO)の横田俊之がOKIイノベーション・ルームYume STで対談いたしました。大企業から新規事業を興す上の課題や苦労について、大変盛り上がりました。今回は後編の内容をご紹介いたします。

パートナーを見極める
守屋ミスミの田口さんは、「世の中のすべてのビジネスマンは、うちの参画者でもあるんだ」と言っていました。
「世の中で働いている人は、自分たちの関係者なんだと思ったら、何でもできるだろう」と言っていて、「この人は突き抜けている」と思いました。
横田世界観のスケールが大きいですね。
守屋田口さんから「自分たちだけでやろうとするな。リスクを増やしてコストを増やすだけだと。」
「経営者だったら、適切なリソースを自分で取ってくることを考えろ」とよく言われました。
横田ただ、パートナーの見極めが難しいですよね。
守屋さんの本の中でも、うまくいかなくなった時も一緒にやっていけるかどうかをパートナー選びのポイントにしていると書かれていますね。
守屋大前提が、新規事業はうまくいかないことです。
うまくいくとしても、それまでの間は、うまくいかないことの連続です。
やっていけそうかどうかは、相性みたいなものだと思います。
年齢、性別、国籍も関係ないですね。
横田そうだと思います。
15年くらい前、私が、経産省で商店街担当課長をしている時に、早稲田大学3年生だった木下斉さんが、「自分の商店街活性化プランに委託費をつけて欲しい」と売り込みに来ました。
斬新なアイデアだったので、2年間で1千万の委託費をつけました。
今では、街作りの第一人者になっていますが、若くても本物はいると感じたものです。
人を育てる
守屋OKIの社員は自覚していないかもしれませんが、やりたいと思ったことに果敢にチャレンジすることのできるYume Proの環境は、世の中にそんなにありません。
横田小さくても、わかりやすい成果を出し、グループ内で認知が進んでいくと、どこかのタイミングで雪崩が起きることを狙っています。

守屋ベンチャーと違って過分なリスクを踏まなくていいですからね。
ミドルリスクミドルリターン的な思想で、1つ事業が成功できたら、1億円くらい報酬が取れるようにしたらいいと思います。
横田うちでは、報酬よりも、認知を大切にしたいと考えています。
成果を出した若手が主役になって、社会的にも認知を受けられるようにしていきたい。
守屋ぜひ、やった方がいいと思います。
今は、ベンチャーの経営者ばかり、やたら露出しています。
大企業の新規事業の方が、大きくて凄いことをやっていたとしても、組織人だから、相対的にメディアに露出しないんですね。

「まず好きをやってみよう」
横田それから、Yume Proのモットーは、「楽しくやろうぜ」です。
昨年5月に、イノベーション・ルームYume STがオープンした時、壁の隅に書いておきました。
守屋さんの本で「まず好きをやってみよう」とも通じる方針だと思います。
守屋大企業で働いている人は、組織の中で何をすれば評価されるのかという、「すべきこと」を考えてしまう。
そこに、経営者としての意思が存在しないんですよ。
創業者は、24時間365日考えています。
競争相手が、24時間365日ですから。
労務問題があるので、社員には言えませんけどね。
横田コンプライアンスは重要ですし、当然、労働基準法を遵守する必要があります。
ただ、本当に楽しくなると、夢中になれると思います。

大企業からイノベーションを
守屋日本では、大企業を諦めないことが大事だと思っています。
日本には、優秀な大企業が沢山あるので、ここが変わると国が変わると思っています。
足りないのは成功事例。
しかも、実は、成功事例もあるのに、あまり目立っていません。
横田その通りですね。
私も、経済産業省で長年、ベンチャーや中小企業の振興に携わってきました。
ただ、人、モノ、金、情報といったリソースは非常に限られています。
大企業という本丸を活性化させることの方が、はるかにインパクトが大きい。
Yume Proが成功事例となり、世の中に認知されるようにしていきたいと思います。
守屋それを真似するような企業が出てくるといいと思いますね。
横田成果を秘匿するのではなく、発信することで、「OKIは面白そうだから一緒にやってみたい」と思ってもらえる効果の方が大きいと思います。
守屋転がり始めたら、雪だるまのように、どんどん来ます。
そうやって露出する方がいいと思いますね。
横田雪だるまも、ある程度の大きさになったら、自律的に転がり始めるようになります。
守屋さっきも言いましたが、「転がしていいよ」と言っておきながら、本当に転がしたら怒られるというのが世間の大企業です。
本当に転がしていいのは、日本の大企業の中で珍しいですよ。
横田そこは、鎌上社長のリーダーシップのお陰です。
本当に有り難いと思います。
今回の対談をご縁に、守屋さんとYume Proの連携についても、是非、ご相談させていただきたいと思います。
本日は、有り難うございました。
※守屋実様のプロフィール
https://eiicon.net/companies/11939