Yumeトーク 特別編
セルフ端末操作の非接触化を実現した「ハイジニック タッチパネル」
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医療工学からATMへ…。一貫するのはハード設計技術
現在、自動化端末製品のSEとして、お客様向けの提案資料の作成をはじめ、ATM関連製品の企画などを担当しています。入社以来、一貫してATMに代表される金融関連技術に関わっているのですが、大学(電気電子工学科)では、モーションキャプチャを用いて医師の手技を評価する研究をしていました。そこで、医療工学系の技術に傾倒し、大学院では超音波制御によるマイクロバブルを使ったDDS(※1)の研究を続けていたところ、OKIで、ATMなど社会公共システムに携われていた研究室OBからの誘いを受け、OKIの社会インフラシステムの分野での実績に興味を持ち、入社しました。医療とATM、関連性が薄いように思われがちですが、私にとっては回路設計という点では共通しているので、違和感なく受け入れることができました。
ATM技術と銀行実務の双方に精通
入社して最初に担当したのは、ATMの電子回路設計。これに並行して、ATMに使われている部品の性能評価、部品のデリバリーに問題が生じた際の代替部品評価などコスト低減業務にも携わっていました。
やがて、入社5年目からはトレーニーとして大手都市銀行へ出向。銀行のシステム部ではなく、店舗改革を担当する部署へ配属となり、主にATM関連施策の管理・推進から、四半期毎の決算対応、支店職員からのATMに関する照会対応など、約2年半の間、銀行員として多忙で煩雑な業務を経験させていただきました。
非接触化のニーズに、既存技術の活用で迅速に対応
そして、OKIに戻ってきたのは昨年(2020年)4月です。しかし、復帰早々に新型コロナウイルス感染症のパンデミック騒動。感染防止対策のひとつとして、ATMのような不特定多数のユーザーが触れるセルフ端末にも、操作の非接触化が求められるようになりました。
そこで、私たちは、すぐさま非接触型タッチパネルの製品企画に着手。とにかく迅速な市場投入が肝要なため、パネルの交換だけで端末の大幅な改造などを伴わず、端末の設置現場での簡単な作業のみで非接触化に対応できる方法を模索しました。幸い、OKIのセルフ端末のタッチパネルは、X、Y軸に配置された赤外線センサーで、触れた点を検知する「赤外線方式」を採用していたため、赤外線センサーを搭載した外枠を含むパネルのみの交換で、非接触化に比較的容易に対応することができます。しかし、問題となったのは、ユーザーの指を検知するのに最適な距離の把握でした。パネルからの距離が短いとパネルに触れてしまうことになるし、距離が長いと誤操作の原因となり、操作に違和感を覚えてしまうからです。そのため、私たちは、複数の試作機を作製し、試行錯誤を重ねながら非接触操作に最適な検知ポイントを選定。2020年秋、羽田空港・自動チェックイン機や金融機関に設置されるATMでの実証実験を経て、このたび「ハイジニック(衛生的な)タッチパネル」として商品化しました。
製品のブラッシュアップを加速し、顧客サービスの無人化・非接触化に貢献
今回、私としては、銀行勤務という2年半あまりのブランクを経ての商品企画でしたので、当初は銀行員から技術者への思考回路の変換に戸惑った部分もありました。その中で、多くの仲間、特に、コスト意識を持ちながら何度も試作機の改良に付き合ってくれた開発部門の方々に感謝したいと思います。また、迅速な対応が求められている状況での製品開発で、プレッシャーや不安も大きかったのですが、デザイン思考を実践することで、独りよがりでない開発ができていると自信になりました。徹底したユーザー視点での製品開発は、地道な作業も多く大変ですが、お客様が本当に困っていることをより早く解決できるものだと実感しました。
また、今回の「ハイジニック タッチパネル」は、早期の市場投入を最優先とした上、ユーザーの方々も非接触パネルの操作に不慣れな点もあると思われるので、パーフェクトな製品だとは思っていません。したがって、今後は、高齢者の方々にも違和感なく使っていただくため、操作画面の見直しなど、ソフトウェア設計とも連携して、製品としてのブラッシュアップを図っていくつもりです。そして、ATMに限らず流通、小売り、旅客交通などのセルフサービス端末への導入を加速し、さまざまな分野のお客様に対して、ウイズコロナ、ニューノーマル時代に対応した顧客サービスの無人化・非接触化に貢献していきます。
※1 DDS(Drag Delivery System):薬物を必要な場所(臓器、組織、細胞など)に、必要な時に効率的に供給し、薬物の効果を最大限に発揮させるための制御技術。





