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CINO ism

Nov. 25, 2025

『CINO ism Vol.58』
「イノベーションを生み出す力」を世界基準で!
ISO 56001認証取得への挑戦と、取得後の未来。

藤原雄彦 常務理事(CINO、CDO 兼 イノベーション推進室長)の写真
藤原雄彦 常務理事(CINO、CDO 兼 イノベーション推進室長)

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現在、イノベーション・マネジメントシステム(IMS)の国際標準規格として、IMSのガイドラインを示したISO 56002(2019年7月発行)と、IMSの要求事項を規定した認証規格ISO 56001(2024年9月発行)が発行されています。
OKIは、昨年9月のISO 56002認証取得に続き、今年7月にはISO 56002認証からISO 56001に移行しました。これはIMSに基づく英国規格協会(BSI)の認証「BSI Kitemark™」において、国内初且つグローバルでは製造業初です。
この挑戦の軌跡と、認証後に見据える未来について、藤原常務理事(CINO、CDO兼イノベーション推進室長)とお話ししていきます。

危機感から始まった挑戦。OKIが見つけた未来への突破口

――IMSを共通言語として採用しようとした理由は?

OKIはこれまで、通信、金融、官公庁、交通、製造、流通など、社会インフラを支えるシステムや製品を長年手がけてきました。
しかし、21世紀に入ると状況が大きく変わります。局用交換機などの受注が急減し、さらにプリンターやATMといった主力製品も、ペーパーレス化やキャッシュレス化の進展によって需要の拡大が見込めなくなってきました。
そうした中で、当時の経営陣は「このままではいけない」という強い危機感を共有し、2015年頃からは、新事業を生み出すための仕組みづくりを真剣に模索し始めました。
その過程で出会ったのが、一般社団法人 Japan Innovation Network(JIN)が提唱していたイノベーション・マネジメントシステム(IMS)でした。私たちはその理念に深く共感し、2017年、経営陣の判断で導入を決定しました。
目的は、従来の受注開発型ビジネスから提案型ビジネスへ転換し、イノベーションを創出しやすい組織にすること。言い換えれば、デザイン思考を取り入れた新規事業の創出と、それを支える社内カルチャーの変革です。その実現に向けて、共通言語としてIMSを活用することが、ベストな選択だと考えました。

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ISO 56001を先取りした「Yume Pro」で、“変わる力”を育てる

――ISO 56001をブレイクダウンしたのがOKIのIMS「Yume Pro」だと思いますが、プロジェクト推進の留意点は?

2017年10月、各部門から5名のメンバーが集まり、「Yume Pro」の原型となる「イノベーション推進プロジェクト」がスタートしました。
当時はIMS(イノベーション・マネジメントシステム)の国際標準化が進みつつあったものの、まだ具現化はされていませんでした。そこで私たち5名は、JINが主催する「イノベーション塾」に参加し、デザイン思考をはじめ、イノベーションの基礎を徹底的に学びました。それと並行して、わずか数カ月でまとめ上げたのが、ISO 56001を想定したJINのイノベーション加速支援フレームワーク「イノベーションコンパス」をベースとしたOKI独自のイノベーション・プロセス「Yume Proプロセス」です。
2018年4月には、「イノベーション推進部」が新設され、「Yume Pro」は正式に活動を開始し、2020年には研究開発部門を内包した「イノベーション推進センター」として体制を拡大しました。「Yume Pro」は、将来的にIMSが国際規格化されることを見据え、その考え方を先取りした上で、さらにアレンジを加え構築したものが「Yume Pro」なのです。
その最大の特徴は、イノベーションのプロセスにマーケティングの要素を統合した点にあります。プロジェクト推進にあたって特に留意したのは、いかにしてイノベーションのマインドをOKIグループ全体に浸透させ、それを自ら実践してもらうかということでした。そのため、カルチャー改革を促す各種教育・研修の実施に加え、新規事業創出や業務改革の実践の場として、アイデアコンテスト「Yume Proチャレンジ」も立ち上げ、現場から新しい発想と行動を生み出す土壌づくりを進めていきました。

抵抗を共感に変える。「Yume Pro」が生んだブレイクスルー

――認証取得の過程で苦労したこと、またそれのブレイクスルーは?

これまでに7年間、「Yume Pro」として積み重ねてきた活動実績と具体的な成果が認証取得に大きく寄与しました。「Yume Pro」発足当初から、ISO 56001認証取得が目的ではなく、社内にIMSを定着させる手段として考え推進をしてきました。
むしろ大変だったのは認証取得では無く、「Yume Pro」を立ち上げるまでの数カ月間、それと全社に浸透・定着させるまでの数年間でした。私たちは、「IMSに取り組むOKI」という姿勢を社内外に向けて積極的に発信し続けました。それがきっかけとなり、お客様から営業担当者に「IMSとは何ですか?」と聞かれることが増えました。結果、社員一人ひとりが自分事としてIMSを意識するようになったのです。いわば、“外堀から埋めていく作戦”でしたね。
大きな転機となったのは3年目の2020年です。それまで研究開発チームが大賞を受賞してきた「Yume Proチャレンジ」で、初めて事業部チームが大賞を受賞しました。これをきっかけに、各部門からのエントリーが急増し、近年では海外拠点からの参加もあるほどに定着しています。
さらに2023年には、「Yume Pro(IMS)」と「QMS(品質マネジメントシステム)」の関係性を整理し、イノベーションと品質の両立を図る新たな商品化プロセスをルール化しました。
このような取り組みを継続できたのは、常に経営陣が強いコミットメントを持ち、全社で一体となって進めてきた成果だと思います。

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“競争”から“共創”へ。IMSをエコシステムのプラットフォームとして活用

――今回のISO 56001認証取得による期待される変化や効果は?

残念ながら日本全体を見渡すと、国際競争力は年々低下しているのが現状です。そうした中で、1社単独で新たな事業を創出するには限界があります。だからこそ、今後は企業同士が連携し、共創していく「エコシステム」の形成がますます重要になると考えています。
その際に大きな力を発揮するのが、IMSという共通言語です。ISO 56001の仕組みを共有していれば、共創の際に必要となるプロセスのすり合わせや確認といった煩雑な作業を省くことができ、スムーズな連携が可能になります。私たちは、ISO 56001をエコシステムの共通基盤(プラットフォーム)として活用できる点に大きな期待を寄せています。
こうした取り組みが広がれば、さまざまな社会課題のスピーディーな解決にもつながっていくであろうと確信をしております。また、IMSがISO規格として正式に定義されたことで、行政機関の動きも活発化し、興味を持つ企業や団体が一気に増えてくるはずです。実際、認証取得前から他社との共創ワークショップの依頼は増えていましたが、認証取得後はわずか数ヶ月でその件数が急増しました。
こうした流れを受け、OKIの経営陣も「OKIが培ってきたIMSのプロセスやデザイン思考のノウハウを体系化すれば、新たな価値提供につながるのではないか」と考えました。その結果、現在はそれらをパッケージ化した「IMS支援サービス」を立ち上げ、提供を始めています。この新たな取り組みについては、次回、詳しくお話ししたいと思います。

2025年11月25日 藤原雄彦 常務理事(CINO、CDO 兼 イノベーション推進室長)

本記事およびOKIの「Yume Pro」については、こちらよりお問い合わせください。

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