「変革と継承」で生産性の高い働き方とワークライフバランスを実現
OKIは、アフターコロナに向けた働き方の変化を見据え、コラボレーションの強化による社員の協働、お客様・パートナーとの共創を目的とした、オフィス環境の再構築に取り組んでいます。虎ノ門本社と芝浦ビジネスセンターの役割を再定義の上で再配置した結果、オフィス総⾯積と席数を半減。さまざまな施策で刷新されたオフィスは「ウィズコロナ・アフターコロナにおけるテレワークと出社のベストミックス」「時間価値の最大化」を追求した、イノベーション共創空間へと生まれ変わりました。
OKI スマート・ワークライフプロジェクト オフィス改革ワーキングリーダー
小野 裕基
OKIはこれまでも、働き方改革を推進する取り組みを続けてきました。しかし、今回のコロナ禍を受けて、さまざまな新たな課題が顕在化していました。今回のオフィス改革を推進したスマート・ワークライフプロジェクトのオフィス改革ワーキングリーダーを務める小野は、検討の経緯を次のように話します。「テレワーク中心の新たな働き方における現場課題を把握すべく、2020年8月に事業部門長50名ほどを対象に、2週間ほどかけてヒアリングを実施しました。感染防止対策やネットワーク強化などさまざまな困りごとがある中で、働く場所としてのオフィスのあり方を根本的に見直す必要性を強く感じました。加えて、21年度末で芝浦に5棟あるOKIビジネスセンターの賃借契約が期限を迎えることも重なり、虎ノ門本社を含めたオフィス環境の再整備が必要であるとの判断に至ったのです。そこで総務、人事など管理部門だけでなく、営業本部や事業本部にも参加を要請し、部門横断型のプロジェクトチームを結成しました」。
プロジェクトチームは、各方面から寄せられた声を基に「ウィズコロナ・アフターコロナにおけるテレワークと出社のベストミックス」「時間価値の最大化」をテーマに、以下の全体方針をまとめます。
「席数が少なくなる中で、オフィスを利用する目的をリアルなコミュニケーションが優先される場所と定めました。中でも虎ノ門オフィスについては中央官庁や主要顧客へアプローチしやすい虎ノ門駅からのアクセスが至便であることと、『OKI Style Square』と『イノベーションルームYume ST』を活用できるため、営業部門を集約。その上で、『リアルなコミュニケーションによる社員の協働(CO-WORK)と、face to faceのコラボレーションによる顧客・パートナーとの共創(CO-CREATE)で、イノベーションを起こすための共創空間とする』という、コンセプトを固めました。そして、その実現のための具体的な施策として、①オフィス作り、②固定電話の見直し、③在席状況の見える化、④サテライト/シェアオフィスの整備検討を進めました」。(OKI/小野)
アフターコロナを見据えた新たな働き方を実現する虎ノ門オフィスは、仕事の状況により使い分け可能なフリーアドレスとなっています。中央に個人の業務に集中できるワーキングエリアを設け、窓側にはオープンな雰囲気で気軽に交流できるコラボレーションエリアを配置。入口付近には、プリンターなど共通利用する設備と休憩スペースを配置し、偶発的なコミュニケーションを生み出すマグネットエリアがあります。
株式会社イトーキ 営業本部
ワークスタイルデザイン統括部 第1デザインセンター
4ルーム
室長 星 幸佑 氏
このオフィス作りに際し、OKIは数社から提案を受け、パートナーに株式会社イトーキを選定しました。「短期間でスペースを削減すると共に新しい働き方に適合した機能を持たせ、さらに働きやすさと働き甲斐を共に向上させるという難しいチャレンジでしたが、OKI側で事前にチームを編成、コンセプトと各オフィスの収容人員のモデルプランも示されたことで、非常にスムーズに進めることができました」。(イトーキ/星氏)
株式会社イトーキ 営業本部
セールスディベロップメント統括部 DX営業部兼
ソリューション営業部
部長 森田 良一 氏
「今回のように大きく働き方を変えるオフィス改革はデザインや機能選びはもちろん、何のために変えるのか、どう使うと良いのかの合意を形成するプロセスが非常に重要です。その点においても今回は、プロジェクトチームの方々が社内のさまざまな意見をとりまとめ、その要望に対する我々の提案に対してもしっかり社内でコンセンサスを得てくれました」。(イトーキ/森田氏)
テレワークが中心となると、自宅で外線の発着信ができないために出社しなければならない、出社した社員の電話取次の負荷が高くなるという課題が起こります。この課題解決に向けてOKIでは、高度なIPテレフォニー機能をPCやスマートフォン上で簡単に利用できる高機能なソフトフォン「Com@WILL」を採用しました。
当初は、Microsoft TeamsとPBXを接続しての解決を計画。しかし、初期構築とランニングで想定以上にコストがかかる、他社サービスに依存すると障害時に全面ダウンするリスクへの懸念、さらに工場などPCを利用しない社員への対応が難しいことなどの理由から、見送られました。
「Com@WILLソフトフォンであれば、03から始まる部門代表番号を残しつつ、050の個人番号が全国どこからでも利用できます。これによりテレワーク中も自宅から外線の発着信が可能となり、取次の業務負荷が軽減。さらにPBXとデジタルコードレス電話機が残る工場拠点も含めた内線通話が、継続して利用可能です。コスト面でも、最小限のハードウェア増設とライセンス追加のみで導入費用が抑えられ、固定電話機やモバイル端末配布などの運用費も、大幅に削減できました」。(OKI/小野)
フリーアドレス化に伴い、今度は会話したい相手の居場所がわからずチーム内のコミュニケーションが不足する、また外出先からオフィスの混雑状況がわからず不安、との声が上がりました。
OKIはこの課題を解消するべく、座席状況の見える化システムを新たに開発しました。社員が出社時に自分の座席位置をWeb画面から登録することで所属本部ごとに色分けして表示されます。会話したい相手を検索することができるほか、掲示板機能があり、告知にも活用可能です。
「本システムは、OKIグループの特例子会社のOKIワークウェルにて開発しました。社内の在席状況が把握できるため安心してオフィスに立ち寄れる、隣の席の人が誰なのかがわかりコミュニケーションのきっかけになるほか、ログ管理機能で感染症対策として濃厚接触者の把握が可能という効果もあります」。(OKI/三浦)
混雑状況の把握・居場所特定から円滑なコミュニケーションを促進する「座席表システム」
さらにOKIでは、自宅環境では集中しづらいケースや移動の合間、出張中の社員も時間を有効に活用できる環境作りを目指し、サテライト/シェアオフィスの整備も進めています。
虎ノ門にオープンしたサテライトオフィスには、オープンなカフェをイメージしたエントランス、集中して個人ワーク可能なブースエリア、事前準備などに利用できるフリースペース、社員同士の気軽な交流を促すコラボレーションエリア、マグネットエリアが整備されました。
加えて、自宅や訪問先の最寄りでスポット的に利用できる、郊外型シェアオフィスサービスとの提携も、今後検討する予定です。
OKI 統合営業本部 オフィス移転プロジェクトメンバー
三浦 孝洋
虎ノ門オフィスは2021年3月末にリニューアルが完了し、4月より利用が開始されました。並行して芝浦事業所の刷新が進行中で、年内完了となる見込みです。加えて2022年には、蕨事業所のオフィス再編も計画されています。
プロジェクトのメンバーであり、利用者側でもあるOKIの三浦は、現時点での成果を次のように話します。「今回のリニューアルでオフィスに出社する目的が明確になり、社員ひとり一人が自身の業務スケジュールのメリハリを付け、テレワークと使い分けしながら時間価値を高める働き方を実現できる環境が整ったと思います。オフィスには社員同士のリアルなコミュニケーションの場としての機能やスペースが豊富にあり、自ら選ぶことができます。またOKI Style SquareやYume STには、オンライン配信のためのスタジオ機能を増設。リアルとオンラインのハイブリッドなコミュニケーションにより、お客様やパートナーとの共創を生み出す場として、これからさらに有効に機能するでしょう」。
最後に小野は、これからの展開を含め、次のように結びました。「このプロジェクトにより、テレワークでは個人ワークを集中して行い、オフィスでは仕事の状況や集中の度合いによって働くスペースを自ら選びながら、社員同士やお客様とface to faceでリアルにコミュニケーションするという選択肢が整いました。これは生産性やモチベーションだけでなく、エンゲージメントを高める点でも、有効な取り組みだと考えます。しかし、周囲の状況と共に、働き方もこれからまだまだ変化が続きますし、これまでとの違いに戸惑う社員も出てくると思います。そのため、OKIでは今後も継続して社内サーベイやアンケートを通じて社員の声に耳を傾けながら、さらなる進化を続けていきたいと考えています」。
2021年10月掲載